会計士の働き方New Normal!⑥社長・経営陣こそITパスポート取得!

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報道等によると、日本はIT化が世界に比べてかなり遅れていると言われています。

私個人の体感としては、世界と比べて遅れているかどうかは判断できませんが、導入すべきところで導入できていない、という点が企業内に多々ある印象です。

まず言いたいのは、組織中枢部のITレベルの問題です。

これまで勤務した3社を振り返ると、ほんの一部の例外を除いて、上位管理職・経営陣でITを理解している人が非常に少ない印象です。

最初に勤務した事業会社。ここの管理職及び経営陣のITレベルは絶望的でした笑。

PCを満足に使えない人すら多かった。ただしこの会社は情報システム部門が割と機能しており、組織が中規模というのもあって、現場のことを考慮したシステム導入ができていたと思っています(決して自分がシステム部に在籍していたから言っているわけではありません笑)。そういう意味では、上位層のIT知識の無さがそれほど問題にはならない構造でした。

次の税理士法人は少々特殊なのでちょっと飛ばして、3番目に勤務した大手監査法人。ここは本当にいろいろな上位層がいて、ひとくくりにすることはできませんが、少なくとも私が接していた役職者(パートナー)は、ITレベルは低かったです。

会計士でITレベルが低いと、割と大きな問題が起こります。まずクライアントのIT統制等が全く分かりません。大手監査法人は「IT専門家」がいるからある程度頼れるのですが、今度はIT専門家が何を言っているかがわからない。会計士とIT専門家には割と大きな溝があると思っています笑。私はIPOでIT企業を扱うことが多く、パートナーがIT統制をしっかり理解せず安請け合いした結果、監査不能になったことが何度かありました。結局のところ、IT専門家がいたとしても、最終判断を行うのは上位層なので、上位層のIT知識の不足は組織にとって損失となるのです。

さらに。ここは推測も入っていますが、大手監査法人では、組織上位層がおそらくITを理解せず、システム導入を行っています。もっと言うと現場のフローすら理解していないかもしれない。おそらくアメリカの本丸に「こういったものを導入すべし」と言われ、それをそのまま下に「導入せよ」と命じ、経営陣直轄部隊はそれをそのまま業者に丸投げしています。

その結果、現場のことを全く考慮していない、例外処理だらけのとんでもないシステムができあがります。そういったシステムが複数存在しており、現場としては唖然呆然という状況でした笑。

これまで見てきた経営陣を振り返ると、聡明な方々は多いものの、やはりどうしても保守的であり、自分たちがたどってきたやり方から目線を変えられない人が多かったように見えます。自分たちが苦労して手で行ってきた作業は、下の者にも手で行ってほしい、と思っている人が多い印象です(監査法人の若いパートナーは全くそんなことはありませんでしたが)。

私が組織の上位層に提言するのは、「ITパスポート」の取得です。

最低限これくらいの知識が無いと、組織をIT化するにあたって、今後お話にもなりません。

特に監査法人はシステムをほとんど業者に丸投げしていると思われ、「システム」を理解している人が絶望的に少ないような気がします。

組織をうまくIT化するには、最低限のIT知識、最新のIT動向の理解が必要です。その点ITパスポートは初心者にとって本当にベストな試験だと思います。

ITパスポートはおよそ100時間で合格する試験です。私は大学生の時に取得しましたが、本当にいい試験だったと思っています。

そして、最低限のIT知識と共に、「現場」業務を理解することも重視してほしい。現場のフローを標準化するのが、言ってしまえばIT化・システム化なのです。

現場のフローを理解せずにシステム化などできません。私は新卒最初の4年間で社内システム部に所属し、この点痛いほど理解しています。

本当に現場のフローとその改善が命。間違っても勝手にシステムを導入し、あとは現場で考えろ、というやり方をとるべきではありません。それは誰もが不幸になるやり方です。しかしそれが平然と行われているのが、残念な実態です。

そしてITパスポートの主催者側に提案があるとしたら、「経営陣・管理者向けのITパスポート試験」を作れないか、ということです。

やはり経営陣・管理者層の目線は一般社員と異なります。同じITでもより大きなマネジメント目線が必要となるはずです。

言ってしまえば、IT弱者であるシニア層に頑張ってもらおう、ということです(はっきり口に出すと暴動になりそうですが笑)。しかし今後超高齢化する日本においては、シニア世代だからIT免除、というわけにはいきません。今のシニア管理層にしっかりIT武装してもらうのが日本の最優先事項だと思っています。

そのためにもまずはIT知識がない経営者・管理者向けのITパスポート試験(のようなもの)を新設し、取得を奨励してみるべきではないかと思っています。

この話をすると間違いなく「そんな試験意味がない」だの「役に立たない」だの言う輩が一定数います笑。

もしその方がIT知識が問題なくあり、組織IT化に尽力できるというのであれば何も問題はありません。

しかしそうでないのであれば、やるべきことは明白でしょう。

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