お小遣い帳の限界 からの続きです!
前回までで、お小遣い帳は「現金」の出し入れに関係することのみしか記録できない、ということをお話ししました。
さらに、会社の取引を記録するのにお小遣い帳では限界があり、会社は「複数の側面から」取引を記録する必要がある、ということをお話ししました。
そして「会社の取引を複数の側面から記録する」ために次のルールを覚える必要があります。
「借方・貸方ルール」

これについて「なぜこのようなルールなのか」という問いに対して回答すると、「今のところこれ以外にいい方法は発明されていない」となります笑。
さて、これを暗記したうえで、もう一度4月の取引を見てみましょう。

4月1日の取引、とても大事ですね。なぜなら会社にとって一番大事な「売上」だからです。
この取引は「借方・貸方ルール」では、次のように記録されます。
(借方)売掛金1,000円(資産の増加)/(貸方)売上1,000円(収益の発生)
借方(かりかた)・貸方(かしかた)という名前にほぼ意味はありません。左と右をそのように呼ぶと覚えましょう。
お小遣い帳では記録不可能だった掛取引、つまり「代金後払い」取引も、しっかり記録することができます。
代金後払いとはつまり、お金を後日もらえる権利ですね。「権利」ということは会社にとっての「資産」となります。
ピンとこなければ、「将来の現金」と考えればいいでしょう。現金であれば会社が自由に使える資産ということは理解できると思います。
「売掛金」はいずれかなりの確率で現金になるものであり、会社の資産にしてしまおう、ということです。
「借方・貸方ルール」では、この「資産」の増加はすべて左側・つまり借方に記録する、としています。図で確認してください。
さて、1000円の「売上」ですが、これは「収益」というカテゴリーに入ります。売上と収益は似ているように聞こえますが、売上は収益の一部であり、収益は他にも銀行の利息、株の配当金を含み、もう少し広い概念となります。
「借方・貸方ルール」では、収益の発生を右側、つまり貸方に記録することになっています。図で確認してください。
もう一度さっきの記録を見てみましょう。
4/1 1000円で簿記セミナーを開催しました。1000円は5月に払ってくれるそうです。
(借方)売掛金1,000円(資産の増加)/(貸方)売上1,000円(収益の発生)
図の「借方/貸方ルール」にしっかり従っていますね。
お小遣い帳では記録できなかった取引が、「資産の増加」と「収益の発生」という複数の視点に着目することにより、記録できるようになりました。
さて、ここで急に「決算」を迎えたとしましょう。
つまり「1000円で簿記セミナーを開催しました。1000円は5月に払ってくれるそうです。」という取引を行っただけで、決算が来た、とします。
この会社の「貸借対照表」「損益計算書」を作りましょう!
資本金はゼロとします(本当は1円以上必要ですが…)
取引はこれだけですね。
(借方)売掛金1,000円(資産の増加)/(貸方)売上1,000円(収益の発生)
さてどうなるでしょう。答えを先に言います。

損益計算書は、会社が「もうかったかどうか」を示すものです。
売上は1000でしたね。費用はゼロ。よって利益は1000となります。この場合はシンプルですね。

貸借対照表は、会社の財政状況を表すものです。といっても最初はピンと来なくて構いません。
貸借対照表は「借方・貸方」ルールに従って作成されます。
借方にはそのまま売掛金がのっていますね。
貸方の利益剰余金(りえきじょうよきん)、なんだこれは!!と思うかもしれません。
しかし、もう一度「借方・貸方ルール」を思い出してください。
「資本の増加」は貸方ですね!
この「利益剰余金」、資本のひとつなのです!
どうやってここにのってくるか。こういう理屈です。
もし、その年の会社の売上が1,000、費用が500であれば、その年の「利益剰余金」は1,000-500=500。
つまり、ゲットした利益がそのままここにのってくるのです!
この例は、売上が1000で、それがそのまま利益になっていましたね。
そこで1000がそのまま「利益剰余金」になっているのです。

この例は1年分しかありませんが、過去ゲットしてきた利益も含めて、ずっとここにのってきます。
違う言い方をすれば、その会社がゲットしてきた利益は、貸借対照表の「利益剰余金」を見ることで、確認することができます。
優良企業であればこれがたくさんあるはずですね。
今日のまとめ
- 超簡単な例で損益計算書・貸借対照表を理解する!
- 「利益剰余金」は過去ゲットしてきた利益の合計!
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