プロフェッショナルの最低要件と「年齢」の話 上

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世の中にはいろいろな「士業」があります。「士業」は一般的にその道のプロとみられますが、そもそもプロとは何でしょうか?

まず、「士業」というからには何らかの資格が必要になることが多いです。

以前の記事で「社会人が資格試験を受験する場合、チャレンジすることそのものに価値がある」ということを書きました。

これは本当に心からそう思っていますし、仕事と同時並行でさらに努力と工夫を重ねて予備校に通い、学習を継続している方は尊敬します。

さて、それとは別の話で、もし「プロ」「専門家」を目指してその業界に入ろうとする場合、「資格」を取ることは非常に重要です。

専門家・士業の世界に「資格なし」で入るのは、正直まったくお勧めしません。

なぜなら、「資格」(特に独占業務を伴う資格)を持っていることが、クライアントへの信用力の観点から非常に重要となるからです。

どんなに仕事ができたとしても、悲しいことに、クライアントはまずは資格の有り無しで判断するのです。

これは極めて当たり前のことで、極端な話、どんなに腕が良いと聞いていても、医師免許がない人に、自分や家族の手術を任せる人はいないでしょう(ブラックジャックのような例外は除きます笑)

士業の世界ではまず資格を取得することが、対クライアントの観点から、業界人としての第一要件といえるのです。

そういう意味では、社会人受験生の方は、自分の今の仕事を頑張ると同時に、まずは今目指している「資格取得」に力を入れるべき、と思っています。

そして、次は業界の観点です。専門家、士業の世界は、想像以上に閉じられた社会です。いわゆる普通の会社とは違い、基本的には猛烈に勉強すること、そして試験に合格することを当たり前とみなす人々が集まってきています。

そういった方々は、もちろんその努力は称賛されるべきなのですが、「自分は運が良く合格した」という考えの人はあまりおらず、「自分は努力の結果受かるべくして受かった」と考えている人が多い印象を受けます。

(私は試験というのは運も相当関係すると思っています。事前に準備をたくさんすることでその運をコントロールすることはできますが、それでも「合格しないこともある」のが資格試験だと思います。)

そのような集団の中に、資格なしで入ると、「努力が足りない人」とみなされる可能性すらあります。

そして、ひどい言い方をすれば単なるアシスタントとして、いろいろな雑用を含む便利遣いをさせられることが多くなってしまいます。

基本から教えて、じっくり育てよう、などという普通の会社のような発想はあまりないと思ったほうがいいでしょう。なぜならほとんどの人は、「基礎だろうが応用だろうが自分で勉強して覚えるべき」と思っているからです。

なので、資格がない、もしくは全部取得していないにもかかわらず、今の職場を辞め、その業界に転職することは、あまり賛成できません。もし今どうしても働く必要があるのであればまた別の話ですが。

私も以前、フルタイムで働きながら公認会計士試験の短答試験(1次試験)を合格した状態で調子に乗り、そのまま監査法人に転職しようと思ったことがありましたが、それはやめておいて正解でした。後に入った監査法人でよくわかりました。

さらにいうと、専門家は合格してからは一刻も早く、その業界のスタンダートな業務ができるようになる必要があります。

1人で基本業務をこなせるようになって、初めてクライアントから信頼される可能性がある「専門家」といえるわけです。 私の業界でいえば、会計士ならば「主任業務(特定のクライアントについて、監査計画策定から監査意見表明まで、ひととおりの業務を監督する責任者)」を行って初めて1人前といえるでしょうし、税理士ならばクライアントの法人税等の確定申告書を1人で作れるようになり、ひととおりの税務相談にのれるようになること、でしょう。

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