「会計プロ」として生きる場合の選択肢からの続きです!
前回までで、会計は「粘り」と「日商簿記3級」がとても大事という話をしました。
そして「会計専門家」になる場合、会社経理、税理士、公認会計士、会計事務所勤務が考えられる、という話をしました。
しかし会計に関係するといっても、専門家ばかりではありません。
会計というのは基本的に、会社の決算が関係します。その意味では、会社に勤める人は全員関係しているのです。
つまり、社会人であればほとんどの方が会計と関係している、といえます。
さて、ここでは「会計専門家」ではないけども、会計を道具の一つとして扱う場合の職業と、どのように勉強することが考えられるのか、見ていきましょう。
- コンサルタント
- CFO
- 経営マネジメント・社長(次回)
・コンサルタント
コンサルタントといってもいろいろありますが、ここではコンサルファーム勤務を想定します。私は3か月だけ監査法人系列のコンサル会社に出向していたことがあります。わずか3か月なのであまり偉そうなことは言えないのですが、コンサルタントにとっても、間違いなく会計知識は重要となります。
コンサルタントとはその名の通り、クライアントから特定分野の改善(例えばクライアントの「稟議フロー」改善等)に関する依頼を受け、対応策を検討し、クライアントに改善策を提案、さらにクライアントの内部会議に出席して場を仕切り、場合によっては実働部隊としてクライアントと一体的に会社内で動いたりします。
コンサルタントはクライアントの組織やパフォーマンスを改善させることが重要となるのですが、その「指標」として会計データが必ず必要になります。
つまり、「我々のコンサルを受けることにより、これだけ業務が改善しますよ(しました)!」ということを、部門別の売上・利益等のデータを使って説明する必要があります。
これを行うために必要な知識は、日商簿記2級までは当然となるでしょう。なぜならBS、PLの仕組みは当然わかっているとして、会社内部の計算である「原価計算」さらに、「管理会計」といった発想が必要になります。つまり、全社的な「決算」だけの視点でなく、会社を分割した単位である部門や組織に着目した会計知識が必要となるのです。もちろん2級だけもっていればいいというものではなく、会計数値を業務に実際に活かす能力が必要となります。
ちなみに、会計からは離れますが、私から見たコンサルタントに必要な資質は次の通りです。
- 会社(クライアント)そのものに興味がある。会社(クライアント)大好き
- タフ(残念ながら打ち合わせや作業等が深夜になることがあります…)
- プレゼン・説明・パワポ作成が上手(これは新人のときから叩き込まれると思います)
さらに、会計系のコンサルであれば、経理部門の改善や、IFRSへの移行等、高度なコンサルを依頼されることも多々あります。この場合は会計に詳しいだけでなく、どうすればより効果的に決算を組めるか、さらにどうすればIFRS決算を組めるか等、専門的な内容を熟知しておく必要があります。監査法人の経験を積んだ後に、このようなところに転職する人が多いです。
コンサルタントは非常に幅広いため、分野にもよるでしょうけど、概ね上記のようなイメージと思います。
CFO(最高財務責任者)
最近は日本でも職種の専門家が進み、転職サイトを見ると多くの会社が「CFO」を募集しています。
このCFO、私はもしもう少し若ければなってみたい職種の一つでした笑。
CFOにもいろいろありますが、ここではIPO準備会社、上場会社についてみていきたいと思います。
・IPO準備会社のCFO
転職サイト等で募集が多いのはこの職種ですね。今は非上場だけど、近い将来上場する(IPO=株式新規公開)予定であり、非上場企業から上場企業へ決算体制を大幅に変えるミッション、さらに様々な利害関係者へ説明するミッションが与えられます。基本的には監査法人を経験した公認会計士がなることが多いですが、社長の友人、共同創業者がなる場合もよくあります。
IPOに関してはまた別に投稿しますが、上場後のストック・オプション行使で金銭的に非常に夢がある反面、上記のミッションを達成するのは「とてつもなく」困難となります。
CFOを目指している人に具体的なイメージをもってもらうためにお勧めしたいのは、最近上場した会社の「有価証券届出書」を見ることです(会社名+「有価証券届出書」等で検索できます)。
この書類を問題なく作成できる体制を、3年程度で作ることが、最初のゴールとなります。もちろん必要書類はそれだけではありませんが。
CFOは取締役ですので、基本的に経理部員のように帳簿をつけることはないでしょう。その代わり経理から上がってくる各種書類をレビューし、増減を分析し、異常点を感知し、組織にフィードバックする力、さらにそれらの書類を合わせて投資家等にわかりやすく説明する能力が問われます。
その意味では基本的な会計知識(日商簿記2級以上)+財務分析能力、さらに組織を回していく社会経験、そして当然ながら説明する能力も必要になると思います。
・上場会社のCFO
文字通り上場会社の最高財務責任者であり、簡単になれるポジションではありません(IPOに成功すればもちろんなれますね)。私が知っている限りでは、長年組織に所属し、会社のことを知り尽くし、さらに会計知識も当然にある方が多いです。但し最近は他の会社からCFOを引き抜くといったケースも見られます。
いずれにしても、若いうちに狙ってなれるポジションではないでしょう。「役員」なので出世レースも関係し、長年経理をやっていればいいというものでもありませんしね。
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