超シンプルな決算書の作り方!パソコンも買ってみた-会計道(カイケイドウ)⑨ 複式簿記5-

超シンプルな決算書の作り方!費用も追加してみる からの続きです!

前回までで、売上(簿記セミナー)と費用(社長の飲み食い=交際費)だけで、決算書を作ってみました。おさらいの図を乗せておきます。

意味は完璧にわかる必要はありません。そんなにすぐに理解できるものではないです。ただ数字を追って、ちゃんと仕訳から決算書につながっていることを確認してください。

確認してほしいのは、

仕訳をすると、その仕訳の内容はそのまま決算書につながっていく

とういことです!

これから残りの取引を見ていきますが、仕訳をする都度、決算書も変わっていきます

さて、残りの取引を見ていきましょう。

4/10はセミナーでもっといい資料を作るために、パソコンを買った、というものです。

ところで「パソコン」と、前に見た「社長の交際費」、決定的な違いは何でしょうか?

違うも何も、全然違うじゃないか!と思う気持ちはわかります。

しかしその違いを、簿記・会計的に、より具体的に説明することができます

それは、「パソコン」はすぐ無くならない。今後壊れるまで使い続けることができる。

「社長の交際費」はそもそもモノではない。すぐ無くなってしまう、というか残らない。この違いに着目してください。

「パソコン」は典型的な「会社の資産」ですね!こっちのほうが前に見た売掛金よりも資産としてのイメージが付きやすいと思います。

売掛金は「いずれ現金になるだろう」という意味での資産でした。何かふわっとしていますね。

ところがこのパソコンは、実際に存在するモノ、しかも会社のために使うのですから、会社の「資産」であることに何の異論もないでしょう。

「資産」の増加は借方、でしたね!

ちなみにこの会社、まだほとんどお金がありませんので、このパソコンも後払いで買ったとします。

後払いということは交際費のパターンと同じですね。つまり未払金。

未払金は負債でした。

仕訳はこのようになります。

(借方)パソコン 500(資産の増加)/(貸方)未払金500(負債の増加)

※パソコンは実は費用にもできます。しかしここでは原則通り資産とします。また名前は実際には「パソコン」では記録しません。「工具器具備品」が多いです。

さて、ここで決算になったらどうなるでしょうか。

今まで入った仕訳は次の3つでしたね。

(借方)売掛金1,000円(資産の増加)/(貸方)売上1,000円(収益の発生

(借方)交際費100円(費用の発生)/(貸方)未払金100円(負債の増加

(借方)パソコン 500(資産の増加)/(貸方)未払金500(負債の増加)

決算書はこうなります。

だんだんごちゃごちゃしてきましたが、なんとかここまではこの図についてきてほしいです。

前回との違いは、貸借対照表にパソコンが追加されていることですね。追加された仕訳の借方の通り500円入ってきています。

さらに貸借対照表の未払金が100から600に増えていますね。これも追加された仕訳の貸方500が入ってきたわけですが、元からあった100に足されて、600となっています。

要するに、社長の交際費の未払い分100と、パソコンの未払い分500、合計600となっているわけですね。

このように、同じ科目であればどんどん追加されていくのです。

考えてみれば当たり前の話で、会社の支払い義務は、当初の社長交際費100、さらにパソコン代金500、あわせて600ですね。

その合計額が貸借対照表に載っているのです。

さらに、貸借対照表の合計値、これが前回の1000から1500に増加しています。ちょうどパソコンと未払金の増加がそのまま貸借対照表の増加分になっていますね。

さらに借方と貸方が当然のように一致しています。前回触れましたが、貸借対照表の借方と貸方の合計額は、必ず一致します。

さて、損益計算書の方に行ってみましょう。前回との変更点はありますか?

・・・ないですね。

今回の取引は、損益計算書は関係ありません。もう一度仕訳を見てみましょう。

(借方)パソコン 500(資産の増加)/(貸方)未払金500(負債の増加)

損益計算書には「費用の発生」、「収益の発生」が入るのでしたね。もういちど「借方・貸方ルール」で確認してください。

この仕訳を見ても、どこにも費用・収益はありません。

別の言い方をすれば、この仕訳は貸借対照表だけに関係するものなのです。「資産の増加」「負債の増加」なので、ルール通りですよね。

さて、その結果、貸借対照表の「利益剰余金」、これは変わったでしょうか。

利益剰余金、もういちど意味を確かめると「過去にゲットした利益の合計」でした。

過去にゲットした利益は、前回までと変わらず売上1000-交際費100、つまり900ですね!

今回のパソコンの仕訳は、何の関係もなかったのです。

利益剰余金は900のままとなっています。

今回はパソコン、つまり会社にとっての固定資産の取得を確認しました。

まとめ

  • パソコンは会社にとっての「固定資産」。固定資産を買っても、費用にはならない。つまり損益計算書には出てこない
  • 未払金は交際費分の100と、パソコン分の500が合わさって600になっている。たぶん来月くらいに、600円払う必要がある
  • 貸借対照表は相変わらず貸借が一致している(今後も永久に)

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