会計士の働き方New Normal!③ 業務の「分類」が大事!

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ここでは働き方のNewNormalと題し、どういった働き方がいいか、主に公認会計士業務に視点を当て、考えていきたいと思います。もちろん会計士だけでなく、過去の事業会社時代の経験にも当てはめています。

仕事というのは極論すれば、次の2つに大別されるのではないでしょうか。

①誰がやっても同じ結果になるべき業務」と「②その人にしかできない付加価値の高い業務

もちろんこの定義は若干乱暴で、実際にはどちらともいえない業務があります。また、会社によって範囲は大きく変動します。

とはいえ、物事を決めるのに、最初にあまりグレーゾーンを作るべきではないと思います。

まずは、自社の業務を大きく①②のどちらかに分けてみることが必要だと思います。

①「誰がやっても同じ結果になるべき業務」というのは、極論すれば「顧客にとって当社の付加価値を産まない」ことが多いです。調書登録や社内手続ができたからといって当社の価値は高まりませんね。当たり前のことだからです。

当社の付加価値があるかどうか、という観点から考えてみるのがいいと思います。

ここで難しいのが「管理部門」の業務。私は管理部門出身というのもあり、決しておろそかにするつもりはありません。

現場と管理部門が一体となって付加価値を生み出すのは当然ですので、そこは丁寧に考える必要があります。

さて、監査法人で①「誰がやっても同じ結果になるべき業務」として思いつくのは次の業務です。あくまでも私見ですが。

  • 各種文書校正(管理部門とのやり取り)
  • 社内折衝(確認状共通センターとのやり取り等)
  • 調書登録
  • 監査概要書作成・送付等
  • 特別な論点のない監査調書作成
  • 社内手続全般(ジョブ管理、契約手続)
  • ワークフロー、社内システムの利用 等

これらは、基本的に誰がやっても同じ結果になるべきものだと思います。パートナーがやろうがアシスタントがやろうが、作業の結果は同じでなければならない。

であれば、これらの業務を徹底的に標準化すべきでしょう。

可能な限りマニュアル化し、そのマニュアルを誰もが見ることができる場所に置くべきだし、手続きが複雑なのであれば、全体研修をすべきです。

しかし現状、こういった業務も「特殊論点検討」等と一緒に、全て現場が考えながらやっています。わかりやすくマニュアル化されておらず、また管理部門による研修等も実施されていません。

その結果現場の負担が非常に大きくなっており、時間がいくらあっても足りない状況になっています。

私が経験したところだけかもしれませんが、「社内手続」に関しては、あまりのブラックボックスぶりに度肝を抜かれるほどでした。

色々な部署に文書を回さなければいけないのですが、そのフローがどこにも全く書いていない。大量の添付書類を作らなければいけないのですが、全く記載例がなく、初見殺しにも程があった笑。

さらに毎年しれっと重要な箇所を変更する。

やり方を誰に聞けばいいかもわからない。その結果1週間、手探りで社内手続だけをしたこともありました。

同僚を見ても大して変わらず、同じようなことにものすごく時間をかけていました。ベテランだろうが誰だろうが、です。

大げさに言えば、大勢の高給取りが、同じことで一斉に悩み、時間をかけ、残業しているのです。

私が過去に勤務したところは多かれ少なかれ同じようなところがありましたが、監査法人に関しては特にこの「誰がやっても同じ結果になるべき業務を標準化しよう」という意識が全く無かったように感じます。

上記の具体例には異論も当然あるでしょうが、ここで大事なのは、上記の業務が「いや大事だ」とか「付加価値はある」とかの議論ではなく、どういった業務が該当するのかを組織として考えるということです。

まずは組織として「誰がやっても同じ結果になるべき業務」を定義すること。これは色々な考え方があるでしょうから、乱暴に決めるわけにはいきません。

組織内で幅広くアンケートを取り、しっかり議論して、組織として決めるべきでしょう。間違っても現場を知らない上位層だけで勝手に決めてはいけません。

そしてそれらを標準化し、「誰がやってもできる業務」に変えていくべきでしょう。入社したての人でも、先輩に聞きながらある程度わかる状態に持っていくのが理想だと思います。

さらにいえば、こういった業務は可能な限り「無くす」「外注化する」ということが、将来的には必要になってくるでしょう。

「誰がやっても同じ結果になるべき業務」に貴重な人的資源を投入している場合ではありません。何しろここ最近、KAMをはじめ、監査上最低限検討すべきことが、ものすごく多くなっているのですから。

つづく