ボーナス査定に激おこ(2回目)②退職を決意-中年の監査法人体験記20-

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とても頑張った、と思っていた年度の賞与が、標準から35%減。評価は5段階の2。

よく調べてみると、自分だけが悪く評価されたわけではなく、特定世代が一律減額ということだったのでした。相変わらず全体の賞与支給状況が何も発表されていないので、これも不確かなのですが。

前年の同世代と比較しても減額という結果。

そして組織や上司からの説明は全くなし。

それまで、なんだかモヤモヤした状態で働いていて、賞与があるからまあいいかと思っていたところ、この仕打ち。

大手監査法人勤務時代で、このときが一番怒ったときだったと思います笑。

前回の記事の通り、まず部門の偉い人に面談を申し込み、理由を問いただしました。しかし帰ってきた回答は「全体として決められた」だの「組織とはそういうもの」だの煮え切らないもの。

怒りが収まらず、今度は組織のホットライン的なところにメールしました笑。

すると、今度は人事の「ものすごく偉い人」が面談をしてくれるとのこと。

後からわかるのですが、この方はちょっと偉いどころではなく「ものすごく偉い」人でした。

そのときは、とりあえずまあ人事部長のような偉い人が会ってくれるなら、面談したうえで矛を収めるか、と思っていました。

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今後はせめて理由を開示してほしいとか、クリアな評価と賞与制度を望む、のようなことを言うつもりでした。それ以上は言わず大人しくするつもりでした。

しかし、その「ものすごく偉い人」の面談、最初の面談に輪をかけてひどいものでした笑。

事前に送ったメールやアンケート結果など何も見ていない。何で面談に来たかも把握していない。部下にいろいろ喋らせて自分は偉そうにしているだけ。

こちらが何を言っても、「それは部署の判断だ」とか、完全に煙に巻きにきました。

この対応に怒りが頂点に達し、ものすごく偉い人との面談中、途中で退席してしまいました笑。

本当に話にならない。若手だと思ったのか、そういうものなんだよ、細かいところは部署に任せているのだよ、のような感じで話を聞くことすらしないのです。

人事のトップがこの対応。説明する気がまったくなし。この組織、マジでダメだと思いました。ものすごくガッカリすると同時に、このときはっきり退職を決意しました。

とはいえその後数年残るのですが笑。

そして公平を期すために言っておくと、その翌年、賞与はよかったです。なぜよかったのかわからないくらいよかった。

翌年バランスを取るのであれば、最初から言ってくれればいいのに、と思いました。

よってトータルではチャラです笑。

この件で私は組織に対して残念なことが2つありました。

  • 組織にアカウンタビリティ(説明能力・説明責任)のかけらもなし
  • 同僚も文句を言うだけ。組織に意見しようという人がひとりもいなかった

・組織にアカウンタビリティ(説明能力・説明責任)のかけらもなし

我々会計士というのは、アカウンタント(accountant)と呼ばれます。アカウンタントはアカウンタビリティ(accountability=説明能力・説明責任)の類義語です。

会計というのはそもそも、他人に自分の会計状況を「説明」することが根底にあります。

監査もそこから来ているのです。つまり、他人に自社の状況を監査してもらい、利害関係者に説明責任を果たす。

しかし監査法人という組織は、アカウンタビリティという言葉とは程遠い。

とにかく重要なことは全く説明しない。「決定事項」として通知されるのみ。背景も何もあったものではない。

別に賞与というのは満額支給する必要はないのです。業績悪化、低パフォーマンス。それで減額されることくらい、さすがの私も理解しています。しかしそれには相応の説明責任があるのは当たり前。

人事考課にしても後によくわからないものが導入されましたが、考課する方も何も理解していない。形式的にやっているだけ。

導入した側が何も説明しないのです。これは人事に限らず全てです。

パートナーも説明できないことが多かったので、おそらく相当上の方がブラックボックスになっているのでしょう。

・同僚も文句を言うだけ。組織に意見しようという人がひとりもいなかった

今回の減額はかなりひどいものでしたので、同僚も相当文句を言っていました。しかし私がよびかけても、誰も組織に一緒に意見しに行こう、と言ってくれる人はいませんでした(泣)。まあ私が人望ないだけだったのですがw

私の印象では、会計士というのは本当におとなしい。黙々と仕事をしています。それはいい面もあるのですが、明らかにおかしいと思ったこともとりあえず黙っている。そのマインドは思考停止につながりやすく、現場発の改善などできません。

別の観点では、皆大変な思いをして仕事をしているので、やはり出世したい。

上がつかえており、昨今はマネージャーになることすら相当な競争率。マネージャーと言っても一般企業で言えば係長のようなものですが。

下手に目立つと、出世に影響があるのは明白です。

まあ、よくわかります。家族があれば思い切った行動はできないでしょう。私のように「いつでも辞めてやる」のようなスタンスを持てと言うのも無理な話です。

しかし、一つだけ言いたいのは、公認会計士という「説明責任」を重視する職業を選んでおきながら、こういったことに目を瞑り、黙々と仕事するという未来を、かつて受験生だった時に思い描いていたのか、ということです。

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