今回の「新規案件」はどう考えても難しそう。しかし上司・パートナー共に契約一直線。
結局契約したのですが、上司はあっさり退職。残されたメンバーで取り組んだものの、案の定、続行がとてつもなく困難となり、契約解除となってしまった。
私はこの状況になってしまうのがわかっていたため、当初パートナーに何度も「やめたほうがいい」と言っていたのですが、全く聞く耳を持たず。
このように下から上に「提言」するのは極めて異例です。
ここで少し「パートナー」について説明しておきましょう。パートナーとは、単なる役職者ではなく、法人に「出資」をしています。社員といったりしますが、それは会社員という意味ではなく「社団構成員」。つまり役員でもあり株主でもあるような、非常に高い地位であり、監査法人のピラミッドの頂点となります。
そしてパートナーは監査案件の最終責任者。何か問題が起きれば全面的に責任を取る必要があります。監査報告書にサインをするため、その会社で粉飾事件といった問題が起これば、自分の名前が世間にさらされてしまうばかりでなく、場合によっては重い責任を問われる可能性があります。
よって、組織の中では非常に高い地位にあり、基本的に下の者はパートナーに対して異論を言うことはありません。私も基本的にそのあたりのリスクペクトは持っています。
しかし、こういった「絶対的な関係」には負の側面もあり、本件のようにダメな案件を機械的に進めてしまい、チーム全体で炎上してしまうことにもつながってしまうのです。
そして今回の件、私は強引に契約してしまった時点で、相当頭に来ていました笑。
このとき若干キレ気味にパートナーに「伝達」していました。
「こういう難しい案件を進めるということは、下に手続きを丸投げせず、パートナーが手伝うということだと理解しています。」
「監査手続や調書作成など、当然手伝っていただけるものと理解しています。」
これにも説明が必要でしょう。
大手監査法人のパートナーというのは、「監査手続」そのものは全くやりません。監査調書もほぼ作成しません。下が全部やります。
チェック表を作り、最終的なサインをするだけ、という人も多いです。
もちろん決してそんな決まりはなく、例えば今私は中小監査法人のパートナーですが当然監査手続を行い、監査調書を作成しています。しかしなぜか、大手監査法人のパートナーは一切監査手続を行わず監査調書作成もしません。
何をしているかというと重要な調書だけ「レビュー」をしています。
あとはクライアントとのコミュニケーション。他にも何かやっているのでしょうけど何をやっているのかは見えない。
プランニング、監査手続、監査調書作成に関しては全て「丸投げ」スタイル、ということがいえます。
このスタイルは結局のところ、案件を契約し、「後はやっておけ」と言っているようなもの。
しかしこんな難しい案件でそんな丸投げはダメだよ、ということで上記の「伝達」につながっているわけです笑。
・・・この時点で組織的には「アウト」でしょうね笑。おそらくパートナーも、この「体育会系」の組織の中で、下からそんなことを言われたのは初めてだったはず。
しかし過去、何度も似たような炎上を繰り返しており、さすがに組織的にも問題になり始めていたためか、パートナーも「手伝います」ということになりました笑(結局ほとんど手伝いませんでしたが…)。
そして結局続行不可能。会社ともだいぶもめてしまいました。
このときに思ったのが、会計士はとにかくITに弱い。
その会社はITの会社なのですが、ほとんど事業を理解せず、システムも理解していないまま監査を進めようとする。
それで結局ITのところがネックとなり、契約不能となるわけですが、そこが問題となるのは当初からわかりきっていたこと。
1年近くもすったもんだのあげく、こちらは何とか調書にしたというのに、今度はパートナーが続行不能、と言い出したのです。
当初から反対していたにも関わらず、やるというもんだから強引に進めていたのに、あっさり覆す態度。
これには本当に失望しました。
そしてついに、パートナーを「公開説教」してしまいました笑。
クライアントも見守る中、「いい加減にしてほしい」「ちゃんと理解してくれませんか」と、1分間説教したのです。
サラリーマン継続を諦めた瞬間でした。
このパートナーはそれ以来口をきいてくれなくなりました笑。
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