会計士の働き方New Normal!⑦役員は「上がり」ではない。一層現場を熟知すべし!

前の記事 会計士の働き方New Normal!⑥社長・経営陣こそITパスポート取得!

今回、組織の「役員」「上位管理職」にスポットを当ててみたいと思います。

私はこれまで監査法人を含め3社勤務してきました。そして現在、小規模監査法人で、いちおう「役員」を勤めるとともに、自分の会計事務所も運営するなどしています。

私はこれまで中規模事業会社、小規模税理士法人、大規模監査法人に勤務してきました。

大手監査法人は文字通り大きな組織で、最上位層のパートナーは大手法人であれば1000名前後いるようです。

全体の人数が5~6000人ですので、パートナーは最上位層といってもかなり大きなパーセンテージを占めます。

各監査チームは、このパートナー(監査責任者)にぶら下がっています。

パートナーは1クライアントにつき通常2名。その下に監査補助者として監査主任以下数名。監査補助者が何人配置されるかは、クライアントの規模によります。

私が経験した小規模ジョブであれば、パートナー2名の下に補助者2名なんてのもありました。

監査補助者が3名~4名というケースも多いです。

何が言いたいかというと、最上位層であるパートナーも、全く「上がり」のポジションではないということ。

全部で5~6名しかいないジョブであるにもかかわらず、上位2名が何も手を動かさないのであれば、その下にとんでもないしわ寄せがいきます。

まあ、この辺は非常に難しいです。パートナーはパートナーで、マネジメントだとか組織運営だとか交渉だとか、いろいろやることが多いというのは理解できます。

とはいえチームの人数バランス的には、そんなにマネジメントばかりやられても困るのは一目瞭然でしょう。

まあ、パートナーが監査個別調書だとかそういった手を動かす作業をしないのは、良しとしましょう(個人的にはやってもらわないと、もはや回らなくなってきていると思っていますが)。

しかし、役員・パートナーは、「現場業務」に関しては、本当に熟知してほしい。

いま監査補助者がどんな作業をやっているのか。確認状はどんなシステムを使っているのか。何に時間がかかっているのか。会社とコミュニケーション上どんな問題を抱えているのか。

これらは、監査補助者だけで解決できる問題ではありません。監査補助者には組織を変革する決定権がないからです。

組織を変えることができるのは、役員層、パートナーだけです。これは間違いありません。重要な会議の参加、予算編成権。全て役員層に帰属するものです。

たまに「若年層もどんどん意見を言うべし」、という役員がいますが、意見を言ったとして本当に理解できるでしょうか。

そもそも、理解するために現場に行っているのでしょうか。

現場で起きていることを理解していないと、おそらく「調書を見るだけ」「話を聞くだけ」に終わるでしょう。

私の経験上、オフィスで「見るだけ」「聞くだけ」で本質は理解できません。自分で考えていないからです。

私の印象では、全員ではないもののかなりの役職者は、現場に行くことすら稀です。

何をやっているのか知らないですが、オフィスにいます。

現場でどんなことが起きているか、何に不満が溜まっているか、現場で使っているシステムがどんなに使い勝手が悪いか、社内手続きがどれだけわかりづらいか。

「現場」を積極的に理解してほしいです。これを理解していないと、本当に組織改善ができないと思います。

繰り返しですが、理解するというのは「報告を聞く」「調書を見る」ではありません。自分で現場に行って、現場のシステムを使って、考えることです。

旧日本軍と米軍を比較した名著「失敗の本質」でも同じような話がありました。旧日本軍の「上位層」は現場から上がってくる意見をないがしろにし、現場に行くことすらしない。そして机上で人命を軽視した無謀な作戦を立てる。

一方米軍は全く逆で、上位層は現場に何度も出向き、兵士たちの意見を聞く。基本的には人命を最優先した作戦を立てる。

日本の組織が現場を軽視しがちな背景に、上級管理職・役員が「上がりのポジション」になっていることがあるのではないでしょうか。

これまで散々頑張ってきた。だからもう現場は「卒業」。

しかし、この発想はとんでもない間違いです。

組織に、現場のことをまったく理解していない役員層が非常に多い印象です。にもかかわらずトップダウンで意味不明なシステムが開発され、余計な混乱を生んでいる。

一方、上役が現場に行きすぎると、それはそれで現場の人間が大変、ということもあります。よって過度に行きすぎるのも、それはそれで難しいものがあります。

とはいえ、なぜ大変かというと、ほとんどの場合、上のお世話が面倒だからです。現状がよくわかっていないけど過去の経験とプライドだけは豊富な上役が、現場に来られても大変困るのです笑。

それを避けるには、自分が現場の一員として作業をすればいいだけの話。

監査で言えば、パートナーは大体2名いるので、客観的な視点は最上位パートナーが持てばいい。もう1名まで客観的になる必要はない。そもそも他に審査社員だっているわけですから。

結論としては、役員層も現場のフローを細かいところまで理解すべき。そうしないと組織の変革ができない、というのが私の考えです。

もちろん私は有言実行しています!

つづく