社会人が英語を習得するにあたり、仮に1日45分の学習時間が取れるとした場合、英語学習の黄金比率は次のとおりでした。
15分:リスニング練習
15分:英訳アウトプット練習
15分:文法
この3つを順に同じ割合で続けていくことが大事です。
このページは、最後の文法編についてです。
文法は、基本的にはテキストを読んで理解していくのみです。自分のレベルにあった書籍を一冊選びましょう。本頁の一番下にお勧めの書籍も入れています。
ここでは、英文法を勉強するにあたって、「スピーキング」と「英訳アウトプット練習」を念頭に、意識してほしいことを書いてみます。
英文法の書籍は特にストーリーもなく淡々と進んでいくと思います。しかし英文法はリスニングやスピーキングの根幹をなすものであり、非常に重要ですので、今学習している内容が後にどう役立つか、を意識することが大事です。その観点から書いてみますので、モチベーションアップの一助につながれば幸いです。
(以下、今後徐々に加筆していく予定です)
・前置詞
当然ながら会話文においても頻出です。時間at、 曜日on、 月&年in、 建物at、 地域in、のように、まずは日常的に使う表現で絶対に外せないところから覚えていきましょう。熟語表現はそのまま覚えます。後は文法テキストで解説されているであろう共通ルールを勉強して、出てくる都度、覚えていくしかないです。
・受動態、比較、関係代名詞、現在完了
これらはすべて中学校の2~3年の学習範囲ですが、とてつもなく重要、間違いなく完全にマスターすべき内容です。このあたりの内容をたまに「英会話に文法なんか不要だ」と敬遠している方がいますが、基礎中の基礎ともいえるこれらの内容を知らずして英会話は成り立ちません。忘れている場合は徹底的に学習する必要があります。ちなみに高校の学習範囲である関係代名詞what、関係副詞where, when, how, whyも非常に大事です。
・5つの文型
これも中学校の学習範囲ですが、「英訳アウトプット練習」を行う上で極めて重要です。英語には「SV」「SVC」「SVO」「SVOO」「SVOC」の5つの基本文型がある、ということをしっかり理解し、日本語を英語にするときにどの文型にすべきか、即判断できることが必要です。とはいえ学習の初期は、それほどナーバスになる必要はないでしょう。日本語を見て、主語S、動詞V、目的語Oくらいが即判断できれば大丈夫です。
・to 不定詞
中学校のド定番です。「~すること」「~するために」「~するための」みたいな感じで覚えていると思います。会話では、まず結論を話している最中、後から何か付け足したくなった時によく使います。また和訳では「~ために」というニュアンスに見えない場合でも、直前の文を補足するために使うことが多いです。
例:「友人と起業するのはいい考えかどうか」と私のお気に入りの人生相談欄に投稿した人がいました(→いい考えかどうか聞くために)。
Someone wrote to my favorite advice column to ask whether it’s a good idea to start a business with friends.
(NHK実践ビジネス英語2020年9月号P46)
・so (that)
これも受験のド定番ですが、会話文でも頻出です。so that S Vのかたちで、「~するように」もしくは否定文を持ってきて「~にならないように」みたいな用心のニュアンスにできます。thatは会話文では省略されることが多いです。
例:使いたくならないように、携帯電話を視界の外に置きなさい
Put your mobile phone out of sight so (that) you’re not tempted to use it.
(NHK実践ビジネス英語2020年9月号P26)
・形式主語it
It ~ that SV
「SがVすること」は「~」だ。
形式主語itを使えるようになれば、会話の表現力は大きく向上します。主語はもちろん「それは」ではなく、that以下となります。
例:上司が大目に見てくれる可能性は高いですよ
→上司(S)が大目に見てくれる(V)ことは、大いに起こりうる(be more likely)
It’s more likely that your supervisor will cut you some slack.
(NHK実践ビジネス英語2019年2月号P26)
同様に、It ~ to V 「Vすることは~だ」も絶対に使えるようにすべきです。
働くことは楽しい=It’s fun to work.
