「会計プロ」として生きる場合の選択肢-会計道(カイケイドウ)-②

「日商簿記3級」と「粘り」が全て!からの続きです!

まず簿記・会計のスタートとして、日商簿記3級をしっかり勉強し、「簿記一連の流れ(仕訳→転記→元帳→試算表→決算整理→決算書)」をマスターすることが大事でした。

さて、3級の内容を理解し試験に合格したとして、その後どうしたらいいでしょうか。

ここから、「会計プロとして生きるか」「会計はあくまでも道具の一つにすぎないか」によって勉強方法が変わってきます。

無駄な努力をしないためにも、ここでしっかり考えたほうがいいと思います。今回は「会計プロとして生きる場合」の選択肢について考えたいと思います。

会計プロとして生きる場合

会計プロとは文字通り、会計専門職として今後のキャリアを考える場合です。とりあえずすぐ思いつくのは次のような選択肢でしょう。

  • 会社経理
  • 税理士
  • 公認会計士
  • 会計事務所(資格なしで勤務)

会社経理

いわゆる「経理」のお仕事です。簿記で学習した「借方・貸方」「費用・収益・資産・負債」を理解し、仕訳を入力することがスタートです。

大きな会社であれば、さらにいろいろな内部資料の作成(例えば役員会向けにわかりやすく業績を説明する資料などの作成)、上場会社であれば投資家向けに作成する「有価証券報告書」「決算短信」の作成も必要になってきます。私の知っている会社で一番大きな会社の経理部は100人くらいいて、決算で忙しいときはけっこうピリピリしています。また大企業の経理部員の中には公認会計士・税理士資格を持っている人も少なくありません。

必要な知識は日商簿記2級を基本として、子会社があれば1級。さらに会社によってシステムや方針も大きく違うので経験も必要になるでしょう。

後に触れますが、今経理業務には大きな変革の波が押し寄せています。これまでのように「仕訳入力」「資料作成」だけをやっていると、そのあたりは今後AIに取って代わられる可能性が高く、どのような未来を想定するか、なかなか難しい状況と思います。かといって私は経理が無くなるとは思っておらず、人数は減るでしょうけど、むしろ「データに基づき会社を改善するための企画部門」として今後大変面白い職種になると思っています。

税理士

会計という幅広いジャンルのうち、税金のプロとなります。学生の方は税金にあまりなじみがないかもしれませんが、例えばコンビニで消費税を払っていますね。この消費税は、コンビニがお客さんから預かり、税務署に納付しなければいけません。その計算を税理士がやります。もちろん消費税以外にも法人税はじめたくさんの種類の税金があり、税理士は他社・他人の税金の「申告」(この額の税金を納めますと計算して税務署に届ける)を行う「独占業務」をもっています。

勤務形態はさまざまで、大きな税理士法人に所属している場合もあれば、個人で開業している方も多いです。

ちなみに弁護士や公認会計士も税理士登録して同じ業務を行うことができます。

公認会計士:

企業の決算が正しいかどうかをチェックする「会計監査」という独占業務を持っています。お客さんは「上場企業」、つまり自社株式を流通させている大規模企業が一般的です。会社は株式を買ってくれる人に嘘をついてはいけないので、監査というチェックが必要になるのですね。ちなみに私はIPO(株式新規公開)をやっていましたので、お客さんは中小・ベンチャーが多かったですが。

勤務形態は9割くらいの方が合格後「監査法人」という組織に入り会計監査を行います。他にコンサル、一般会社等。いきなり独立という方は見たことが無いですね。

税理士と公認会計士の違いを私なりに説明すると次のようになります。私は税理士法人と監査法人に勤務した経験があるので、けっこう説得力があると思います(ちなみに経理もやったことあります笑)。

  • 税理士はその名の通り税金に強い。公認会計士は一応試験科目に税金はあるものの非常に弱い印象
  • 会計監査、大規模会社の会計に関しては公認会計士のほうが強い印象
  • 試験制度が完全に違う。税理士は5科目一気に合格するのは限りなく不可能。1年で1~2科目を合格していくのが理想。4~5年で合格できれば早いイメージ。公認会計士は6科目を一気に勉強する。早い人は1年で合格するが、何年たっても合格しない人もいる(←ワイ)

公認会計士試験を想定した資格試験勉強法を「社会人の資格試験勉強法」カテゴリで投稿していますので、そちらもご参照ください!

税理士と公認会計士、どちらが優れているとか不毛な比較をするつもりはありませんが、間違いなく言えるのは会計と税務を切り離して考えるのはナンセンスということです。今はいろいろなものの垣根が無くなっている時代です。会計士だろうが税務をしっかり勉強しないとこれからの時代プロとは言えないでしょう。

税理士と公認会計士は資格が必要な士業であり、およそ簿記会計(税務)と名の付くジャンルは全てマスターしなければいけません。当然ですね。なので、日商簿記3級後は、2級、1級とチャレンジするもよし、そのまま資格の専門学校に行くのもいいでしょう。ちなみに公認会計士に受験資格はありませんので誰でも受験できますが、税理士は大学単位要件等細かく定められているので事前に要確認です。

会計事務所に資格なしで勤務:

個人的におすすめしません。大手も中小も、有資格者が組織の大半を占めており、資格のない新人をじっくり育てよう、といった雰囲気は感じません。また業界の特性として、どんなに仕事ができたとしても「資格なし」では監査だと監査報告書にサインできない、税務でも申告できない、といった制約が出てしまいます。

「修行する」というスタンスなのであればいいと思います。

次の記事もご参考ください。

プロフェッショナルの最低要件と「年齢」の話

次に、「会計専門家ではなく、あくまでも会計を道具の一つとしてとらえる場合」の選択肢を見てみましょう

次の記事 会計関連職業「コンサルタント・CFO編」

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