英語ができるといいことだらけですよ!-中年の監査法人体験記10-

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ここまでの「中年の監査法人体験記」を振り返りと、かなり監査法人のことを悪く書いているように見えるかもしれません。

しかし冒頭にも書いた通り、個人的に非常にいい経験だったし、組織としても面白いところだった。私のような怪しい中年を採用してくれたことに本当に感謝しています。

これまで勤務した3社のなかで一番強烈な印象が残っています。入った部署も今考えれば非常にユニークで、自分に合っていたのでしょう。なんというか、愛憎相半ばという感じです笑。

強いて数字で表せば愛110%、憎90%というか笑。

組織というのはいろいろな矛盾があって当たり前なのですが、それと同時に、常におかしいところを改善していかないといけないと思うのですよね。

そういう意味では監査法人に勤務する会計士は非常におとなしいという印象。不満があってもまったく口にしないし、黙々と耐えて仕事をしている。

そして人知れずやる気をなくし、あっさり退職します。

私がいた部署は年間退職率10%でした。年10%というのは単純に言えば10年でほとんど全員が辞めてしまうということです。

それはいろいろな要因があるでしょうけど、いい組織であればそんなに高くはならないということが言えると思います(辞める人はどんなところだろうと辞めますが)。その意味では間違いなく改善すべきところがありました。それも山ほど。

前回の記事で触れた人事考課など本当にいい例でしょう。

私は問題点があるのに黙って仕事をするタイプではありません。

必ず自分の解決策をもって、上司や組織に提案してきました。それは監査法人でも変わらず、です。自分が楽する提案でなければ、上司や組織はそういった「建設的批判」をしっかり聞き、その提案に対してフィードバックをするべきだと思います。現場からの意見は極めて重要と思います。それがいい組織につながるのですから。

さて、私にはひとつ武器がありました。それは英語です。入社時点でTOEIC900でした。後に950(リスニング満点)まで上げました。

これは単に英語が好きだったという、それだけです。留学や駐在はしたことがありません。

英語勉強法については次のカテゴリもご参照ください。社会人のビジネス英語勉強法

結論から言うと、会計士に英語は必要だと思います。

英語ができてよかった、と思う点を以下に記してみます。

東京CPA会計学院

  • 海外グループ監査に参加できる
  • クライアントの海外子会社出張に参加できる
  • その他仕事の幅が広がる

海外グループ監査に参加できる

グループ監査は超重要です。グループ監査というのは、要は子会社を含めた連結グループの監査なのですが、海外子会社は目が届かず、放置になりがちです。しかし例えば、連結売上が100、そのうち日本本社が40、海外子会社が60、という割合であれば、日本だけしっかり監査するというのはおかしいですよね。むしろ海外子会社の方をよく監査しないといけません。

が、実はこれまで、日本だけしっかりやって、海外の方はほとんど見ていない、というギャグのような状況が結構あったのです。

さすがにそれはまずいということになり、海外も含めてしっかり監査しましょうという流れになっています。当たり前ですね。

ではどうやって海外子会社を監査するか。海外に実際に行って日本と同じように監査したいところですが、それはほぼ難しいことが多いです。時間的制約もあるし、そもそも現地の慣習や会計基準がわからない(日本基準に取り込める会計基準はIFRSかUSがあるべきですが、いったんそれは置いときましょう)。

それでどうするかというと、現地の監査法人等に監査をお任せし、詳細なフィードバックをもらう、というやり方が一般的です。

もちろんこちらとしては、しっかり現地の監査人のやり方をモニタリングしないといけません。しっかりコミュニケーションを取り、やってほしいことを明確に伝える。

そしてここで英語が必要になります。私のこれまでの経験では、「現地監査人」と日本語でやり取りしたことはありません。全て英語でした。

つまり海外子会社を含めたグループ監査を行う上では、英語は必須となるのです。

(「重要でない」子会社であれば必要ではありませんが)

最近クライアントの海外進出は当たり前になりましたので、好むと込まざるとにかかわらずクライアント次第で英語が必要になります。

クライアントの海外子会社出張に参加できる

これ、個人的には、IPOと並び、監査法人でトップクラスに好きな仕事でした。私は新人の時から15回以上参加することができました。それだけ行くのは私の部署では珍しく、恵まれていました。基本的にはパートナー・主任が行くことが多いからです。私に声がかかったのはもちろん英語ができたからです。

海外子会社というのは、その会社の縮図のようなものです。日本本社が巨大だったとしても、海外子会社は本社をそのまま縮小したような感じのところが多いです。つまり海外子会社に行って初めてクライアントのことが良く理解できる。

また、現地の経営者と英語でディスカッションしたりヒアリングしたりというのが(準備は大変だけど)刺激的で面白すぎる。

何より、夜に同じ監査法人の現地駐在員と飲んだり、いつもはバチバチにやりあっているクライアントの経理メンバーと夜の街に繰り出したり、といったことが楽しすぎました笑。私はいつも出張中はもっともらしく難しい顔をして監査していましたが、内心は「ヒャッハー」でした笑。

こういったことができるのも世界中に拠点を持つ大手監査法人ならではでしょう。

そんなこんなもあるので、せっかく監査法人に入るのであれば、英語は勉強して、ぜひ出張レベルまではなんとか持っていってほしいと思っています。

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