いきなりの残業地獄-新卒社会人の公認会計士試験受験記2-

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大学卒業時の春休みに公認会計士試験の受験勉強も開始。

この時点で非常に変わっているといえるのではないでしょうか。

おそらく普通の人なら、春休みは来るべき社会人生活への期待と不安で一杯になり、いろいろ準備したり、最後の長期旅行に行ったり遊んだりするものです。

しかし私は多少遊んだものの、ひたすら資格試験の通信講座(主に基礎簿記)を受ける毎日。

私は集中力が長続きせず、長い授業を受けていてもすぐに意識が途切れてしまうのですが、このときは内容がすんなり頭に入ってきたというのもあり、かなり集中して聞いていました。

そして4月1日の入社式。

私は根拠なく、「花形と思われる部署」に行けるものと思っていました笑。同期の中でも一番期待されているだろうと勝手に思っていたのです。とんでもない新人です。

しかし私が配属された部署は「社内システム部」。

これはかなり衝撃でした。確かに「システムアドミニストレータ」(後のITパスポート)は持っていましたが、システムなど1ミリも興味もなかった。そして聞けばこの部署、社内で一番残業が多いとのこと。

私はある程度の残業は覚悟していましたが、勉強第一に考えていたのもあり、長時間にわたる残業は本当にやりたくありませんでした。

このときから、仕事と勉強の両立、特に残業をどうするか、が私にとって非常に大きなテーマとなります。

当時のIT環境は、今とは比べ物にならないほど貧弱でした。1人に1台PCがいきわたり、数年たった状況。当時のテーマは次のような感じでした。

個人情報保護対応。当時のトピックは「個人情報保護法」がまもなく施行される、ということ。これまでまったく取り決めがされていなかった個人情報の取り扱いを決めるため、部署一丸となって取り組んでいました。

業務のシステム化。システム化が一般的になり、部署がどのような業務を行っているかを調査し、フローを標準化してシステム業者と一緒にシステム化、もしくはより良いシステムへの改良を行う。

データセンター化。部署ごとに持っていた業務サーバーを、「データセンター」に移設する、というのが大きなテーマでした。

円滑な情報共有体制の構築。まだUSBメモリが目新しい時代で、人事異動の際は「フロッピーディスク(若い人は知らないでしょう。もしかしたらUSBメモリも?)」を大量に用意して自分のデータを保存し、異動先に持っていくようなことをしていました。

グループウェアの導入。アウトルックやエクスチェンジを利用した社内情報共有体制の整備(今はこの概念が当たり前すぎて、もはや「グループウェア」というのが見えなくなっているようです)。

メインフレームの利用。ルーティン業務として、「大型汎用コンピュータ」を使って帳票打ち出し、顧客データ管理なども行っていました。

・・・今でこそこの部署が「何をやっていたのか」わかるのですが、当時の私には非常に難しい部署でした笑。何が何だかさっぱりわからん。いきなり新卒を「社内システム部」に配属するなよ、と当時は本当に不満だったのを覚えています。不満過ぎて入社早々人事に文句を言いに行ったほどでした笑

しかし、上記の部署テーマをよく見てください。

これ、後に会計士として行った監査業務に、ほとんど全て役立っているのです。

社内システム部というのは管理部の王道中の王道です。

例えば②業務のシステム化。これは内部統制のフローチャート整備に非常によく似ています。ほとんど同じと言ってもいいくらいです。

その他の項目も、後にJSOXでIT統制を見るのに非常に役に立ちました。例えば⑥メインフレームに関しても、クライアントが「メインフレームをオープン化するのが今年のテーマ」、と言ったときに他の会計士は「??」でしたが、私はメインフレームに悪戦苦闘していましたので非常によく理解できました。

実はこの「社内システム部」の経験が、後の監査に一番役に立ったのではないかと思えるくらいです。

しかし当時はそんなことは知る由もなく、よくわからない部署に配属されたことに非常に大きな不満を抱えていました。

そしてこの部署、全員とてつもなく残業しています。確か1人平均月100時間くらいでした笑。これには本当に参りました。

連日深夜まで会議して、毎日22時、23時がざらでした。いきなり働きながら勉強、の計画が頓挫してしまいます。

この部署の働き方を見ていて、私は次のように感じました。

「無駄が多い。無駄に残業をしている」

そしていきなり思い切った行動に出ました。

4月の中旬ごろ、私は部長に直談判し、「ある資格の勉強をしたいので、なるべく19時までに帰らせてほしい。19時まではしっかり働くので何とかお願いしたい」と告げたのです!

・・・なんて生意気な新人でしょう笑

とんでもない野郎です、我ながら。

さて、どうなったでしょうか…

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