合格後の憂鬱②-中年の監査法人体験記2-

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公認会計士試験合格後、愛着あるけれども会計士としては成長できない会社を(断腸の思いで?)ようやく離れたはいいけど、転職先の税理士法人でいまいち波に乗れず悶々とする日々…

当時は「税務」にどうしても全力投球できませんでした。なら税理士法人に行くな、というのはよくわかるのですが笑、実際にやってみてわかることもありますよね。

さらに、前回にも触れましたが「燃え尽き症候群」。これは本当に深刻でした。

今まで働きながら勉強するのが当たり前でしたが、完全に「働くだけ」になってしまいました。なぜか勉強が全くできません。

会計士合格者が行くべき「実務補修所」にも通わないありさま。10回ある試験も4回目くらいから受けなくなりました。必要なEラーニング受講・論文提出等も途中から一切拒否。

しかし当時は本当にいっぱいいっぱいでした。元から精神的に強くないにもかかわらず無理して働きながら勉強をし、さらに合格後も妙に英語とか諸々勉強した大反動だったのかもしれません。ま、本来のサボり気質という悪い癖が出ただけなのかもしれませんが。

一つ言いたいことがあるとすれば、実務補修所に20万円も自腹で払って、なんで3年も行かなければいけないのか、ということです。監査法人勤務であれば全額負担してくれますし、授業がある日は5時に上がらせてもらえるため合格者は何も感じないのですが、監査法人以外だと、費用はかかるわ早く上がる説明が面倒くさいわで、何もいいことがありません(最近はEラーニングがメインで、6時スタート問題はあまりないようです)。

くわえて、この実務補修所の勉強内容は、役に立つと思える部分はあったものの、冗長で、ちっとも面白いとは思えませんでした。3年ではなく1年くらいに圧縮してほしいと今でも思っています。学習内容は監査法人勤務者を対象としているように見え、監査法人以外の人はしらけていたような気がします。それでやる気もなくなり、実務補修所はだんだんフェードアウトしてしまいました。

そんなやる気のない状態で即戦力かつ専門性が求められる税理士法人でいい仕事ができるわけがありません。

それでも税務に関しそれなりのことはやったと思うのですが、どうも身が入らない。そんなある日、前から登録していた転職エージェントから「大手監査法人が興味をもっている」という連絡が入りました。

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前回の記事で触れた通り、私は監査法人に行く気は全くありませんでした。「監査」をつまらないものと決めつけ食わず嫌いしていましたし、就職難時代の対応の悪さが記憶に残っていました。

しかしよく聞いてみると、その監査法人で声をかけてくれた部署は、かなり変わっているらしい。英語も使うしIPO監査もどんどんするしIFRSもするしコンサルもする。監査だけではない総合人材がほしい、ということでした。

おそらく監査だけであれば面接しなかったと思いますが、「総合人材」を求めているのであれば面白そうだと思い、現状行き詰っていることもあり、面接だけでも受けてみようと思いました。

そして面接を受けました。

受ける前はなんか気に入らないことがあったら即帰ろうと思っていました笑。それくらい氷河期の時のイメージが悪すぎて笑。

しかし面接を受けてみると、完全に心変わりしました。

とにかく滅茶苦茶いい面接官でした。にこやかで、こちらを社会人として尊重してくれました。

あと恥ずかしながら、大手監査法人の雰囲気にやられた、といえます。建物とか受付とか、最初に入ったときはやはり一流の雰囲気を感じました。

そしてあれだけのアンチだったのに一瞬で宗旨替えし、ここでやってみたい!と思うようになりました。ま、早く職場を変えたい、という思いが強かったのもありますが。

面接では落ち着いて堂々と奇をてらわずにできることはできるできないことはできない正直に話すことが、社会人採用では一番と思います。大事なのが、できないこと・やったことが無いことは正直に話すことでしょうか。そこをやれる、というと、後々よろしくありません。それで落ちるのであれば縁が無いだけです。

で、私は面接後、ほぼ間違いなく受かったと思いました。正直に自分の現状を話せましたし、面接官にも話が伝わったと感じました。

結果は、1度の面接だけで採用したいとのことでした。

「1度の面接だけ」、ということに若干引っかかったものの、合格したため熟慮の結果、再び転職することにしました。しかしけっこうギリギリまで迷いました。当時は本当に監査に興味がわかなかったのです。

くわえて、「スタッフ採用」。当時監査法人の階層がどういうものかわかっていなかったのですが、スタッフはその名の通りスタッフで、もちろん一番下。いわゆる新人採用のようなものです。

監査経験がゼロのため異存は無いのですが、それでも10年以上の社会人経験があるのにまた新人からスタート。年収もかなりダウンするということに対するモチベーションはそれほどわきません。

それでも転職したい思いが勝り、社会人経験ありなので手当てや賞与で何らかの考慮はされるだろう、と勝手に思い、転職の決心をしました。

税理士法人は1年弱の短期離職ということになりました。同僚と担当クライアントには迷惑をかけたと思っています。これは本当に申し訳なかった。

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