「監査論」は社会人受験生が得意にしたい科目!-新卒社会人の公認会計士試験受験記13-

前の記事 財務会計論(簿記)の勉強法①

社会人2年目は、社内システム部で「それなり」に仕事をしていました。

同時に公認会計士試験勉強も、徐々に消化。

ついに簿記と原価計算(管理会計)という2大重要科目を終えることができました。まあ当初の予定では1年目でとっくに終わっているはずですが。

同時並行で、財務諸表論、監査論、企業法といった科目が始まります。

理解は浅いものの、授業をひたすら淡々と消化していくことだけは継続しました。

このころモチベーションは上がったり下がったり。

以前、新人の時、勉強を6か月中断した、ということを言いましたが、実は2年目も計3か月ほど中断しています。

ちょっとした油断と言ってもいいでしょう。仕事を言い訳にしていた側面もある。

ちょっとプライベートのゴタゴタもあり、勉強の継続はできたものの、理解や熱意の面で褒められたものではない社会人2年目でした。

そして3年目。後輩も徐々に増え、言い訳もできなくなってきます。

私は3年目、ひとつ大きな仕事をすることができました(あくまでも自己評価w)。

簡単に言えば「個人情報保護法」に対応した「顧客情報取り扱い規定」を作成したことです。

これまでほぼ定められていなかった「大量の顧客データ」を、どう取り扱うべきか。これを草案から最終稿まで、先輩方のお力を借りながら、作ることができました。

様々なパターンを網羅した規定を作るというのは、会社にとって非常に重要です。網羅性が無いと、現場でいろいろな判断をすることになり、情報漏洩のリスクも生じるし、当然ながら現場の負担も増すからです。

よって現場の状況をしっかり見て、法の趣旨も取り入れた現実的な規定を作成しました。

同時にさまざまな社内システム構築に関わるようになりました。

ITの知識は相変わらずイマイチでしたが、現場の意見をヒアリングし、全パターンを網羅した現実的なシステムを提案するようになりました。

仕事の成果としてはまあ、そんなに威張れるほどではなかったと思いますが笑、実はこの経験は後の会計士業務に大きく役立つことになります。

やはり監査をするうえで、ITは非常に重要です。ITが入っていない会社はほぼないですし、最近はAIや量子コンピュータを扱うベンチャー企業も増えています。基本的なIT知識、それからシステムの知識は、公認会計士にとって必須と言える時代になっています。

さらに社内規定の整備。これも大きな経験でした。このあたりもJSOXをやるうえで、必須となる知識です。

社会人経験というのは、本当に無駄なことなど全くないとつくづく思います。この経験が後の会計士業務にどれほど役に立ったかわかりません。

最初、嫌で嫌で仕方なかった「社内システム部」ですが、このころになると大好きになっていました笑。「3年」というのは一つの区切りで、人事異動で希望する部署に行くことができるのですが、私は「異動希望なし」としました。

さて仕事と並行して、もちろん会計士試験の勉強も継続します。このころ「監査論」が自分の中で、実は得意なのではないか、と思い始めました。

監査論。これは、ボリュームはそれほどでもないですが(というよりも他が大きすぎる)、会計士業務の中核をなす非常に重要な科目となります。

東京CPA会計学院

そして、これが非常にわかりにくい。

なぜわかりにくいか。それは学習すべき「監査基準」「監査基準委員会報告書」等が、「実務」の指針だからです。

実務をやっている人向けに作られた指針。決して初学者向けに作られた指針ではない。

よって、受験生がいまいちピンとこないのは当たり前なのです。

ではなぜ自分が「得意」と感じたか。

それは、まず「社内システム部」という管理部門にいたから。管理部門は会社の仕組み・業務フローを熟知し、統制していくという職務がある。つまり「監査」になじみやすい部署と言えるのです。

そして「組織(会社)」に所属しているから。

監査というのは結局のところ「組織」がないと成り立ちません。「組織」を監査する必要があるのです。

そこで、自分の組織(会社)を「監査」するとしたら、どうするか、という視点で学習を進めていくと、なんとなくわかるようになる。

「監査論」は、社会人受験生のメリットを一番感じる科目と思っています。社会人経験がモノを言う。

もちろん、「想像力」が大事なのは言うまでもありません。漫然と勉強していても、これが自分の会社にどう結びつくのか全く分からないはず。

しかし、社会人は、次のような想像ができます。「実査」を例に取ります。

仮に自分の会社の支店を「現金実査」するとしたら。現金は2万円しかない。実査は必要だろうか。それだけ少ないとおそらく「重要性の基準値以下」なので、実査は必要ないだろう。まさに「リスクアプローチ」。ただ、仮に支店で現金盗難が多発しているのであれば、「不正リスク」の観点から、金額が少なくても数えたほうがいいし、担当者に「質問」したほうがいいかもしれない…

いろいろな項目が出てくる都度、自分の組織に無理やりでもあてはめ、想像していくことで、理解が深まるのです。

東京CPA会計学院2021年度合格者510名、ついにトップ!すごい…

次の記事 公認会計士「短答試験」の恐怖