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私は日ごろの学習(インプット)のアウトプット手段として、セミナー開催をお勧めしています。
受講生は友人2~3人、もしくは同僚等でもいいので、1時間でも講師として、自分が勉強している、もしくは得意な内容の講師をやってみることをお勧めしています。
私はかつて、業務の一環として、週に1回程度、講師をお招きして、経営者向けに様々な経営セミナーを主催していました(さらに自分でも日商簿記講師等セミナー講師をしていました)。
このとき、一つの事実に気づきました。
印象に残るセミナー、いいと思える講師は、必ず「エンタメ要素」がある。
実はセミナーの受講生は、セミナー内容をほぼすべて忘れてしまうそうです。
セミナー受講を終え、家に帰ってセミナー資料を見返す人は10%以下と聞いたことがあります。
いいか悪いかはともかく、受講後3日もたてば、セミナー講師の話した内容も、レジュメがどこにあるかも、講師の外見もほとんど覚えていないでしょう。講師の見た目が好みとかであればまた別ですが笑
私もおそらく100以上の経営セミナーを開催し、セミナー講師をお招きし、経営者に混ざって実際に受講してみましたが、覚えている講師は4~5名程度です。
内容がひどすぎて覚えているというのもありますが笑、いったんそれは除外します。
セミナー受講の意義というのは、つきつめて考えると「できるだけ印象に残り」「受講生が自分の行動を変えること」だと思います。
講師側からすると、上記に加え、「ビジネスに結びつくこと」も入るでしょう。
知識の補充は、2時間そこらのセミナーではほとんどできません。むしろ本を読むなり自分で勉強するなりのほうが早いです。
そういう意味では、セミナーの意義というのは、「いかに受講生の印象に残るか」という点に集約されるといっても過言ではありません。
そのため、セミナーには「エンタメ要素」が必要だと思っています。
セミナー講師はエンターテイナーであるべきです。
せっかく集まってくれた受講生を、楽しませるということを第一目標にすべきです。残念ながら内容は多くの人が忘れてしまいます。であれば、まずはいい意味で印象に残ることを第一目標とすべきです。
私が覚えているのは、講義中に「手品」をする講師です。これはかなり度肝を抜かれました。
休憩明けに毎回「なぞなぞ」を出す講師も印象に残っています。10年以上前ですが、受講したセミナーで覚えているのは
「Q.江戸川区の小岩にはお墓がありません。なぜでしょう?」
「A.恋は儚いから!」
→小岩墓ない
・・・
印象はばっちり残っています。10年後も覚えているのである意味成功でしょう。内容は税務セミナーでしたが、もし今セミナーを開催するとして、その方が講師候補に上がれば、お声がけすることは間違いありません。もちろん内容もよかった、というのもあります。まあ内容がいいというのは最低要件ですね。いいセミナーというのは、受講生の行動を変えるような、いい意味で刺激的な内容が必要です。
さて、手品やなぞなぞのような飛び道具はわかりやすいですが、エンタメ要素とはこのような「一芸」だけを指すのでしょうか?
そうではないと思います。
受講生を楽しませようとする気持ちがあるか。
それに尽きると思います。
ダメなセミナーの例は、講師が言いたいことだけをひたすら喋る。それが仮に知識として必要だったとしても、そういう情報はネットや書籍を見ればわかるのです。わざわざ会場に行って聞く必要はないものが大半です。
それよりも受講生が「またこの講師の講義を受けたい!」と思えるような仕組みが必要です。
私は日商簿記講座の講師をしていた時、必ず今日学習した仕訳がどのような場面で使えるか、ということを実例として織り交ぜるようにしていました。さらに当時新聞をにぎわせている有名な粉飾事件がありましたので、その内容を紹介しながらできるだけ簿記の内容とシンクロさせるようにしていました。
これも十分エンタメ要素だと思っています。
全員ではないにしろ、興味がある受講生は大いに食いついてくれました。
それは「普通に簿記だけ教えていてもつまらない」と思っていたのもありますし、「簿記は現実に起こっていることとシンクロさせたほうが絶対面白い」という個人的な確信もありました。
本当に、ちょっとした工夫でいいと思います。
エンタメ要素とは、必ずしも一発芸的なものではありません。一発芸はむしろリスキーでしょう。チャレンジは素晴らしいと思いますが。
「自分が面白いと思っているけど実はそうでもない」講師のギャグはかなり苦痛です笑
セミナーが本当にいい例なのですが、「受講生(お客)を楽しませる」。「ちょっとした工夫でよい」ということが必要だと思います。
さて、セミナーの例を出しましたが、この「エンタメ要素」、実はすべての業界に必要なのではないかと思っています。