ものすごく頑張った、と思っていた年度の賞与が標準より大幅減。
その理由が全く開示されず。
偉い人に聞きに行っても全く説明する気なし。
偉い人が多少話を聞いてくれれば矛を収めるつもりでしたが、聞く気が全くなく、面談中「こいつ何しに来たんだっけ?」と部下に確認しているような状態。本当にガッカリしました。
このときはっきり「ここにいるとイライラし続けることになる。退職しよう」と思いました。私の価値観から見て、「何の説明もしない」「話も聞かない」というのは、あり得ないからです。
それと同時に、こういう組織でこれまで耐え忍び、出世して、パートナーになっている人というのは、これまでいろいろな理不尽に耐えてきたのだなあ、と妙に感心しました笑。
そういったパートナーたちに思い切ったことをしてくれと期待するのも無理な話でしょう。なにしろこれまで捧げてきたものが大きすぎる。これまで散々な思いをして、ようやくつかんだパートナーという地位にある人たちが、保守的になるのもよくわかります。皮肉でなく。
のちに事件が起きたときも、普段の勢いはどこへやら、パートナーたちは一様に沈黙していました笑。しかしこれまで捧げてきたものを考えると、「さらに上」の方に目立った言動をしないのも、理解できます。
私が人事でちょびっと「暴れた」ということが広まったのか、その後、部署で近い上司やパートナーがいろいろ話しかけてくれました(この程度で暴れたつもりはないのですが笑)。
特に解決するわけではありませんでしたが、そこで話を聞いてもらえたのは嬉しかったです。
まあ話と言っても「賞与を減額するのであれば理由を開示してほしい」「人事考課の結果を適切にフィードバックしてほしい」という、それだけなのですがね…
「いろいろあるだろうが、これからも頑張ってほしい」と身近な上司等から言われ、少しモチベーションも復活しました。
しかしここから私の組織に対するスタンスは「無関心」となり、常に独立のことを考えるようになります。
そしてこれまで以上に「IPO監査」業務に注力するようになりました。IPO(株式新規公開)というジャンルが、独立後に役立ちそうだと思えたからです。
自分の興味ないジャンルの仕事は、断るようにしました笑。無理して頑張ってもろくに評価されないので当然の対応です。あまりこういうスタンスは好きではないのですが、致し方なしです。
IPO監査という業務は、監査法人の中で一番好きでした。
IPO監査について簡単に説明すると、ある上場していない会社が、上場しようとするときに、監査法人による2年間の「上場前監査」が必要になります。
その「事前監査」が主にIPO監査となります。
IPO監査は、難しいです。なぜなら上場していない会社は、厳密な会計基準を適用していないことが多いのですが、上場企業の水準に合わせるよう指導したうえで、監査をする必要があるからです。さらに、会社の管理体制も、中小企業にありがちなワンマン経営を改め、適切な管理者に権限を割り振り、社内管理体制を構築するよう指導しないといけません。
言ってみれば、プライベート(私)企業から、パブリック(公)企業に変わる必要があるのです。私はよく、会社が半分国のものになること、と説明したりします。
この「指導」、かなりの経験が必要となります。まずはゴールである「上場企業」がどうあるべきか、熟知していないといけません。
さらに、それだけではダメで、現時点の非上場中小企業の実態に合わせて、無理のない改善をしていく必要があります。これが難しい。
いきなり「あるべき」を、まったく準備ができていない中小企業に導入しようとしても、うまくいかないことが多いのです。
IPO監査で重要なのはこの見極めで、企業の現在の規模や状況を見て、上場というゴールに向かってどのように改善していくか、臨機応変に指導していく必要があるのです。
私は前々職で中小企業金融支援やコンサルをしていたのもあり、中小企業・ベンチャー企業がとても好きですし、なじみがあります。これが大きなアドバンテージとなりました。なぜならIPOしたいという企業は、ほぼすべてが中小企業・ベンチャー企業だからです。
そしてゴールである「上場企業」のあるべきも、監査経験を重ねるうちに、ようやくわかりはじめてきた。
ということで、このIPO監査が自分のキャリアからみても、ものすごくあっているのではないか、と思っていました。
大手監査法人時代、IPO監査に15社程度関わることができました。それは本当に大きな財産となりました。
最初の方はできる上司やマネージャーからIPOをひたすら教えてもらう日々。この部署はIPOに精通した人が多く、そういった人たちから実務を教えてもらえるのは本当にありがたいことでした。
さらに個人的に「IPO上級実務者検定」の勉強も始めました(世の中いろいろな検定があるものです)。この勉強も非常に役に立ちました。
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