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さて、社会人の資格試験勉強法も終盤となります。
資格試験の予備校には「答練」と呼ばれる確認テストがあります(呼び名はいろいろでしょう)。
試験時間は大体1~2時間くらい。公認会計士試験では本番形式の3時間答練もありました(解くのがものすごくしんどかったです笑)。この答練の有効な受け方、使い方を見ていきましょう。
- 答練をテストとしてとらえない。作業としてとらえる
- 基本テキストと答練のリファー
- 点数にこだわるのは2週目、もしくは3週目から
- 正直に最初から最後まで全部解く必要なし
- 禁じ手!?理論科目答練は「書くことすら不要?」
答練をテストとしてとらえない。作業としてとらえる
これらの「答練」、もちろん全部解くことが重要です。
しかし答練を「テスト」つまり時間を計って受け、予備校に提出するのはとんでもない重荷となります。
公認会計士試験であれば、答練の数はおそらく100以上あります。働きながら毎週のようにテストを受けるのは社会人受験生にとってとてつもない負担となります。
そこで、これまでにも記載してきた通り、答練はテストとして受けるのではなく、「ちょっと考えて」「すぐ答えを見る」ものだと位置づけましょう。
間違っても点数には一切こだわらないほうがいいです。
社会人受験生は、時間的制約から復習が完璧ではありません。その状態でテストとして受けたとしても点数が悪くなるのは目に見えています。
点数が悪いとモチベーションダウンにつながります。これまで受験優等生だった人は特にそうでしょう。
点数が悪いことがやる気の低下につながることはよくあることです。
よって、答練をテストとしてとらえるのではなく、「ちょっと考えて」「すぐ答えを見る」「作業」としてとらえることをおすすめします。このようにとらえることによって心理的ハードルは一気に下がり、淡々と答練をこなすことができるようになります。
一方、答練は学習は一応の区切りでもあるため、問題を「多少なりとも」考える必要はあります。そしてわからなかったら即解答・解説を見て、極力手を動かして回答欄を埋めましょう。
基本テキストと答練のリファー
そして、ここからが大事ですが、解答写経でもなんでもいいので解答したら、「基本テキスト」に戻り、普段のマーカーとは違う色で、該当箇所が「どの答練に」「どのように出題されたか」書き込むこと、これが重要です。

↑基本テキストに赤字で「どの答練に」「どのように出題されたか」書き込んだ例。答練②③に、赤で下線を引いた箇所がそのまま出題されたことがわかる
このように基本テキストに普段とは違った色で、書き込んでいくことで、後に基本テキストを読んだ時に「あの答練でこの場所がこんな感じで問われたな」と思い出すことができます。
答練の意義はここにあります。つまり「あのときちょっとこれ考えたな」ということを、基本テキスト精読時に思い出すことです。
この「基本テキストと答練のリファー(参照)」を積み重ねていくことで、基本テキストを読んでいるだけで答練を復習することになります。
答練を解いていて、これはわかるな、という問題はもちろんリファーする必要はありません。あくまでもわからなかった問題のみです。
基本テキストとリファーできない応用的な問題もありますが、できるだけ該当箇所を探し、なんとか全部リファーするようにしましょう。私はどうしてもリファーできない応用的な問題も、基本テキストの余白に問題と解答を要約して書き込んでいました。
また当然ですが、解答で理解できない箇所は必ず予備校に確認するようにしましょう。
とはいえ予備校の答練解答は非常に丁寧に作られているので、聞かないと分からないというところはあまりなかった印象ですが。
点数にこだわるのは2週目、もしくは3週目から
上記の通り、点数にこだわるのは得策ではありません。
一方答練は、試験までに何度も何度も繰り返す必要があります。
そこで、試験1週目は答案写経&テキストリファーで大丈夫ですが、2週目はしっかりテストのように解く、という方法がいいと思います。
人によっては3週目からテストでもいいでしょう。
やはり試験が近くなると、答案を作成する練習はするにこしたことはありません。
(とはいえ会計士試験の場合、論文と言ってもキーワードが入って論理的であれば問題ないので、それほど書く練習が必要とは思いません。そのような文章作成は社会人であれば普段からやっています。強いて言えばペンで書く練習でしょうか)
これらを繰り返すことで、試験前には基本テキストを見ると「あらゆるところに答練からのリファーがされている状態」「テキストを読むと答練で問われた内容を思い出せる状態」となることが理想です。
正直に最初から最後まで全部解く必要なし
答練は、会計士試験であれば2~3時間のものが多く、かなり骨が折れます。
時間のない社会人は当然全部一気に終わらせる必要はありません。
総合問題と言っても、所詮は小問の集合なのです。
大問ひとつを40分で解く、といったように自分の都合に合わせてどんどん刻むべきでしょう。細分化することで心理的負担も小さくなります。
また、1つの答練の中でも異なるテーマの大問があることが多いので、当然ながら自分の状況に応じて大問を選ぶべきでしょう。今必要のない大問を解く必要はありません。
禁じ手!?理論科目答練は「書くことすら不要?」
私は理論科目(監査論・会社法・財務諸表論等)の答練は、実は解答を書くことすらしませんでした。解答写経と言っても書くのはものすごく時間がかかるからです。ひたすら解答を精読して、基本テキストへリファーしただけです。なので、2時間の答練も30分くらいで終わらせていました。その代わり何度も何度も解答を見て、キーワードを暗記しました。本番はそれで全く問題なく、むしろ理論科目に助けられたといってもいい出来でした。
これはおそらく私が理論科目が得意で、文章を書くのもそれなりに自信があったからだと思います。よって全員にお勧めできる方法ではありません。
しかし一方で、理論科目答練は文章を書くのに非常に時間がかかるのも事実です。
どうしても時間が足りず、それなりに文章に自信がある場合は試してみる価値があると思います。
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