新人研修への不満-中年の監査法人体験記4-

前の記事 違う意味で地獄の新人研修。闘志復活

苦行すぎる新人研修は4週間続き、ようやく解放されました。

私は中途採用だったので研修期間は4週間でしたが、新卒定期採用はなんと8週間も研修があるとのこと。8週間はいくら何でも長すぎる。

監査法人の新人研修について思うところがあり、記載してみます(以下もちろん私が経験した監査法人だけかもしれない、とお断りしておきます)。

前回の記事の通り、監査シミュレーション研修は非常に良かったと思います。新人が実際に「初めて会社に行ったとき」にフォーカスして、現場シミュレーションを行います。何が良かったというと、マネージャーが忙しい業務の合間を縫って「クライアント経理部長」の役割を演じきっていたこと。扱う資料も膨大で、けっこう綿密な準備が必要だったと思います。研修のために各部署からマネージャーが集められ、新人研修のためにリハーサル等準備をしていたということを聞き感動しました。

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しかし、それ以外の新人研修、はっきりいってナンセンス極まりない。本当にどうでもいいことでディスカッションしたり、長時間意味のない動画を見たり、時間の無駄のオンパレードでした。

一番の問題は「新人todo」として必要なことが、まったく研修内容に含まれていなかったことです。

これは後からわかるのですが、監査業務を遂行するには膨大な社内手続が必要です。例えば監査報告書の校正・製本・押印。これは専門部署とワークフローでやり取りし、手順通りにしなければいけません。要は「社内手続」であり、「誰がやったとしても同じ結果になるべきもの」です。そして基本的には誰でもできるけど手間がかかる類のものであり、こういう仕事はたいてい新人がすることになります。そしてこれら「新人todo」の業務研修がまったくありませんでした。

つまり新人は、無駄に8週間も研修を受けた後、各監査チームに放り込まれ、まったく知識が無いまま全員が社内手続を先輩から口頭で教わりながらやることになります。先輩の教え方もバラバラかつ常に正しいとも限りません。私も最初たくさんの社内手続をチームの先輩に教えてもらいました(他にも「調書登録」など典型でしょう。最近だと残高確認状の共通部門への依頼フローなども)。しかし毎回毎回不完全で違う教え方をされ、教えられたとおりに管理部署に持って行くと「やり方が違う」と突き返され、本当にイライラしました笑。違うなら最初から新人研修で教えてほしい。

4~8週間も研修期間があるのであれば、そういった「新人がすべき社内手続」は新人研修で教えるべきです。ほかにもたくさんの社内手続があり、その辺の標準化すべき社内手続教育がすべてチーム任せになっています。これには本当に驚きました。時間の無駄にもほどがある。おそらく「誰がやっても同じ結果になるべき業務」と「その人にしかできない付加価値が高い業務」の区別が、組織的についていない。極端な話、最上位役職であるパートナーでも社内手続に頭を悩ませています。

そしてその社内手続きを行う「専門管理部署」。これがまた全く説明をしない。

毎回毎回新人から同じような問い合わせが来て大変なのであれば、新人研修に出向いてしっかり説明すればいいものを、なぜか全くやらない。それで「新人がフローを分かっていない」と文句ばかり言う。当たり前ですよね、誰も教えていないのですから。

私は新人の時からこのありさまを見て、かなり嫌な予感がしていました。「新人研修」が適当な会社は、だいたい全業務フローに無駄が多く整備されていないことが、前職の経験でわかっていたからです。

この「いちいち先輩に聞かないと、今後も社内手続がわからないのでは」という悪い予感は、残念ながら当たってしまいます。私はこれに後々まで苦しみ、ついには退職の一要因となります。

研修への不満はこれくらいにしておきます笑。

さて、順番が前後しますが、上記研修の前、私は実は入社早々、ある小さなジョブにアサインされていました。定期採用新人であれば、まず研修を受けたのちに仕事をするのですが、中途採用は即戦力ということで、研修なしでいきなりアサインされました。

初めての現場で、初めての監査。しかも研修なし。

不安にもほどがあります…。

ある日マネージャーからいきなり電話がかかってきて、「○○社のジョブにアサインすることになったのでよろしく!」と告げられました。

事前にその○○社の有価証券報告書を見ようと思って調べたのですが、出てこない。つまり未上場会社。

そう、これは「IPOジョブ」だったのです。

つまりまだ上場しておらず、これから上場に向けて準備をしている会社。ここに監査に行く。

私の監査デビュー戦はいきなり「IPO準備会社」という、難易度の高いジョブとなりました。

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