「勉強する目的」を考えてみる-新卒社会人の公認会計士試験受験記10-

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社会人2年目。仕事ではひとつ全社的なシステム導入を任され、何とかこなす。新人の時はかなり怪しかったですが、2年目で何とか「普通の」社会人になったと言えます。

同時に行っている会計士試験の勉強も、理解は浅くとも学習はだんだんと進んでいく。

そして、痛い「勘違い」を始めます。「仕事も勉強もしている俺SUGEEE!!」って感じです笑。

…前回の記事の通り、勉強していることそのものは全くすごくありません。当たり前ですね。勉強はそりゃあもちろんやるにこしたことはない。噂では、日本の社会人の勉強時間は平均6分とも聞きます。そんななかで働きながら何時間も勉強しているのであれば、それはもちろんよいことです。

しかし繰り返しですが「勉強していること」自体、とりたててすごいことでも評価されることでもない。

そもそも勉強する目的ですが、資格を取ることはいったん置いておいて、仕事や社会の問題を解決したうえで、新たな付加価値を作ることだと思うのです。

急に大きな話になりましたが、これが、勉強が求められる真の理由だと思います。

これを実現するためには、単なる知識の暗記だけではなく、それを実際に会社や社会で活かすということが必要になります。それも1度だけではなく、何度もです。

1度だけ実践して問題が解決したり、付加価値が生まれたりすることなどないからです。

ましてや、勉強していることそれ自体、普通のことであり、なにひとつすごいことではありません。実践をしていないのですから。

監査法人に来る新人でたまに「論文~位合格」をものすごく強調する人がいましたが笑、それは確かに勉強ができたという証ではあるけども、社会人から見て、だからどうした、としか思えません。実践が伴っていないので。

あとついでに、「被害者意識」を持たないことも大事でしょう。まあ被害者意識まではいかなくとも、「こんなに頑張っているのにどうして認められないんだ」のような感情は、多かれ少なかれ出てくるのではないでしょうか。

特に勉強が長期に及ぶ場合はそうです。自分としてはものすごく努力しているつもりなのだけど、それは会社には全く関係が無いので、特に評価されるわけではない。それが続くうちに、なんとも報われない気持ちになってしまうのです。人によると思いますが。

しかしそんなときでも、仕事と勉強を完全に切り替えて双方に取り組むべきでしょう。「自分、仕事後も頑張っている感」を出すのは周りの目によろしくありません。

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さて自分の話に戻ります。社会人2年目となり、多少の余裕が出てきました。そんなとき、なぜか私の社内システム部に、某監査法人から「残高確認状」が届きました。

残高確認状、会計士を目指す方ならよくご存じの、あれです。

そんなもの届かない部署なので、開封した私の上司はびっくりしていました。

何と書いてあったかというと、「当法人はリース会社X社の監査をしています。このたびX社がリース債権○○万円を貴社に有することを確認させていただきます。貴社が負うX社へのリース債務の金額が正しいかどうか、ご回答ください。

システム部は確かにリース会社と取引が多いです。ほとんどのサーバー、システムはリースで調達していました。

この「残高確認状」を見た私の上司は「無礼な!」と、さっそくリース会社担当者にクレームの電話を入れていました笑。

さて、なんで上司は無礼だと思ったかわかりますか?当時はリース会計基準改正直後です。監査論の問題でも出題されないでしょうけど、ちょっと面白いと思います。

①まずは残高確認状が経理部門ではなくシステム部門に送られたこと。慣れていない人が見ると「!?」となります。詰問状、督促状のように見えるからです。

②当時は「所有権移転外ファイナンスリース取引(ほとんどのリース取引が該当)」は、ほぼレンタルのような扱いだったため、「債権」「債務」という概念が乏しかった。リース利用側としては、「資産計上しない」という目的のためにリース会社を通していたようなもの。もっとも、それがよくないということでリース基準は改正され、原則資産計上になったわけですが。

上司は、リースである以上、こちらは資産も債務も持っていないと思っていたので、残高確認状に記載されていた「債務を負っているか回答してください」という質問は無礼に見えたということです。なんで当社のような優良企業が債務を負っているんだ!という感じでしょうか。

まあこれが経理に届いていれば何の問題もなかったわけですが笑。

私は初めて勉強している知識が実際の現場で見えて、「こういうものなのか」と嬉しくなりました。残高確認状はもちろん、「リース会計」もちょうど勉強を終えており、改正された会計基準で「リース資産」計上が原則となること、その結果「リース負債」も計上されるべきことを学んでおり、さらに確認状も適切な部署に送らないと無用なトラブルが発生するということがよくわかりました。

この辺を説明したところ、部署で「ちょっと会計に詳しい人」と見られるようになりました笑。

こうやって実務で自分の勉強していることが少しでも役に立つと、嬉しくなりますね。

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