・数字
ビジネス英語において数字をよどみなく言えるのも大事でしょう。私は会計士なので特に重要でした。
数字を考えるとき、まずは「,」カンマ区切りの数字を頭に思い浮かべます。
23億4,875万円であれば
2,348,750,000 円
で、右から見て、カンマごとに
T(thousand=1,000),M(million=1,000,000),B(billion=1,000,000,000)
となります。
カンマとカンマの間は、どこでも、100の位(hundred), 10の位、1の位の数え方が生きています。
・・・慣れていないと本当に厄介ですね
上記の例でいえば、Two billion, three hundred forty-eight million, seven hundred fifty thousand yen となります。
日本語で表現された数値をカンマ区切りで頭の中で素早く思い描き、それを英語にしていく訓練が必要です。日本の数の数え方で重要な桁である、「億」と「万」にはとらわれないようにしましょう。
仮定法
英文法の中でも難解な仮定法ですが、まずは「仮定法現在」のかたちをしっかり理解することです。仮定を強く表現したいときは、時制を過去のようにします。これは日本語でもある意味同じで、「~だったら」という表現はちょっと過去っぽいですね。このかたちはやや実現可能性の低い想定、もしくは願望のニュアンスが高まります。
例:もし私がマネージャーで、出社できない理由を説明する従業員からのメールを受信したときに、それが長文で上手に書けていたら、不審に思うでしょうね。
If I were a manager and I received a long, well-written email from an employee explaining why they can’t show up for work, I would be suspicious.
(NHK実践ビジネス英語2019年2月号P22)
例:世界中の人たちがみんな、1つの共通言語でコミュニケーションを取り合えたならば、すばらしいですよね。
Wouldn’t it be great if all the people in the world could communicate with each other in a common language?
(NHK実践ビジネス英語2019年4月号P12)
「仮定法過去」はTOEICでたまに出てきますし、英語習得において必要と言えば必要なのですが、当面は文法書を確認するくらいでいいと思います。
・実際のビジネスシーンで気を付けること
これまでは基本的に中学校(高校)で習う文法がいかに大事かという話をしてきましたが、今度は逆に、「中学英語」が危険な例を紹介します。
例えば海外の顧客に対し、何かを依頼するに際して、中学校で習うような表現を使用すると思わぬ事故となります。
・これらの文書を送ってください。
× I want you to send these documents.
〇 It would be great if you could send these documents.
I want(‘d like) you to~ は日本語だと丁寧に聞こえますが、英語ではどちらかというと上司が部下に依頼するニュアンスです。
丁寧な依頼をすべきなのは、英語でも日本語でも変わりません。
そして、なじみのない相手に対して丁寧な依頼をするときに、上記のように「まわりくどい」表現にするのも、日英共通です。
ところで、あまり英語とは関係ないですが、私は海外の監査法人(自社の系列以外も含む)としょっちゅうやり取りをするなかで、アメリカ人は日本以上に「泣き落とし」が通じるな、と思ったことが何回かあります。
TV会議等で、「これだけ困っている。だから申し訳ないがこの作業に協力してくれないか」と非常に困った雰囲気で懇願したら、向こうにとっては一円にもならないのに極めて気前よく協力してくれました。もちろん送られてきた成果物に対しては日本語を交えて礼を言い、かつ大げさに褒めることは忘れませんでしたが。
海外は契約の内容や事前確認に関しては日本以上に細かいですが、「困ったときはお互い様」という点に関してはそれほど違わないのかもしれません。
さて、以下では、私が過去に取り組んだ文法書籍を、習熟度別に紹介させていただきます。今後徐々に拡充していきます。
【中級向け】英語ライティングワークブック
ある程度文法学習が進んだ方向け。英作文がメインですが、文法の確認を目的としています。英作文は実際にPCに打つなり紙に書くなりすることがおすすめです。
【中~上級向け・TOEIC教材】TOEIC L&Rテスト 究極のゼミ Part5&6
一通り文法が終わった方のための、TOEIC文法対策本です。テストに特化しており解説がわかりやすく、試験前に完璧に仕上げたい一冊です。
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[…] ・文法 15分 […]
[…] 極端にいえば、海外子会社監査を滞りなく実施するために、これまでブログで記載した「リスニング」「英訳アウトプット練習」「文法」そして「オンライン英会話」の4本柱を考案した、といってもいいでしょう。 […]
[…] また、英語学習といっても、基本的には独学が可能です。リスニング、英訳アウトプット練習、文法は独学を想定しています。これらの英語学習黄金比率を守り、しっかり回していけば、スピーキング以外の基礎はしっかりとついているはずです。 […]
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[…] これまでこのブログでは「リスニング」「英訳アウトプット練習」「文法」に触れてきました。さらにある程度インプットができた後「オンライン英会話」を実践することで、会話力を向上を目指しています。 […]
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