監査法人入社2か月目。ヘルプ的にアサインされたIPOジョブをなんとか3社こなし、「地獄」の新人研修も終わった3月下旬。私は「A社」にアサインがされることになりました。
私はこのA社チームに、監査法人退職まで残ることになります。非常に思い出深いジョブとなりました。
このA社、規模は東証1部の上場企業としては普通という感じですが、私にとっては初めて経験する超・大企業でした。
前々職では融資及び中小企業コンサルで、基本的には中小企業基本法の中小企業(だいたい従業員300人以下)がお客さん。
前職は税理士法人で、ここもお客さんは見事に中小企業だけ。
監査法人に入って最初に監査に行った上場準備3社も中小企業でした。
そんな私にとってこのA社、従業員数は多いわ業種はまったく聞いたこともないわ海外子会社もたくさんあるわ、とにかく馬鹿でかいという印象でした。
そしてここの監査チーム。これも強烈だった笑。
管理職的なポジションに3人いたのですが、そろいもそろって武闘派の外見。スマートなタイプが多い監査法人にあって、珍しいタイプの見た目(ヤカラ系?)といえるでしょう笑
そんな監査チームに放り込まれることになります。
いちおうすでに3社往査していたのもあり、なんとなくわかるかなと思っていたのですが、全くダメでした笑。
やはり大企業は複雑。取引もかなりややこしいです。大企業にアサインされる場合はここが辛いところでしょう。パッと見て分からず、会社特有の用語を覚えるのが大変。
加えて上場企業の期末監査というのも、期限がある中でその年にやるべきことを漏らさず行う必要があるので大変です。前行った3社は上場前だったので、その意味ではそこまで根詰めてやる必要は無かった(上場準備会社はまた違った難しさがあるのですが)。
初往査日。私はいちおう中途ということで確認状や現金実査等は免除され(別の新人が担当)、個別科目を多めに割り当てられました。
初の期末監査は非常に辛かった笑。
とにかく長い。当時は働き方改革前。朝9時半から夜11時くらいまで、ぶっ通し。月~土が現場往査で、日曜も家で多少は仕事をする。
最初の現場では3日目にして5時ダッシュした私も、ここA社ではあまりの作業の多さ、それからマネージャーの迫力に負け笑、逃亡はできませんでした。
A社、経理メンバーは100人くらい、中には会計士の資格を持った管理職の方もいて、レベルは非常に高い。私のような新人会計士などまったく相手にならないほどの知識を持っています。
そんなベテラン経理マンたちに細かい質問をされ、しっかり答えている監査チームの先輩がとてつもなくできる人に見えました。
私は前回の記事で記載した通り、最初の3社で「監査なんてなんとかなる」と思っていましたが、この現場ではその思い上がりは完全に消え去りました笑。
加えてこのジョブ、監査チームと会社の人が言い争いになったり、チームメンバー間で激しい議論をしたり、なかなか難しい現場でした。
私はこのような環境下、いちおうそれなりにやったと思うのですが、どうもしっくりこないことが多かった。
まずは自分の理解・経験不足。この時点で会計士試験合格から5年がたち会計知識をだいぶ忘れていたのですが、「燃え尽き症候群」が続く中、知識の補充があまりできていなかった。それでうまく進まないこともあった。それは反省材料です。
監査チームの新人の扱い。ここも基本的にはいきなり入れられていきなり科目を割り当てられて、あとはやっといて、という、かなり乱暴に見えるやり方だった。事前に教えてくれていればもっとスムーズにできたはず。この部署はどうも「体育会系」の名のもとに、乱暴な新人の扱いをしている印象です。私はこの経験を踏まえ、自分のジョブでは必ず事前ミーティングで全メンバーに手続き方針の確認をしています(当たり前のことですが笑)
監査の進め方。4月に現場に入り、クライアントと喧々諤々の議論を始め、処理方針の変更を依頼したり、またクライアントが土壇場でいきなり数字を入れてきたり、新人から見てもうまいやり方とは思えませんでした。クライアントと対立しながら監査を進めるやり方は本当に大きなロスを生みます。私はこの経験を踏まえ、どのクライアントとも必ず決算前にミーティングをして論点を洗い出すとともに、お互い言いたいことがあれば事前ストレートに言えるような関係づくりに注力しました(これは難しい面もありますが)
そして今振り返り、私はかなり「挑戦的なオーラ」を出していたのだと思います笑。前の記事で触れた通り、別業種で10年以上の経験があり「ド新人」という扱いに違和感を覚えたため、自分ができるところを見せようとしすぎていたかもしれません。それが「挑戦的なオーラ」につながり、最初の方、あまり教えてもらえなかったのかもしれません。
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