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監査法人2年目。
1年目はかなり精神的に病んでしまいましたが、チームメンバー再編を機に、徐々に回復していきます。
さらに1年目は受験を断念した「修了考査」の勉強を始めました。これが大きな復活のきっかけとなりました(私は監査法人入社時から修了考査の受験資格がありました)。
勉強してみると、「やっぱり会計って面白い」と思いました。
この感覚を持ったことは久しぶりです。
こんな感覚になったのは本当にいつ以来か。今でも覚えているのが、大学時代、帰省中の実家で日商簿記3級の勉強をしていた時です。
大学3年くらい。冬にこたつに入って勉強していました。
そのとき、「おお、なんだかよくわからんけど面白いな!」と思ったことを覚えています。簿記の「貸借」がパズルみたいだったし、徐々に数字を重ねて決算書を作っていく、ということも興味深かった。
そして社会人となり、社会人受験生となって、実務でたまに会計の問題に当たることがでてきます。例えば社内システム部在籍時、リース会社から「残高確認状」が届いたとき。参考記事 「勉強する目的」を考えてみる-新卒社会人の公認会計士試験受験記10-
このときリース会計基準の改正の影響とともに確認状にも触れることができ、「会計って役に立ついいものだ」と思っていました。
その頃は面白いなあと思っていた会計。しかし徐々に受験の過程に焦りが生まれ始め、楽しむというよりも「必死に取り組むべき義務」へと変質していった。
試験合格後、給料だ何だと言い訳し、なかなか会計業界への踏ん切りがつかず、税理士法人に行ったはいいけどいまいち波に乗れず、監査法人にたどり着いた後も全く楽しめていない(ほぼ自業自得ですが笑)。
いつしか会計など全く面白くもないし、むしろ苦しいだけだと考えていました。
しかし、この「修了考査」の勉強をすることで、本当に久しぶりに、会計って面白いと思ったし、本当によく理解できた。
会計の面白さは、全ての経済事象を仕訳や決算書に表せることにあると思っています。世の中の会社を、すべて共通のフォーマットで表現することができるのです。様々な財務指標を見れば、なんとなく「こんな会社だ」ということも見えてきます。
ついでに「監査論」の勉強も面白いと思うようになりました。あれほどつまらないと思っていたあの監査が。
実務経験前はほぼ「何となく」でしかなかった理解が、ものすごくクリアになっていきます。
試験勉強が進むにつれ、なんと土日に「会計監査六法」を読むようになりました。会計監査六法とは4000ページくらいのものすごく分厚いやつです。朝起きていきなり「今週やった仕事で出たあの論点は六法のあのへんにあったな」などと考えるようになりました。変態か。
1年目、かなりしんどいこともありましたが、やはり業務の基礎は叩き込まれていたのです。その意味で本当に監査法人に感謝しないといけません。
知識と実務経験が叩き込まれていたからこそ、修了考査の勉強内容がものすごくよくわかるようになっている。
本当に久しぶりに勉強にのめりこみました。覚醒したと言ってもいい。
しかし実はこの「修了考査」、周りの意見を聞いている限り評判は芳しくありません。おおむね、ただの苦行という扱いになっていると思われます笑。
それもちょっとわかります。なぜ一度経験した論文試験と似たような試験をまた受けなければいけないのか、という思いは確かにあります。勉強も大変ですしね。
さらに最近合格率が低下しています。令和2年度試験は50%を割っているようです。そのやり方は年度間の公平性を保てているのか、という疑問は大いにあります。
個人的に最大の問題と思っているのは、「実務補修所」に通ったからと言って修了考査ができるようになるわけではないということ。結局予備校に通わざるを得ない。実務補修所はなんのためにあるのでしょうか。いや補修所は試験のためじゃないとか、主催者側にいろいろ言い分はあるでしょうが、通っている方からしてみたら何の意味もないし大事なことはほとんど予備校に教えてもらったという感覚です。同じような意見は多い。主催者側は謙虚に幅広くアンケートを取り、過度な負担を減らすよう改革すべきです。個人的には3年ではなく1年でいいと思っています。小テストは10回もいらないし(どうせ修了考査で勉強するので)、論文など1ミリも不要です。
これも含めて、修了考査自体にいろいろ検討すべき問題はあると思います。
しかし個人的経験では、本当にいい勉強になったし、勉強を再開するいいきっかけともなった。
試験は12月でしたが無事合格しました。しかし驚くべきことに、試験が終了した後も、修了考査の勉強をしていました笑。
修了考査のテキストは終わったら捨てる人も多いと聞きます笑。しかし私は捨てるどころかその後何度も何度も見直しました。なぜと聞かれてもわからない。止まらなかった。
しばらく「燃え尽き症候群」で勉強しなかったのですが、会計の勉強が面白いと感じ始め、おそらく長年眠っていた意欲が復活してきたのです。
そういう意味で、私はおそらく日本トップクラスで「修了考査」を愛している、と思います笑
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