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「公認会計士の光と影」では、一般企業で働きながら公認会計士を取得し、いい年して業界に飛び込んで、とてもよかったこと、大変残念だったこと、をランキング形式で挙げています。何度も言いますが個人の主観です笑
- BEST3監査法人は勉強した内容が100%使える。知的好奇心が充たされる。
- BEST4「チームでの取り組み」と「リスクアプローチ」の習得
- BEST5 繁忙期・閑散期のメリハリがつく
- WORST3愛着が持てない組織。説明をしない、機械的な側面
- WORST4監査法人は組織として若く、未熟な面がある
- WORST5 繁忙期の長時間労働
BEST2、WORST2に行きましょう!
【BEST2】 いろいろな企業を訪問し、ビジネスの仕組みを知ることができる
これを1位にしようが悩みました。それくらいこれ、自分にとっては大きいです。
もし監査法人であれば、世間に名の知れた有名企業の監査に行くこともあるでしょう。
監査法人でなかったとしても、同様にクライアント企業を訪問することは日常的にあります。
それも尋常じゃない数の会社を見ることができます。
私は一時、3か月で10社もの企業を訪問していたことがあります。
業種はITベンチャー、商社、農業、スポーツジム等まさに多種多様でした。
それらの会社を訪問して、取締役会議事録を見たり、会社の人と業績について話したりすることは、本当に好きでした。
取締役会議事録って、普通は会社の中の人もそう簡単には見ることができないと思います。
監査法人では、それら意思決定のための重要書類は監査に必要なので、新人スタッフでもあっさりと見ることができます。
私は社会人になってすぐ会社訪問をやっていたこともあり、これがどれだけすごいことかよくわかっています。
普通は会社の偉い人に会うことすらままならない。しかし公認会計士は経理部長とは基本的にはお話をさせてもらえますし、年に数回、会社のトップの方々ともお話をすることになります。それもかなり若い年次で、です。
議事録を見たり、経営トップの方と企業戦略についてお話ししたりすることは、個人的に非常に楽しかったですし、本当に恵まれていると思いました。
実はこれって楽しいだけじゃなくて、しっかり準備をしなければいけないので同時に大変だったりするのですが…。それはそうですよね。会社のことを何も知らないまま相手のトップとお話はできません。相当な予習が必要になります。
ひとつ気がかりなのは、こういったトップと話せる機会、いろいろな会社に行ける機会を、「当たり前」のようにとらえ、何とも思わない若手会計士が多かったことです。まあ目の前の業務が大変で楽しむどころではないのでしょうけど笑。
会計士は「会社」「戦略」「組織」に興味が無いとこれからの時代厳しいと思っています。「会計マシーン」「監査マシーン」はいくらでも代替が利くのです。
【WORST2】無茶ぶり・たまにハラスメント・期末プレッシャー
これ書こうかどうか悩むところです笑。おそらく私が経験しただけだと祈ります。ただし似たような話はよく聞きます。
前回も触れた通り、監査法人は「機械的」な側面があります。
マトリックス組織ということもあり、難しいクライアントだろうがあっさり終わりそうなところだろうが、人員を機械的に割り当て、さらにそこからチームごとに担当科目等が割り当てられます。
いきなりとんでもない会社に割り当てられることもあります。
例えば、会計士とまったくコミュニケーションを取ってくれない会社があります。
これはおそらく監査法人にも非があり、相手の都合を考えず滅茶苦茶な依頼を連発したりすると、このように「冷戦」関係となります。
で、そのようなクライアントの難しい科目を機械的に割り当てられても、期限までに終わらせることができません。本来であれば事前に「どう対処すべきか」等責任者に教えてほしいのですが、運が悪いと、そういうマインドが全くない責任者のもとにつけられることになります。
そして自分の作業が全く進まないと、鬼のように激詰めされることがあります。私はハラスメントと言っても差し支えない言動を何度も浴びました(後に仕返ししましたが笑それは別記事で書きます)。
確かに自分の実力不足の面もあるでしょう。どのような環境でも上手くやれる人も稀にいます。
しかしこういった環境の大半の責任は、クライアントと冷戦状態という状況を放置してきたパートナーと歴代監査主任にあるのです。
せめてクライアント特有の「仕事を効率的に進められる対策」を教えてほしいのですが、「自分も苦労しているので皆苦労しろ」のマインドを発揮する人がいるのです。要は病んでいるのですね。
さらに、監査というのは締め切りがあります。基本的に上場企業は45日ルール、つまり決算後45日以内に「決算短信」を発表する必要があります。
まずはこの45日以内に決算を見切る、というのがひとつの目標です。
さらに計算書類、有価証券報告書に対する監査意見日が決まっており、これに合わせて社内の審査スケジュールに何としても間に合わせる必要があります。
これは結構なプレッシャーです。まず会社がしっかり数字を作ってくれないと、こちらは何もできませんし、作ってくれたとしても間違っていたら、そこからさらにやり取りをしなければならず、非常に時間がかかります。
1つの会社だけならまだしも、普通は複数のジョブを持ちますので、3月決算であれば、4~5月はかなりのプレッシャーと戦いながらの日々を過ごすことになります。
特に2020年はコロナ環境下での期末監査でしたのでいろいろと初めてのことが多く、これまに感じたことのない種類のプレッシャーがありました。
もちろんこういう状況下なので、45日ルールの緩和だったり、様々な期限の延長が認められているので、どうしても間に合わない場合はスケジュールを後ろ倒しにすることもできます。
しかし後ろ倒しにするとそれはそれできついのです笑。人間というのは不思議なもので、締め切りが延びると緊張感が薄れてしまい、また次の締め切り近くまでほとんど作業が進まなかったりするのです…
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