前の記事 売掛金の回収=マネタイズの重要性-
前回から5月の取引に入っています。


前回、ついに懸念であった「売掛金」を現金化(マネタイズ)できました。
その結果、今会社には預金が1,400もあります。
5/1仕訳入力後


どうも1,400だとイメージがわかないという方は1,400億円とでも思ってください。
いっきにキャッシュリッチになりましたね~
総資産2,000のうち、預金が1,400もあります。
使える預金がたくさん増えて、なんだか社長がいろいろなことを考え始めているようです。
さて、当社はセミナー会社ですので、5月ももちろん簿記セミナーをやりました!・・・が。
コロナの影響で、オンラインセミナーという形態になりました。
そして、残念ながら、通常価格1,000のところ、500に値下げを要求され、渋々飲むことに。
余談ながらZOOMをはじめ急速にオンラインツールが整備され、セミナーは本当にやりやすくなりました。
しかし一方で、生のセミナーの良さももちろんあります。講師目線で言うと、画面越しに見える表情と実際に教室で見る表情は明らかに異なります。
受講生が今の話に食いついているか、そうでないか。これがわからない。
受講生の声も聞こえないし、この辺が画面越しだといまいちわからないのです。そもそも画面・音ともにオフにしている方が大半ですしね。
個人的にはライブセミナーがやはり好きです。
話を元に戻します。
- 5/2 今月の簿記セミナーを開催しました。リモートセミナーとなり、今回は値下げを要求されてしまい、売上は500円でした。前回同様、来月払ってくれるそうです
これはすでに4月でも同じことをやりましたね!
詳細はこちらの記事をご覧ください。
仕訳は次のようになります。
(借方)売掛金500(資産の増加)/(貸方)売上500(収益の発生)
金額が残念ながら半分になっている以外は、4月と同じロジックとなります。
もちろんこの仕訳が切られた後も、決算書は変化しています。
仕訳を切る都度、決算書はそれに応じて変化するのでしたね!
どんどん行きましょう。
- 5/3 4/20に入ってきた不明金は、社長が違うところでこっそりセミナーを開催していたもの、ということが判明しました。怪しい…
4/20に、よくわからないけど入ってきたお金がありましたね。次のような仕訳を切っていました。
(借方)預金500(資産の増加)/(貸方)仮受金500(負債の増加)
借方の預金はいいとして、貸方の仮受金は、「よくわからないけど将来別のものに変換しなければいけない義務」でした。
そして5/3、ようやく理由が判明したわけですね。社長がこっそりセミナーをやっていたようです。もしかしたら社長、会社を通さずに個人でやろうとして、うっかり振込先を会社にしてしまったのかもしれません笑。
社長に聞くと、「忘れていた。確かにセミナーやった」とのこと。つまり会社の売上にしていいということですね。
ようやく、不明入金の原因が分かったわけです。
仕訳はこうなります。
(借方)仮受金500(負債の減少)/(貸方)売上500(収益の発生)
借方は、もともと貸方に会った仮受金という負債を減少させています。理由が判明したため、仮受という状態ではなくなった、という意味で負債を減少させています。借方・貸方ルールでは、負債の減少は借方でしたね!

そして貸方。当社の簿記セミナーの売上500ですから、売上500が貸方にたっています。
これで、決算書からは「仮受金」というよくわからない科目がなくなりました。
5/2、5/3の取引を反映すると、決算書はいま、どうなっているでしょうか。
まずは損益計算書から。

損益計算書は、4月までの売上1000に、5/2の簿記セミナー500、さらに5/3で仮受金から振り替えた500が合計され、2,000になっています。
費用はまだ発生していないので前回までと同じく100。
結果、利益は2,000-100=1,900となっています。
次に貸借対照表。

借方は、5/2に発生した売掛金500が追加されています。
貸方は、まず仮受金がゼロになっていますね。5/3に仮受金をゼロにして売上を計上した結果です。
そして利益剰余金。繰り返しですが、利益剰余金はこれまでゲットした利益の合計でした。利益の合計は、損益計算書の通り1,900です。
利益剰余金がだんだん大きくなってきましたね。
ちなみに常に利益剰余金と損益計算書の利益が一致するか、というと、そうではありません。
利益剰余金は、当期だけでなく過去の利益の蓄積です。つまり過去の損益計算書の利益も合計する必要があります。この会社は当期スタート、過去がありませんのでたまたま一致しているだけです。
さらに利益剰余金は、利益が積み重ねられて増えるだけでなく、減ることもあります。
それは「配当」をしたときです。他にも減る原因があります。
よって過去の損益計算書の利益の合計が、当期の利益剰余金残高になっているかというと、そうでもないことが多い。
ま、今はあまり気にしなくてもいいでしょう。
しかし、利益剰余金は少なくとも、どれだけ過去+当期の利益が会社内に溜まっているか、すなわち「留保」されているかがわかるわけですから、結構重要な残高です。
利益剰余金残高が積みあがっている会社は上記の通り過去+当期に利益を出してきたわけですから、優良企業とみられることが多いです(もしかしたら配当その他で減っているかもしれませんが)。
過去の記事でも触れましたが、利益剰余金は資本(正確には純資産)の一種なので、この割合が大きい会社は「自己資本比率が高い」という言い方ができます。当社も現時点では自己資本比率1,900÷2,500=76%と、かなり高い水準まで来ていますね。あくまでも現時点では、ですが。
また違う言い方をすると、利益剰余金残高が大きい会社は「内部留保」が大きい、とも言ったりします。たまに新聞などで出てきますね。
(自己資本や内部留保は必ずしも「利益剰余金」だけを指しているわけではないですが、現時点では大まかに覚えておけばいいでしょう)。
まとめ
- 仮受金は内容が分かった時点で、正しい科目に変更する
- 利益剰余金は「過去+当期」の利益の蓄積。ただし配当等で減少する。
- 利益剰余金が大きい状態を、自己資本比率が高い、もしくは内部留保が大きい、と言ったりする
つづく