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働きながら公認会計士試験合格の野心をもった社会人1年目、完全に想定外の「社内システム部」に配属されました。
当時のほとんどの会社の情報システム部の課題は、
- 「グループウェア等を利用した社内情報一元化」
- 「社内に散らばる顧客情報を統合するCRM(Customer Relation Management)システム導入」
- 「社内に散在する物理サーバー群をデータセンターに移設」
といった、現在全企業が当たり前に行っているIT施策の走りのような位置づけだったと思います。
この情報共有システム構築の「黎明期」ともいえる時代に関わることができたおかげで、曲がりなりにもITリテラシーを身に付けることができました。振り返ると本当にラッキーだったと思います。
・・・しかし社会人新人の私は、この部署の業務に非常に苦労します。
まず社内の業務フローがわからない。そしてITそのものがわからない。これかなり致命的です。
正直、仕事の面で1年目はまるで成長しませんでした。
さらに、重要なテーマである「公認会計士試験の勉強」。
こちらも大苦戦です。
前回の記事の通り、なんとか19時に仕事を上がることはできるようになりました。
しかしそこからDVDで授業を聞くのが大変です。疲労もあり、徐々に授業の難易度も上がり、苦痛で仕方がない。
入社直後の4月は4講座くらいしか消化できませんでした。勉強時間は講義受講も入れて20時間くらいしかしていないと思います。スタートから大ブレーキです。
最初に引っかかったのが簿記の「特殊商品売買」。これは当時、「超重要論点」と言われており、様々な種類の販売取引(試用販売、委託販売、割賦販売etc)の全仕訳パターンを全部記憶して、複雑な勘定連絡図を作ってパズルのように解いていくという、芸術的でもあり非現実的でもあり、解答するのが非常に難しいという論点でした。私はこの論点に大苦戦しました。で、後に解法をようやくマスターしたころ・・・この論点は残念ながら試験上の「重要論点」ではなくなりました笑。短答試験にすら出題されなくなりました。しかしそれも致し方なしです。このような複雑な取引の集合は現実にほとんど見たことが無いですし、現実に合わせて試験内容も変わるべきだからです。
それはさておき、「やっぱり働きながらこの膨大な試験に合格するのって無理なのかな」と思いはじめました。
そうこうするうちに5月になり、ゴールデンウィークとなりました。
このときゴールデンウィークは7日間連続でした。
私はここで、猛烈に勉強することができました。
普通の新人であればいったん仕事から離れ、かなりゆっくり過ごしたり旅行したり、はたまた仕事したりいろいろだと思いますが、私は4月の遅れを取り戻すべく勉強しました。
思えば4月は、非常に悔しい1か月でした。
まず、仕事がさっぱりわからない。上記の通り業務フローがわかっていないので他部署の人が何を言っているか理解できない。つまり情報システム部所属として何の役にも立たない。
さらにIT用語、ITそのものが全く分からない。この部署には他社でSEとして働いて転職してきた人も多い中、完全にド素人の私が新人として入ってきたのです。さすがにシスアドだけでは無理があった。
他部署の人と話していても、明らかに「こいつ何もわかってねー」という視線を何度も浴びます。まあ入社1か月の新人としてはそれほど気にする必要はないのですが。
なぜゴールデンウィークに猛勉強したか正直に言うと「早くこの部署、そしてこの会社を脱出するためにも、勉強してやる!」という若干ゆがんだ闘争心でした笑。
ただ今思うのですが、こういった闘争心というか、仕事で悔しいことがあった分勉強を頑張るというマインドは、社会人受験生に必要なことではないかと思います。
ここで大事なことは、仕事で必要な勉強があれば、必ずそれもすることです。
私は当然、仕事で必要なIT知識も勉強をしていました。
仕事で必要な知識を勉強もせずに、自分の資格試験の勉強だけに取り組んでいるというのは、社会人として筋が通りません(たまに開き直ったタイプがいますがそれは本当に印象が悪いです)。
ITの方は本題じゃないので端折りますが、まずメインフレームのプログラム言語COBOL(コボル)は切りました笑。理解不能だった上に、そのエンジニアになるつもりはなかった。いずれメインフレームはオープン化するので、COBOLは勉強しなくていいとも言われていました。そこで社内業務フロー理解と応用シスアドを中心に学習していました。
そして本題の会計士試験。私は1.5年コースを選択していたのですが、4月は上記の通り進捗が悪く、標準的な週4~5回の授業を回していくのが極めて困難となってきました。
そこで少し余裕のできたゴールデンウィーク、学習方法を見直しました。
①週3回の「講義+復習」をスタンダードとする
自分の無理なく学習を継続できる標準ペースは週3回、と定義しました。
これは結構難しい判断で、このようにペースを落とすと来年5月の短答試験に学習が間に合わないのは明白でしたが、このまま何も進まないよりは致し方なしです。
②講義の復習はなるべく早く終わらせる。できれば30分以内
これもかなり難しい判断でした。当時の予備校は、復習は2時間以上やるべし、と言っていましたので。ただし2時間も復習をしていると次になかなか進めません。全部で300以上もある講座をまず終えることが大事と考えた私は、復習は30分でまずテキストを全部読み、問題集も主要なところのみ終え、すぐ次の講義を受けていました。
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