現実を受け入れすぎるのはNG。現状を自分の都合に合わせて変えていく-10代・20代への「提言」③ –

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現実をありのままに受け入れる。一見正しいようですが、「受け入れすぎる」のは問題です。

社会人1年目。私は全く希望しない「社内情報システム部」からキャリアをスタートしました。

私としては現場に行きたかったのですが、人事は私になんらかの危険性を感じ笑、いったんバックオフィスで経験を積ませようとしたのかもしれません。

入社して私は労働時間に絶句しました。9時業務スタートで、なんと毎日23時~24時までぶっ通し勤務。夜9時くらいからミーティングがあるのはざらでした。

私は長時間働くのが大嫌いでした。というか今も長時間労働は基本的にしていません。夕方くらいになると疲れて能率が落ちてくるのです。

夜遅くまで働ける人は凄いなあと思う反面、本当に効率よくやっているかというのは甚だ疑問だと思っています。後に入った監査法人では能率が深夜まで落ちていないように見える猛者がたくさんいたのも事実ですが…

最初は新人なので、言われるがままに23時、24時くらいまで仕事をしていたのですが、1週間、2週間たって、どう考えてもおかしいと思い始めました。

いったい何にそんなに時間を費やしていたのか。

当時は2000年代。ITシステムは今よりもはるかに貧弱でした。

今ではシステムはほぼクラウド化されており、サーバーは見えるところにはありません。

しかし当時は社内の地下、もしくは空いているスペースや部署のなかに、業務サーバーが存在する時代でした(地震とか災害が起きるとリスクが大きいですね…)。それらのバックアップや故障対応、さらに各システムのリニューアル対応等で情報システム部はてんやわんやという感じでした。

こういう状態なので、ある程度時間がかかってしまうのは仕方ないかもしれません。

しかし部員は10名くらい。ものすごく効率的にやらないと、時間が鬼のようにかかってしまいます。

最初に感じた違和感は、やたら全体ミーティングが多いな、ということでした。

業務の切り分けがうまくいっておらず分担があいまいで、結果的に全員が中途半端に全システムに関わっているような状態。

これ、こう書くと「そんなバカな」と思うかもしれませんが、こういうことって意外と組織にありがちなのです。ちょっと考えればシステムごとに責任者とサブを付け、それらを統括する責任者がいて…という風に階層化していく。実に当たり前のことなのですが、組織ではこういう不合理なことが割と普通に起こってしまうのです。

増えるシステムに、対処療法的に手間をかけていくと、こうなりがち。

私は新人ながら、この違和感に気づき、恐れ知らずにもほどがあるのですが、部門長にこの体制を改めるよう提言したりしていました笑。もちろん私だけの力では決してないですが、この体制は徐々に改められ、数年後には残業時間は劇的に減少しました。

それから紆余曲折を経て、約10年後。大手監査法人でも、状況は全く同じでした。

私がいた部署は残業が多いことで有名。とんでもなく働くのが当然、という部署の雰囲気でした。なぜ私はこういうところばかりに入ってしまうのか…笑

確かに会計監査は大変です。しかしよく状況を見てみると、とにかく作業を機械的にやっている印象です。

何か問題が起きたら、それに合わせて機械的に人を増員します。もし増員できなければ既存メンバーに作業を割り当てます。

増員された人も既存メンバーも、もちろん他の仕事をやりながらなので、残業時間が増加するだけです。

何に時間がかかっているのか、何がボトルネックなのか、何か劇的に改善する方法はないか。振り返ることはほとんどしません。

これらの例に共通しているのは、「現実をありのままに受け入れすぎていること」です。

別の言い方をすると、何か事象が起こるのを待って、起きた事象に対して、機械的に対応方針を考えている、ということ。

上でも触れた通り、みな非常に忙しい(ように見える)ので、組織では思考停止状態になりがち。冷静に見れば問題があるのに、割とやっている方は気づかなかったりするのです。

しかしこのやり方はコロナ下リモートワークが主流となりつつある状況においては、仕事が全く終わらないということにつながりかねません。

まずはリソースを見極め、どれくらいの処理ができるかということを正確に把握したら、今度はそれに合わせて、現実を変えていくくらいの意気込みが必要です。

上のシステムの例で言えば、そもそもサーバーの管理など、情報システム部員がやる必要はありません。専門家(駐在SE等)に来てもらうと言った対処法を考えるべきなのです。そして情報システム部員は社内業務フローとそれに伴う業務システム改善に注力すればよい。

現実をありのままに受け入れすぎては、いつまでたっても仕事が終わらなくなってしまうのです。

組織というのは本当に不合理なことがたくさんあります。若い方は違和感を感じたら上の言うことなど気にせず、合理的に考えてみて、恐れることなく提言してほしいですね!

まとめ

  • 組織では、対処療法的にものごとを進めた結果、ものすごく不合理な仕組みになってしまうことがよくある。
  • 中にいるとそのことに気づかないことすらある。
  • 現実を受け入れすぎるのはNG。
  • まずリソースを見極め、現実をそれにあわせて変えるくらいの意気込みを持たないと、いつまでたっても仕事は終わらない。

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