合格後の憂鬱①-中年の監査法人体験記1-

こんにちは!浮遊会計士Rioです!

こちらのカテゴリは「中年の監査法人体験記」です。監査法人に行くのは基本的に若い方が多いので需要があるかはわかりませんが、私個人は本当に面白い体験だったと思っていますので、同じような境遇の方がいたら参考になればと思い投稿していきたいと思います。

まずは公認会計士合格直後の話です。合格したときはほんとうに「ほっとした」という思いが強かったですね。やはり人生を賭けた試験。大げさに言えば「自分の全てを賭けて」挑んでいたのです。

同時にとてつもない解放感で嬉しくて毎日が楽しかったです笑。もうあの山のような勉強に取り組む必要が無いのか、と思うと空にでも飛んでいけそうでした。

もちろん「ほっとした」と同時に「これからのこと」を考えなければいけません。

しかし当時、リーマンショック後の不景気、さらに会計監査業界のバブル終焉も重なり、けっこう大変な状況が迫りつつありました…

このときまで新卒で働きながら勉強を開始し、7年かけて公認会計士試験に合格。後半は本当に死ぬ気で勉強しました。参考記事:試験直前は最高の修羅場であり至福の時!

合格後、「実務補修所」というところで週2ほど他の合格者と勉強したりディスカッションしたりします(これが夜6時から9時くらいまでのとんでもない苦行笑)。そこで会う他の合格者が監査法人等で実務を習得していく中、私は元からいた会社で変わらない業務をしていたということが大きな焦りを生んでいました。このころすでに合格時のウキウキはとっくに無くなっています。

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このままこの会社にいていいのだろうかと思い、監査法人への転職も検討したのですが、当時はとてつもない会計士の就職氷河期。合格したのに半数近くが就職できないとニュースにもなっており、私のような中途採用枠もほとんど無いようなものでした(実務補修所もクラスの半分は監査法人勤務、半分は就職が決まっていないという状態で、クラスの雰囲気は良くなかったです)。

で結局、元いた会社にとどまることにしました。当時すでにその会社に10年近く勤務しており、監査法人に転職することは年収ダウンにつながる中で、転職が大きなモチベーションにはなりませんでした。また連絡した監査法人の就職窓口が非常に偉そうで、頭にきたというのもあります笑。絶対こんなとこ行くか!と思いました。結局後にそこに行くのですが笑。

(余談ですが、2017年以降の超売り手市場時に、態度が一変して就活生にヘイコラしていたのは笑えましたw私も一緒にヘイコラしましたw)

私は監査法人等に行かなくても、会計士としての基本業務は習得できる、と強気でした。しかし残念ながらそれは徐々に無理だと気づき始めました。やはり餅は餅屋。会計士の知識は今やっている業務と「ちょびっと」重なるくらいで、基本的にはほとんど使いません。財務セミナーや簿記セミナーを開催したりして、それなりに充実はしていましたが、それでも会計士としてほとんど成長していないという焦りのような感情は徐々に大きくなっていきました。

そして合格後、さらに勉強したいという欲望が大きくなり、いろいろな資格の勉強に手を出しました。USCPA、英語等…自分でもうまく説明することができませんが、おそらくは環境を変えることができない焦りから、勉強をしていたのです。もしかしたら受験生時代よりも勉強していたかもしれません笑。英語はそれなりにできるようになりました。

そんな状況で悶々としているうちに、もとから知り合いだった中小税理士事務所がいきなり誘ってくれました。このとき私は二つ返事でOKし、転職するという決断をあっさり下しました。やはり本心は会計業界に飛び込んでみたかったのです。これは愛着ある会社を離れる本当にいいきっかけになりました。

しかし、この初の転職前後くらいから、突如として「燃え尽き症候群」に襲われました。勉強が全くできなくなってしまったのです…。一つの原因として、働きながら7年も受験勉強し、さらにその後もいろいろ勉強した反動が考えられます。仕事以外は無気力になり、本を読むのも嫌になってしまいました。この状態が2年くらい続いたのです…

これは結構致命的です。なぜなら「実務補修所」でそれなりに難しいテストを10回受ける必要があり、すべてパスしてさらに「修了考査」というまた結構大変な試験を受ける必要があるのです。当然、一定の勉強が必要になります。

また転職先の業務のメインは「税務」です。税務は会計士試験範囲にあるものの、少々の知識だけでは、経験ゼロの状態から飛び込んでも手も足も出ないジャンルです。

転職先では最初はそれなりに順調だったものの、やはり「燃え尽き症候群」の代償は大きかったです。勉強すべきことは山ほどあるのに、ほとんど頭が働かない。頑張って税務のテキストを開いても5分くらいでダウン…

中小事務所では業務研修などあろうはずもなく、いきなりの実践。ジャンルによってはそれなりにできましたが、本格的な税務になると手も足も出ず、かといって先輩に聞いてもよくわからず…

本来はここで耐え、夜も寝る間を惜しんで税務を勉強すべきなのですが、私はそれができませんでした。税務がどうしても面白いと思えなかった、というのもあります。

加えて前職と異なる仕事の仕方にも戸惑っていました。まあこの辺は転職あるあるですね。

そんなこんなで、転職して1年たたないのに、もう次を考え始めたのです。ちょっと精神的にもきている状況だったのかもしれません。

(余談ですが、ここでまがりなりにも法人税等の申告、さらに運よくと言うべきか株価評価を伴う相続税の申告が経験できたことは後に本当に大きな財産となりました。世の中無駄なことなどないとつくづく思います…)

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