TOEIC高得点で調子こいて海外出張に行って大失敗した話 後編

TOEIC高得点で調子こいて海外出張に行って大失敗した話 中編からのつづきです!

その会社はシカゴ郊外にある製造業で、全米各地に製品を出荷するそこそこ老舗の有名企業でした。最近A社に買収され子会社となったのです。この「日本の会社に買収され、子会社となった米国企業」というのはまた大変です。

なぜなら、欧米の会社に対しては日本本社のグリップが非常に弱くなる傾向にあるからです。まず本社で英語を使える人材が限られており、子会社のほうでも「日本資本になったのを機会に日本語を勉強しよう」などと考える人材はほぼいません。そこで深刻なコミュニケーション不足が起こってしまい、現地とコミュニケーションをとれるのは「上層部の限られた層だけ」になってしまうことがよくあります。

そうすると会社の内部監査部門(監査法人と連携し、会社の状況をモニタリングする部署。ほとんどの上場企業に存在する)にも必然的に情報が回ってこず、よくわからない状態になってしまうのです。

これがアジアであれば話は違ってきます。中国含むアジアの現地法人では経営陣だけでなく現場スタッフも含め日本語が非常に堪能であることが多く(もちろん英語も)、本社とのコミュニケーションは比較的円滑にされているように思えます。余談ですがアジア各国の語学力は非常に高く、日本は本当に見習うべきと思っています。

話はそれましたが、日本から監査法人3名(先に触れた上司、さらにもっと上の上司と私)、A社内部監査部2名でヒアリングをスタートしました。現地のそれぞれの部門担当者が事前にアレンジされたスケジュールに沿って次から次に入ってきます。私はそのヒアリングの仕切りを行うことになりました。

うん、何言ってるかさっぱりわからん。

現地のアメリカ人も、「自分たちが監査されに来ている」ということはなんとなく勘づいており、親切でフレンドリーではあるものの、かなり警戒していて、聞かれたこと以外は答えないように注意深くしていたと思います。また、相手が日本人だからと言ってわかりやすくゆっくり丁寧に喋るなどはしてくれません。

こちらのたどたどしい質問に対して、現地担当者が圧倒的スピードで喋りまくり、こちらはまったくわからず、沈黙…という展開がしばし続きました笑。

何がキツイかって、クライアントの内部監査部門長、それから上司の上司(監査法人のなかで最上位役職のパートナー)が期待して見守っている中、現地担当者にたどたどしい質問を行い、その回答がまったくわからず、沈黙を続けなければいけない状況です笑。

このときほど「俺って英語できないんだな…」と痛感したことはありません。ここでの強烈な体験は次の3点に集約されます。

1.リスニングができない

2.言いたいことが出てこない

3.そもそもここで何をすべきかわからない

3については、完全に経験不足です。今ならポイントがわかっていますので、物事の進め方やゴールが事前に何となく意識できています。そうすると当然ながら勘が働き、英語がまったくわからなかったとしても、何となく「こんなこと言ってるんだろうな」という推測ができるようになります。

1.「リスニング」について

単語と単語の区切り、発音等、日本で聞いていた教材とは全く異なるように聞こえました。またスピードも当然ながら非常に速く聞こえました。この時の経験をもとに「リスニングレベルアップ」の記事を書いています。

2.「言いたいことが出てこない」について

会議等で言いたいことがすぐに出てこず、沈黙を連発してしまうのはかなりきまずいです笑(日本ではある程度許容されますが、海外ではこの種の沈黙はネガティブにとらえられがちです)。受験勉強時代からひきずってきた「英文を読む」→「和訳する」の勉強方法に限界を感じた瞬間でした。勉強を継続すれば、言いたいことが自然と出てくるだろうと思っていましたがそのようにはならない、ということを悟ったのです。この経験をもとに「英訳アウトプット練習」の記事を書いています。

この苦行は4日ほど続き、上司からも毎晩罵倒される有様。最後には私も切れ、上司とけっこうなケンカになりました笑。そして最終日なのに現場報告の方向性すら見えない状況となっていました。

そんな状況を(たまに居眠りしながら)見守っていた「上司の上司」つまりパートナーは、最終日、いきなり隠していた実力を発揮します。

下のふたりには任せてはおけないとばかりに、突然流ちょうな英語を駆使してヒアリングを仕切り、パワーポイントで10ページほどの報告資料をもちろん英語であっという間に仕上げ、現地のCFO(財務責任者)および幹部にプレゼンしました。

まさに格の違いを見せつけれられた瞬間でした笑。「いままでの俺のヒアリングはなんだったのか…」という感じでしたが、最終的にはクライアントも満足、先方も納得できる報告ができた出張となりました。

欲を言えばパートナーには最初から、つまり出張準備から指導してください、という感じでしたが笑、結局のところ知識・経験とそれからくる自信がどの現場でもモノをいうのです。参考記事:「社会人よ勉強して自由を叫べ!

個人的には大失敗のアメリカ出張でしたが、大きな大きな教訓を得られた旅となりました。

この後、私は何度も海外に行くことになるのですが、このときの教訓をバネに英語力向上もなんとか実現し、大きな失敗はなかったと思っています。英語はなんといっても「ビジネスで使ってこそ」伸びるものです。海外出張に行ける機会があれば積極的に行くことをぜひおすすめします。

次の記事 英語学習の目的・動機を探し続けよ!後付けでも問題なし!

3 COMMENTS

プロフェッショナルの最低要件と「年齢」の話 下 | 社会人よ勉強して自由を叫べ!

[…] しかも最初は結構つらいことが多いです笑。上記の通り、専門家の業界は新人をじっくり丁寧に育てようなどという発想はほとんどありません。よい言い方をすれば「プロとして最初からある程度できると見られる」、悪い言い方をすれば「雑用を丸投げされる」ことが多くあります。丸投げの例はこちらの記事をご覧ください。 […]

現在コメントは受け付けておりません。