前の記事 3つの方向性を決める
前回、社会人の資格試験「以外」の勉強法の指針として、下記3つの方向性を考えました。
- 業務基礎学習
- 業務応用学習
- 中長期ビジョン
まずはこの3つについて、ひとつひとつ詳細に考えてみたいと思います。
業務基礎学習…今の自分の仕事に直接関係する知識の習得
これを考えることは、実は結構難しいことが多いです。自分がこれだ!と思い勉強してみても、実は違っていた、ということがあります。
これ、本来は「会社が決めるべきもの」もしくは「会社が推奨すべきもの」です。
会社は従業員に、「この業務を行ってほしい」、ついては「このような知識を習得してほしい」と具体的に提示すべきでしょう。
私も経験がありますが、システム関連や経理は、わりとイメージしやすいです。習得マストであるプログラミング言語、各種情報処理系資格、日商簿記等が該当すると思います。
大企業の経理であれば科目ごとに担当が分かれているので、担当科目を深く掘り下げる(退職給付、税効果等)ために、自分が担当するジャンルに特化した専門書を購入することもあり得ます。
しかし往々にして、会社のルールは、過去に決められたまま何も改定されていなかったり、そもそも全然関係ないものがなぜか決められていたりします。
全く定められていない可能性もあります。
定められていない場合、まずは、今自分が何を「なりわい」としているか。これをじっくりと考えてみるべきでしょう。
私自身に当てはめると、監査法人勤務時代は「修了考査のテキスト」がこれに該当しました。
「修了考査」とは公認会計士試験合格後、実務経験を積んで約3年後に受けるテストで、これに合格して初めて「公認会計士」と名乗ることができます。5科目計13時間と膨大な試験となります。ただし合格率は60%以上と高めです。
この「修了考査」対策の予備校テキストは、監査という業務を進めていくうえで必須となる「会計」「税務」「監査」の具体的な処理方法がわかりやすくまとめられていました。私は修了考査合格後も「業務基礎学習」に取り入れ、継続的に学習していました。
試験が終わればもう試験用テキストなど用なしとばかりに見向きもしない同僚が多かったですが、それはもったいない、どころか、かなり問題があると思っていました。
このテキストに書いてあるにもかかわらず、完全に忘れた状態で業務に取り組んでいる人がかなりいましたが、それはプロとしては残念です。基礎をおろそかにすることは最悪、締め切り間際になってやるべきことをやっていないことが出てくるなど、大きな事故を招く原因になります。
さて、公認会計士の監査業務であれば、「業務基礎学習」は割と明確です。
しかし私が最初に入社した会社のある部署は本当に不思議なところで、何を勉強するべきか、そもそも何を目的とした部署なのか、はっきりとわかりませんでした(具体的に業種を書きたいところですが、けっこうレアな業種と言うこともあり…)。
日本の企業であれば、多かれ少なかれ、こういうことがあると思います。いったいこの部署は何を目的としていて、自分は何をやるべきなのか。
もちろん文書等では示されており、上司や同僚に聞くと答えは返ってくるでしょう。
しかし何か「ふわっと」しており、いまいち具体的でない。
そういう職種や組織があるのも現実なのです。
このように「自分が何を勉強すべきなのかわからない」つまり「自分の業務基礎学習」のテーマがわからないときはどうすればいいか。
まずは目の前の課題をいかに効率よく片付けるか、に重点を置いた学習をすべきでしょう。
自分が担当する業務の内容、求められる要件を細かく考えていく。
そうすると業務に対する深い理解が得られると同時に、習得すべき知識も徐々に明らかになっていきます。
営業だとしても、細かく分けるといろいろありますね。プッシュ型なのか、プル型なのか。トークが必要なのか。ライティングやデザインが必要なのか。外資保険営業の友人は「雰囲気づくり」が必修だと言っていました。
まずは今求められている課題を細分化して、必要となる知識を洗い出すのです。
大体3つくらい「科目」を抽出する。
そして、次にその科目のスタンダートとなる書籍を1冊を購入することです。
全くの初心者であれば、イラスト付きの初心者向け入門書等がいいでしょう。
少しジャンルは違いますが、私は最近一眼レフカメラを購入し、あわせて「初心者向け一眼レフ使い方」の本も購入しました。
この本、本当に超初心者向けですが、これをまず読んで、機材の使い方や写真の撮り方の基礎をしっかり覚えるのは、本当に重要だ、と実感しています。
まずは超簡単な本を何度も何度も繰り返して読み、実践(実際に写真を撮る)もしたところで、応用的なテーマに手を出すのがいいと思います。
焦っていろいろな本に手を出すのは得策ではありません。基礎とはそう簡単に身につくものではないからです(過去何度基礎を軽視して失敗したことか…)。