2年目突入。復活の予感-中年の監査法人体験記14-

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大手監査法人勤務時代を振り返ると、1年目、それから2年目の最初のあたりが一番辛かったと思います。

そしてそれは同期に聞いてみても同じです。「J1(試験合格後1年目をこう呼ぶ。J3まで。それ以降は会計士として1人前と見られることが多い)」が一番辛かった、という人が多いです。

辛い原因はいろいろありますが、「監査は慣れるまでが大変」ということが大きいでしょう。前の記事でも触れましたが、勘定科目ごとの検討事項、会社とのコミュニケーション方法、それから社内コミュニケーション方法と、独特のお作法があります。そして、テキストには書いていないこともかなりありますので、勉強していればできるというものもないからです。

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そして私はさらに、自業自得というべきか、「ワイは他業界でいろいろ経験しているぜ!」という雰囲気を出しすぎ、1年目いろいろ仕事を振られたり、あまり教えられなかったりということが、他の人に比べてかなりあったと思います笑。また期待の裏返しなのかもしれませんが、なかなか厳しいジョブに割り当てられた、ということも言えると思います。

こういった辛さのほかに、スタッフ職の給料の少なさにも日々不満が募っていました。

初めての社会人であれば十分の額なのですが、私は前職・前々職からけっこうなダウン。

当初持っていた「社会人採用なので手当てがあったり評価が良かったりするだろう」という甘い期待は完全に裏切られました。新卒だろうが社会人採用だろうが見事に均一の額。

まあ確かに仕事ができないといえばできないのですが、それでも、それほど教育しなくても出来ているわけだし、過去の経験を生かしていろいろ取り組んでいるわけだし(税務とか英語とか)、何か納得しがたいものがあった。加えて以前の記事でも触れた通り、人事考課が全員一律「2」という評価。

他の中途採用者はどうだったかわかりませんが、私はこの評価、この給料では全くやる気が出ませんでした。

(上記の「ワイは他業界でいろいろ経験しているぜ!」という雰囲気を出しすぎたのも、こういった不満が根底にあり、早く上に行きたくていろいろアピールしすぎたからなのです。ある程度勘弁してください笑)

2度目の期末監査が終わった時点で、相変わらず上司とは険悪、仕事もまったく面白くなく、本当に退職しようと考えていました。

当時の日記を読むと、次の一文が目を引きます。

クライアントの開示とか、重要性とか、僅少許容額とか、サンプル数とか、1ミリも興味なし。もっと心躍る仕事がしたい

これは相当病んでいますね~笑。

とはいえ退職の踏ん切りがつきませんでした。ひとつには前回すでに短期離職を行っていて、今回また短期離職すると次の就職があぶなそうなこと。

そして引き続き精神的にかなり病んでいたため、今の生活をこなすだけで精いっぱいだったこと。次の手が打てなかった。

何より大きかったのが、「このままボロクソに言われた状態で、何もインパクトを残せずに去っていいのか」という、一種のプライドです。

自分はこんなもんじゃない。しっかり理解すればもっとできるはず。だいたい監査チームのやり方がおかしい。

2年目は当然ながら後輩が入ってきて、いろいろ教える側に回り、多少のモチベーションも出てきました。

さらにさらに、新人の私を悩ませたA社監査チームの構成が、いきなり大きく変更になりました。

管理的なポジション3名のうち2名が外れ、別のチームから違う管理者が入ってきました。

新しい管理者は非常にマイルドかつ合理的、仕事も前の管理者よりできるように思えました。語学も堪能。

この新しい管理者は私が社会人で会った中でも屈指の「スーパー管理職」です。

2年目の6月くらいから、小さなジョブでちょっとした管理も行うようになりました。

一気に環境が変わり始めました。

そして2年目の8月くらいから、昨年病んで受験を断念した「修了考査」の勉強に取り組み始めました。

この「修了考査の勉強」が本当に大きな大きな復活のきっかけとなりました。

「天空の城ラピュタ」でムスカがメモを見ながら「ひぃ~っ、読める、読めるぞぉ~!!」と興奮しながら古文書を読んでいましたが、あれに近いです。

まさに「わかる、わかるぞぉ~~!!

修了考査の内容がガンガン頭に入ってきます。

それはある意味当然で、実務をやった後に勉強すると、知識が整理されていくからです。

修了考査ははっきりいって会計士論文試験とほとんど同じで、それに実務的な内容が少々追加されるだけなので、当初あまり意味が無いものと思っていました。

しかし、ある程度実務を経験した後にこの「修了考査」の勉強をすると、今まで「もやっと」していたことが体系化されて頭に入ってくる。

今まで「燃え尽き症候群」の名のもとに、仕事後ほとんど勉強できませんでしたが、ここへきて、かなり集中して勉強に取り組むようになってきました。

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