公認会計士の光と影⑤ ~BEST1、WORST1~

前の記事 公認会計士の光と影④

「公認会計士の光と影」では、一般企業で働きながら公認会計士を取得し、いい年して業界に飛び込んで、とてもよかったこと、大変残念だったこと、をランキング形式で挙げています。最後まで言いますが個人の主観です

  • BEST2いろいろな企業を訪問し、ビジネスの仕組みを知ることができる
  • BEST3監査法人は勉強した内容が100%使える。知的好奇心が充たされる
  • BEST4「チームでの取り組み」と「リスクアプローチ」の習得
  • BEST5 繁忙期・閑散期のメリハリがつく
  • WORST2無茶ぶり・たまにハラスメント・期末プレッシャー
  • WORST3愛着が持てない組織。説明をしない、機械的な側面。
  • WORST4監査法人は組織として若く、未熟な面がある
  • WORST5 繁忙期の長時間労働

ついにBEST、WORSTです!

BEST クライアントに専門家として頼られる

このために勉強し、いろいろな経験を積んでいる、と言ってもいいでしょう。監査法人、税理士法人、コンサルを問わず、公認会計士はクライアントから様々な意見を求められます。「会計処理はどのようにしたらよいか」、「他社ではどうしているか」といった一般的な問い合わせのみならず、「誰かいい人材はいないか」といった非公式な問い合わせもあったりします。変わったところだと海外往査時に「通訳をやってくれないか」なんてのもありました。

会計処理相談」クライアントが会計処理について尋ねてきてくれるのは、クライアントと良好な関係を築けている証です。関係が良好でない場合、またクライアントが何か隠そうとしている場合は、尋ねてくることはありません。どんなに些細な問い合わせ、また面倒な問い合わせであっても、しっかり検討し、真摯に回答すべきでしょう。

他社例相談」公認会計士が強いのは「いろいろな企業の例」を知っていることです。クライアントは自社には詳しくても、他社の事情、世間一般の流れにはそこまで詳しくありませんので、そこでバリューを提供することが求められます。もちろん、他社の機密情報を漏らすことは絶対に許されませんので、会社名を出さず、一般論として抽象化した説明が必要となります。

この2つの問い合わせにしっかり応えることができれば、まずは専門家として最初のステップは合格ですし、クライアントも頼れる専門家として認めてくれるでしょう。この段階に至るのも結構大変ですが、対応できた時、本当に嬉しいです!何十人もの経理部がいるところに「専門家」として呼ばれ、意見を求められ、回答に対して「なるほど。ありがとう」と言われた時の安ど感と満足感といったらありません笑。緊張感と紙一重ですね。

年に数回訪れるこの時のために頑張っているといっても過言ではありません。

東京CPA会計学院

WORST 無駄の極意。標準化・マニュアル化がまるでできていない組織

残念ながらこれがワーストです。私が所属したところだけかもしれない、と言いたいところですが他でも似たようなものだと聞きます。

全ての業種でそうだと思いますが、監査では特に「契約」が非常に重要です。なぜなら相手の会社が監査に耐えうる組織なのか、社会的・ビジネス的に問題はないか、といったことをしっかりとドキュメント化し、契約にあたってリスク評価をすることが求められているからです。

当然契約にあたって、様々な書類を作成し、社内審査を通さなければいけません。

そしてこの書類が、どこにあるかわからないのです笑。

嘘のような話ですが、本当です。長く組織に所属している先輩に聞いても、これじゃない?あれじゃない?といった感じではっきりとわかりません。

社内イントラもあるのですが、検索ができないのです笑。

書類を探すだけで1日かかったりします。

さらに書類を見つけたとしても、当然のごとく記載例が見当たらず、手探りでなんとか書き上げ、さてそれをワークフローで提出しようとしても、今度はワークフローが見当たらない笑。

聞けば半年前にリニューアルされ、全く違うシステムに変わったとのこと。メールをあさっても1ミリも周知された形跡がない。

ようやく謎のシステムにたどりつき、契約申請しようとしても今度はワークフローの使い方が全く分からない…

このようなことは日常茶飯事です。ひとことでいえば管理部門が現場のことを全く理解しておらず、どんどんやり方を変えてくる上に、全く周知しない。彼らに言わせれば周知しているらしいですが笑。

このような「社内手続き」は、もちろん大事なことなのですが、「誰がやっても同じになるべき」ものですし、付加価値は1ミリもありません。当然ですね。契約文書がしっかり書けたからと言って顧客に対する当社の価値は1ミリも上がりません。

よって一刻も早く誰がやってもすぐできるように標準化、社内周知が必要なのですが、それに対して何のアクションも取られません。結果、全員が社内手続きで長時間残業をするというありさま。

どうも組織中枢部の考え方に「社内手続きだろうが何だろうが汗水流して気合でやり遂げろ」という昭和の価値観があったように思います。

監査法人は確かに複雑な面もあり、全パターンを網羅した簡便なワークフローはかなり難しいでしょう。しかしそうであったとしても、積極的に手続きを説明するなどの姿勢は示すべきと思います。

他にも様々な意味不明の社内手続きがあり、あるとき統計を取ってみたところ私の仕事の半分が社内手続きになっていました笑。それが監査法人を離れるきっかけとなりました。


というわけで「公認会計士の光と影」、それぞれBEST5、WORST5を挙げました。どんな業種でも光と影はあるはずです。そして私は総合的に見て、最初に言った通りこの業界に入ったことに大いに満足しています。監査法人のこともいろいろ書きましたが笑、たくさんの機会を与えてくれたことに本当に感謝しています。

BEST

  1. クライアントに専門家として頼られる
  2. いろいろな企業を訪問し、ビジネスの仕組みを知ることができる
  3. 監査法人は勉強した内容が100%使える。知的好奇心が充たされる。
  4. 「チームでの取り組み」と「リスクアプローチ」の習得
  5. 繁忙期・閑散期のメリハリがつく

WORST

  1. 無駄の極意。標準化・マニュアル化がまるでできていない組織
  2. 無茶ぶり・たまにハラスメント・期末プレッシャー
  3. 愛着が持てない組織。説明をしない、機械的な側面。
  4. 監査法人は組織として若く、未熟な面がある
  5. 繁忙期の長時間労働

東京CPA会計学院

1 COMMENT

現在コメントは受け付けておりません。