「NHK実践ビジネス英語」講座終了!残念だけどお疲れさまでした!

ラジオ英語講座「NHK実践ビジネス英語」が、2021年3月号をもって終了することになりました。このブログでも超絶お勧め教材として紹介しているもので、とても残念です…

3月号のテキスト、よく見たら「最終号・特別企画」と書いてある。

中を見ると本当に終わってしまうようです…「杉田先生への21の質問」という企画もありました。

とても残念ですが、何事も最終回というのはあるものです。30年以上の長きにわたり超良質の教材を制作され続けた杉田先生と製作スタッフ陣には感謝の念しかありません。本当に長い間ありがとうございましたと言いたいです。

私はこの教材を(毎月購入ではなかったものの)20年以上愛用していました。

自分が留学・駐在未経験にも関わらず英語力を高めることができたのは95%以上この教材のおかげと言っても過言ではありません。

この教材は外国のオフィスシーンを舞台に、日本人の主人公(海外赴任者)がビジネス、経済、世相等のテーマについて会話(ビニェット)をするものです。最近は1テーマにつき1分強の会話が5回分。1か月の教材には2テーマ含まれています。以前は消化しきれないほど大量の会話が盛り込まれていましたが、ここ最近分量はマイルドになった印象です。

この「NHK実践ビジネス英語」、ひとことでいえば超優良教材です。この教材の素晴らしい点と記憶に残るテーマを合わせてあげてみたいと思います。

最新のトピックを幅広く網羅

私が最初に買ったのは確か2000年くらい。当時はITバブル全盛。様々な業種のビジネスが本格的にウェブを立ち上げオンラインに移行を始めた時期。教材のテーマも「ECビジネス」「ドットコムカンパニー」という話題が多かったと記憶しています。通常の市販の英語教材とは明らかに異なる最新のテーマに衝撃を受けたのを覚えています。

最近だともちろんコロナウィルス関連。主人公が一人暮らしの在宅勤務を「テレワーク中は気が滅入るほど忙しいけど、休憩中ふとひとりの時間になったとき、言いようがないほどの寂しさと世間からの断絶を感じた」と描写したときは心から共感しました。最終号の杉田先生のインタビューでは、「The New York Times」「The Wall Street Journal」「USA Today」等を毎日購読されているとお話しされており、毎回テーマを考えるにあたっていかに最新情報をアップデートされているかよくわかりました。

決してありきたりの枠に収まらないチャンジングなテーマも

NHKの冠を付けていますが、決してありきたりの型にはまった教育的なテーマばかりではありません。むしろ「おっ、そのテーマ来るか?」「そんなこと言っちゃう?」と思うことがしばしばありました。

記憶に残るのが「ホームレスを経験した同僚」や「ゲイマーケティング」。チャレンジングなテーマと思いました。「Crazy Busy(超多忙)」というテーマでは、「忙しいと言っている人の大半はself-imposedつまり自分で勝手に仕事を作って忙しぶっているだけ」のような発言をする人がいて、共感しました笑。

どんなテーマでも会話が決してひとつの方向に流されず、必ず様々な意見が出てくるので、安心して聞くことができました。

意図的に多様な表現が織り込まれている

一つのテーマで、関係するパラフレーズが意図的に多く使われています。これは本当に助かりました。別の記事でも触れていますが、英語学習者は類義語、パラフレーズを貪欲に覚える必要があります。なぜなら、英語は話しまくることが大切であり、話して、間違えて、それが記憶に定着するからです。そして話しまくるにしても、同じ表現をただ繰り返すのは残念なので、パラフレーズを駆使して、違う表現で沈黙することなく話しまくる必要があります。この教材は意図的に多くのパラフレーズ表現をひとつのテーマに織り込んでいるため、出てきた単語・表現を全て覚えると、類似表現も自然と覚えることができます。

最初は「リスニング」に、学習が進むと「英訳アウトプット」の練習にピッタリ

自分が上達したからかもしれませんが、最初の頃は分量も多く会話レベルも非常に高かったように思います。以前は「やさしいビジネス英語」と銘打っていましたが「まったくやさしくない」と評判でした笑。しかしここ数年は分量・会話レベルともマイルドになっているように思えます。

この教材は、学習初学者にとっては「リスニング」用の教材と言えるでしょう。この手の教材のレベルとしては最高クラスだと思います。まずはこの教材の会話を、テキストを見ずに初めて聞いて9割がたわかる状態までリスニングレベルを上げるのが、最初のゴールだと思います。その状態になればTOEICのリスニングでもかなりいい点数が取れるでしょう。ちなみに、さらにレベルが上がれば、この教材を1.2倍速再生したほうがいいでしょう。教材ということもあり話者のスピードは遅めに設定され、非常にクリアに発音されていますが、現実の会話はもっと速いからです。

そして学習が進めば、本教材を「英訳アウトプット」用として使用するのをお勧めします。要は日本語を見て、一文ずつ超スピード英訳していくことです。

参考記事:英訳アウトプット練習とは?

私は本教材を1か月×3回×6か月分「英訳アウトプット練習」を繰り返すことにより、海外出張でも困らなくなったと感じました。

この優良講座が終わってしまうことは残念ですが、新しい講座も始まるみたいですし、何より過去30年以上のアーカイブがあります。今後過去の名作が復刻されるのを期待したいと思います。できればバブル崩壊、ITバブル、リーマンショックといった、時代を象徴するテーマを復刻してほしい。よろしくお願いします!

繰り返しですが、杉田先生と製作スタッフの皆様、長年ありがとうございました。本当にお疲れさまでした。

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