公認会計士の光と影③ ~BEST3、WORST3~

前の記事 公認会計士の光と影② ~BEST4、WORST4~

「公認会計士の光と影」では、一般企業で働きながら公認会計士を取得し、いい年して業界に飛び込んで、とてもよかったこと、大変残念だったこと、をランキング形式で挙げています。しつこいですが個人の主観です

  • BEST4「チームでの取り組み」と「リスクアプローチ」の習得
  • BEST5 繁忙期・閑散期のメリハリがつく
  • WORST4監査法人は組織として若く、未熟な面がある
  • WORST5 繁忙期の長時間労働

BEST3、WORST3にいきます!

【BEST3】監査法人は勉強した内容が100%使える。知的好奇心が充たされる。

私はこれまで20年近く働きながら勉強しています。会計に限らず英語やITなんかも勉強しました。別記事でも触れていますが、昔から勉強好きだったわけではなく、学生の頃まったく勉強しなかった反動のようなものです。

その経験から言えるのですが、一般企業で働いている場合、普段勉強したことは「多少」実務に応用できれば大満足すべきと思っています。

以前金融の仕事をしていました。融資判断の際、お客さんの決算書を見ていろいろな分析を行います。そのためもちろん決算書に詳しくなるにこしたことはないのですが、かといって連結や税効果の知識が必要かと言われると全く必要ありませんでした。日商簿記1級を勉強していたとしても、実務で必要になってくるのはそのうちのほんの少し、ということになります。これはもちろん業界によるでしょうけど、普段勉強していることが全面的に現在の業務に応用できる、ということはかなりレアだと思います。

しかし監査法人の場合、公認会計士試験で勉強したことはほとんどすべて重要なこととなります。財務会計論、管理会計論、監査論、租税法、企業法、ファイナンス全てです(経営学組織論あたり、もしかしたらそれほど重要でないかもしれません)。よって、これらを完璧に理解し、さらに上積みしていくことが非常に重要となります。

別の言い方をすると、これらの科目を土台に知識と経験を積み上げていけば、必ず仕事で報われます

これって結構すごいことで、勉強して知識を積み上げ、正しい使い方をすれば、しっかり評価されるのです。とてもシンプルでわかりやすい。

他の業界だとなかなかこうはいかないと思います。

とにかく朝から晩まで会計基準のこと、監査基準のこと、クライアントのことを考えているので、いやおうなしに知識が頭に叩き込まれていく感じがします。

もちろん知っておくべき知識は大量にあり、最低限のものを知らなければ内部・外部から痛い目にあいますので、油断はできませんが。

さらに、クライアントの業種は多様であり、様々な業界の勉強をすることは本当に知的好奇心が充たされます。

自分が全く知らなかったクライアントの業種(私の例だと農薬、工場消耗品、ECサイト、ソフトウェア制作)といったありとあらゆる業界のことを知っておく必要があるため、様々な業界のことに詳しくなれます。

しんどいときもありますが、好きな人にとってはたまらない空間となるでしょう。

東京CPA会計学院

【WORST3】愛着が持てない組織。説明をしない、機械的な側面。

監査法人は規模にもよりますが大体大きなところだと5000人以上が所属しており、海外のメンバーファームも含めると20万人を超えるところもあります。おそらく想像以上に大きな組織です。私も入社して、自分の名前をメールシステムで検索して同性が何十人も出てきて驚きました。また部門も監査のみならずコンサル、税務等複数あり、使用しているシステムもかなり複雑でした。

そのためか、組織運営が極めて機械的で、あまり人間的でないところがあります。

例えば人事評価。私は新人の頃、中途採用なので他の新人と違うところを見せようと張り切り、英語案件をやったり米国出張に行ったりコンサルをやったり、さらに経験のある税務を武器に税効果やIPOに取り組んだりと、他の新人以上のことをやったと自負していました。

しかし私の賞与の評価は何とD。標準Cよりマイナスということでした。これはその年すべての新人が基本Dとなったようで、特に悪く評価されたというわけではないようですが、それでも個人的に非常に納得しがたいものがありました。そもそも中途採用なので他の新人と同じ評価テーブルで評価されること自体が納得できませんでした。まあ、今思えば「目くそ鼻くそ」で、妥当と言えば妥当なのですが笑。それでも、一応頑張ったと思っていたときに、いきなり「D」と人事から送られてきて、賞与は標準からマイナス、それ以上何の説明もなかったので衝撃的でした。

さらに納得しがたかったのが、「リクルーター」をやった新人は評価「C」になった、という話を聞いたときです。リクルーターの是非は置いておいて笑、結局リクルーターをやったかどうかで評価が決まるのか、と愕然としたのを覚えています。

監査法人は典型的なマトリックス組織で、常に行動を共にする直属の上司は基本いません。ジョブによってコロコロ上司が変わります。これは気楽な面もありますが、お互い浅い付き合いになることが多く、人事評価に関しても、誰も納得できる説明をしてくれません。

この例が象徴していますが、監査法人はとにかく従業員に「理由」を説明しない。なぜその評価なのか。なぜその業務をしなければいけないのか。なぜやり方を期中に突然変えるのか(たいていはアメリカの本部に言われたからですが)。

私は監査法人には様々な機会を与えてくれたことに対して大いに感謝していますが、やり方があまりにも機械的で一方的に感じており、愛着を持てたことは残念ながらありませんでした。

なお、監査法人にもいろいろあるため、上記例は私が所属した某法人のみかもしれません、とお断りしておきます笑

東京CPA会計学院

次の記事 公認会計士の光と影④ ~BEST2、WORST2~

2 COMMENTS

現在コメントは受け付けておりません。