苦難の1年目①…-中年の監査法人体験記11-

前の記事 英語ができるといいことだらけですよ!

前回の記事で「英語ができるといいことだらけ」という話をしました。

しかし「英語ができる」とはそもそもどういうことを指すのでしょうか?

色々な定義があると思いますが、監査法人に関していうと、「会計士として英語でコミュニケーションが取れる」ということになると思います。

つまり、

・勘定科目を英語で言える

・監査用語を英語で言える

・英文財務諸表に慣れている

あたりは必須です。

さらに、もちろんジョブによりますが、現地会計士や現地クライアントと

・Eメールで適切にコミュニケーションが取れる

・音声がやや聞き取りづらいウェブ会議等でやり取りができる

・対面で直接やり取りができる

等も含まれてきます。

さらに、IFRSやUS基準の知識は、あればあるだけいいと思います。ただし、それぞれ極めるのはとんでもなく大変なので、必要なところから徐々に、というスタンスでしょう。

英語レベルに関していうと、決して「流暢」である必要はないものの、「円滑」にコミュニケーションをとる必要はあります。

あえてTOEICの目安を挙げれば、私の周りでは大体900以上くらいの人がこういった仕事に携わっているイメージでした。しかしこれはあくまでも目安であり、自分のジョブがいきなり海外進出してしまった主任やメンバーは、それほどできないにも関わらず四苦八苦しながら英語を頑張っている人もいました。大変かもしれませんが「流暢さ」は求められないので、それで全く問題ないと思います。

個人的には、もしやる気があるのであれば、全然できなくても海外ジョブに手を挙げて、勉強と同時並行で取り組むべきだと思います。英語はやはり仕事で使ってこそ、抜群に伸びるのです。参考記事:英語学習の目的・動機を探し続けよ!後付けでも問題なし!

私はまずクライアントの「英文財務諸表レビュー」で基本的な経験を積むことができました。たまたま英文財務諸表を任意で発行しているクライアントがあり、このレビューに新人ながら自ら手を挙げて(積極的ッ!)、マネージャーとほぼ同じ立場で仕事することができました。

初の期末監査は個人的にはそれほど満足とは言えない出来でしたので、ここで盛り返そうと頑張りました。英文財務諸表レビューは、特に問題もなくスムーズに終わり、なかなか良い出来だったとお褒めの言葉をいただきました。

東京CPA会計学院

これで「あの(中年)新人はなかなかやる気がある」と周りに認知されました。

私はすぐに調子に乗ります。「俺国際派?ねえ国際派?ねえってば」くらいの勢いになりはじめました笑。

そしてついに、私の1年目を左右する重大イベント「A社米国出張」がやってきます。グローバル企業A社の重要な海外拠点に往査してくるべし、という指令が下りたのです。

このA社米国海外拠点出張のいきさつは次の記事にまとめていますのでご参照ください。

TOEIC高得点で調子こいて海外出張に行って大失敗した話 前編

結論から言うと「大失敗」と言えるものでした笑。

まず、このときはまだ肝心の英語がそれほどできなかった笑。できると思っていたのは「リーディング」だけで、実際の会話とかはほとんどできませんでした。TOEICの点数は高いけど英語を使った実務経験や留学駐在経験が無い場合は、最初になんでもかんでも引き受けるのは要注意でしょう。周りの期待が大きくなり、自分には無理な海外案件を振られる可能性があります。

そしてこれは賛否両論あると思いますが、相変わらずの乱暴な仕事の振り方(に見えた)。詳細は上記記事を見ていただきたいですが、過去の経緯や趣旨等まったく説明せず、ドーンとTODOをいろいろ振ってきて、聞いてはいけない雰囲気を出す。今振り返ってももっといいやり方あるだろうと思っています。

ここで少しメンタルがやられてしまった。

今振り返ると、海外拠点往査なんて、全体からしてみれば大したものではなく、そりゃ真剣にやるにこしたことは無いのですが、失敗したからと言ってそれほど気にするものではなかった。しかし全体の経験が乏しいままで一部を失敗すると、それがどれくらいのインパクトなのかわからず、気に病んでしまいます。さらに上司との関係もよろしくなかった。引っかかることとしては、上司は英語が全くできないのに、なぜこれほど威圧的なのか、と。この辺は次の記事で掘り下げたいと思います。

この後さらに、立て続けに別の国にも行くのですが、そこでも同じ上司から詰められる。外国人の前で叱責され、かなり凹みました。

これも今思い出すと非常に腹立たしい。なぜ過去経緯のレクチャーもないまま、いきなり海外でヒアリング等仕切らせるのか。事前に聞こうとしてもTODOを振られるばかりで何も教えてくれなかった。

これでさらにメンタルにきます。

さらに9月以降、A社の「内部統制」の運用テスト下半期分全て(日本本社と外国子会社)を、私1人に全て丸投げされます。これが膨大で全く進まず、徐々に仕事に行きたくなくなってきました…

これは通常3人程度でやる仕事です。間違っても一人でやってはいけない仕事。

しかし当時は新人のため、これが普通なのかと思い、「もしかして、自分って、監査の仕事できないのか」と思い始めました…

監査法人入社後、最初はそこそこ順調だったのに、「海外出張」を機に、メンタルやモチベーションが一気に急降下してきたのです…

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苦難の1年目②…