超シンプルな損益計算書・貸借対照表を作ってみる からの続きです!
前回で「借方・貸方ルール」を暗記し、売上の掛取引(代金後払い取引)をどのように記録するか、見てきました。
簿記セミナーを開催して、お客さんがその場で現金をすぐくれるのであれば、お小遣い帳ででも記録可能ですが、実際の会社では、現金を持参することはほぼありません。
だいたい相手の会社のルールで、「1か月後に振り込みます」ということが多いと思います。
本当は早く1000円振り込んで欲しいのですが、まあこればかりは仕方ないですね。
この辺、今後電子マネーの普及により、変わってくるかもしれません。
まあ電子マネーだろうがなんだろうが、ないものは払えないのですが…
そしてさらに、前回は「損益計算書・貸借対照表」も強引に作ってみました。
この損益計算書・貸借対照表は決算書の中でも非常に重要なのですが、取引をひとつでも記録していれば、作ることができるのです。前回作りましたね。
もういちど前回の取引を見てみましょう。
4/1 1000円で簿記セミナーを開催しました。1000円は5月に払ってくれるそうです。
(借方)売掛金1,000円(資産の増加)/(貸方)売上1,000円(収益の発生)
この2行目を「仕訳(しわけ)」といいます。取引の記録、くらいのイメージでいいでしょう。この仕訳を記録することを実務では「仕訳を切る」、といいます。
この仕訳を切った後、急に決算を迎えてしまったとしたら、次のような損益計算書と貸借対照表が出来ました。

「貸借対照表」の「利益剰余金」は現時点でピンと来ないかもしれませんが、「これまで積み上げてきた利益の合計」と理解しておけば大丈夫です。
「利益剰余金」は資本金の一種です。なので、増加すると貸方にきます。
毎期積みあがっていくので、毎期黒字を出している優良企業であれば、ここがだんだん大きくなっていくわけですね。
逆に、赤字を出すと利益剰余金は減っていきます。
ここでのポイントは、仕訳が一本でもあれば、決算書を作ることができる、という点です!
さて、これだけで決算を迎えてしまった、というのは仮定のお話であり、実際は売上一本で会社の取引が終わるということは100%ありません。
残りの取引をもう一度見てみましょう。

4/3の取引、本当によくないですね!なぜよくないか。
それは今月売上が1000円しかないのに、100円も飲み食いに使っているからです。
会社の規模(売上=1000円)からすると、100円とはいえ大きな出費です。
ピンとこなければ億円、と思ってください。つまり売上1000億円で、交際費100億円。…ありえないですね笑。
ちなみに売上の額は、会社の規模を判断するときにも使われたりします。あの会社売上1兆円くらいあっておっきな企業だ、とか。
社長は「これは、お客さんと飲みに行った経費なので、会社が払うものだ!!」と開き直っています。
ところで、これどうやって払ったのでしょうか?会社にお金はなく、売上1000円の入金は翌月というのに。
社長に聞いてみたら「会社のカードで払った」とのことでした。つまり代金は翌月に会社の口座から落ちるわけです。
これもお小遣い帳では記録できないですね。
さて、しつこいですがもう一度「借方・貸方ルール」を見てみましょう。

引き続きこのルールに当てはめて、この取引を仕訳してみます。
4/3 社長が飲み食いして100円使ってしまいました…
(借方)交際費100円(費用の発生)/(貸方)未払金100円(負債の増加)
借方は「費用」です。つまり、売上から差っ引かれるもの。売上から費用を引いて利益を出しますね。その費用です。
交際費、よく聞く言葉ですね。「経費で落ちる」とよく言いますが、あれも交際費を指していることが多いです。
このようにお客さんと飲んだり接待したりしたときは、費用の科目として「交際費」を使うことが一般的です。
費用の発生は「借方」ですね。
貸方は「未払金」。ほんとうはお金で払いたいのだけど、現金は会社にない。なので会社のカードを使った。
ということは当月はまだ払わなくてもいい。翌月に預金から引き落とされる。
つまり、将来に預金を払う義務、として、未払金、つまり「負債」となります。
最初の売掛金は、「将来にもらえる預金」、でしたね。「未払金は将来に払う預金」、よって売掛金と未払金はお互い逆のイメージ(資産と負債)ということがなんとなくつかめればOKです。
さていま、この会社に2本の仕訳が入りました。
(借方)売掛金1,000円(資産の増加)/(貸方)売上1,000円(収益の発生)
(借方)交際費100円(費用の発生)/(貸方)未払金100円(負債の増加)
この2つの仕訳で、もう1度決算書を作ってみましょう!

※赤い線が今回追加されたものです。
「損益計算書」は、売上1,000円から、新たに発生した交際費100を差っ引いて、900円の利益が出ています。
「貸借対照表」は、売掛金は前回と同じ。新たに未払金が、2つ目の仕訳から来ています。
さらに利益剰余金は「過去にゲットした利益の合計」でした。そこで「過去にゲットした利益」つまり、今回の利益1,000-100=900が来ています。
不思議なことに、貸借対照表の借方と貸方の合計(1,000)は一致していますね。
これ、実は不思議でもなんでもないのです。
なぜなら、一致するように作っているからです!!まあ、今はそんなものかで大丈夫でしょう。
仕訳に「費用」も入れたことで、より本物の決算書らしくなりましたね!
繰り返しですが、「借方・貸方ルール」はひたすら守っていることを確認してください。
今回のまとめ
- 仕訳が2本になっても、もちろん「借方・貸方ルール」で決算書を作る
- 損益計算書は普通、収益(売上)だけでなく費用(今回は交際費)が入る
- 「貸借対照表」は、借方と貸方の合計が一致する。なぜなら一致するように作っているから(何のこっちゃ)
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