基本的に勉強嫌いだった私ですが、実は英語の勉強だけは好きでした。
英語のリズム、発音、喋っている人の雰囲気がなぜか好きだったのです。
それで大学受験の時はそれなりに力を入れて勉強したと思います。
が、大学生になって完全に無気力になり、留学に行こうとか考えもせず、英語の勉強をストップしてしまいました。大学生の時に留学しておけばよかった、というのは人生における後悔の一つです。私は語学力向上は国内にいてもできると思っています。やはり若いうちに外国に行って、勝手知ったる国内とは全く違う環境で苦労してコミュニケーションをとり、友人を作るということは、後の社会人生活で大きな財産となるからです。私が社会人生活の初期で苦戦したのも、こういった自分をストレッチする経験が足りなかったからだと思っています。
それはさておき、私は社会人になり会計と英語を同時に勉強開始しました。メインは会計で、英語は息抜き程度でしたが。
キャリアを重ねていく中で、それほど英語を使う仕事はなかったのですが、勉強は地道に継続していました。やはり好きだったのです。
そして公認会計士となって監査法人に転職したときは、TOEICスコアが900までになっていました。留学・駐在未経験としてはちょっと自慢できるスコアではないでしょうか笑。それですっかり英語はできる気になっていました。
しかし、ここから地獄を見ることになります。
監査法人では「英語ができるやつが入ってきた」ということで、さっそくグローバルクライアントA社の担当になります。
A社は全世界に子会社を持っています。監査法人はそのうちのいくつかを「重要な子会社」として監査しなければいけないわけですから、監査チームの負担は相当なものです(すべての子会社を監査しなければいけないわけではなく、強弱をつけて、重要な拠点とそれ以外でやり方を変えるのが一般的です)。
基本的には現地にも監査人がいますので、その現地(今回はアメリカ)監査人と連携しながら、海外子会社の監査を進めていきます。
私は入社早々、A社のアメリカ子会社に出張して「往査」することになりました。
出張といってもいろいろ種類がありますが、このクライアント子会社の「海外拠点往査」は、かなり難易度が高い部類に入ります。
わずか4~5日で会社の状況を見て、改善事項を現地CFOや役員に伝達しなければならないのです。
下手な指摘をしようものなら、大変なことになるでしょう。なぜなら現地の従業員も深刻な不備を指摘されるとそれが日本の本社に伝わり、最悪減給や配置転換等もありうるからです(不正がらみだとそれ以上もあり得ます)。
私はそこそこ自信がありました。いちおうTOEICはそれなりにスコアを取っているし、ちょいちょい短期間で語学留学にも行っていました。
しかし、「英語を勉強する(その結果TOEICでいい点数を取る)」ということと、「英語を使って仕事をする」ということが、全く違うことにだんだん気づき始めました。
出張の2か月くらい前から、アメリカから大量の資料が(もちろん英語で)送られてきます。
英語の教材であればリラックスして取り組めるのですが、監査の仕事となるとそれらにこちらの考えをコメントしたり、足りない点を指摘したりしなければいけません。
当時は公認会計士としてキャリアをスタートしたばかりだったので、まだそれほどA社のことや監査の進め方を理解しておらず、資料の整理に四苦八苦していました。正直に言えば、何について書かれているのかが全く分かりませんでした笑。
日本語も同じですが、ものごとの背景がわかっていないと、ポイントがわからず、大量の文章が全く頭に入ってきません。
そうすると、上司からかなりのプレッシャーを受けるのです。「さっさとやれ!」的な。
今にして思えば、そこは上司が背景を説明したりするなど手助けすべきなのですが、士業の世界は悪い言い方をすればこういう「丸投げ」がよくあります。つまり「全員がプロである以上、引き受けた仕事は説明なしでほぼ遂行すること」のような不文律があるのです。
まだ海外往査まで2か月あり、英会話教室にも通えばなんとかなるだろう、と思っていた私の目論見は完全に外れました。次から次へと大量に降ってくる英語資料の解読と上司のプレッシャー、さらに他の仕事も同時に並行して行う必要があり、出張までの英語力向上にほとんど力を注ぐ余裕がなくなってしまったのです。
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