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「大手監査法人のいいところ」中編です!
- 会計監査の基礎が叩き込まれる(前回)
- 世界的なネットワーク(前回)
- 幅広い業務
- 優秀な同僚・上司(次回)
幅広い業務
監査法人は一般的に想定する上場企業の監査だけではなく、非常に幅広い業務を行っています。例えば以下です。
- IPO監査・コンサル
- 英文財務諸表監査・レビュー
- コンサル(会計を中心としながらも非常に幅広いジャンル)
- 税務
- IT
おそらく上に上げたもの以外にもたくさんあるでしょう。掘れば掘るほど知らない組織があり色々な人がいる、という感じでした。
以下すべてに共通しますが、もちろん中小監査法人でも同じことはできますが、大手監査法人の方が幅広い業務に、組織的に取り組めることは間違いないでしょう。何しろ組織が大きく、扱う案件もより幅広いのですから。
IPO監査・コンサル
監査法人業務の中で個人的にこれが一番好きでした。IPO(株式新規公開)を目指す会社は、上場前最低2年間監査法人の監査を受ける必要があります(準備が上手く行かなかったり業績が悪くなったりしたらもっとかかる可能性もあります)。
IPOを目指す会社はたいてい中小・ベンチャー企業です。個人的な志向にもよると思いますが、中小・ベンチャーは非常に活気があり、また業務内容も分かりやすいことが多く、非常にやりがいがありました。また上場後の会社と違って、社内に問題点が存在することが多く、これを改善するためにコンサル能力も求められ、面白いと感じていました。詳細は次の記事もご参照ください。IPOジョブは面白い!しかし…
英文財務諸表監査・レビュー
現在世間では、法定開示書類である「有価証券報告書」等以外に、会社が独自に自分たちの組織を幅広く、わかりやすく記載した「統合報告書」を作成しようという流れになっています。有価証券報告書は確かに重要な書類なのですが、記載内容がガチガチに決められているうえに、内容が固すぎ、難しく、さらに見ても何も面白くない笑。そのうえ投資家目線で見て、それほど重要なことが書いてあるとも思えないからです。
会社は有価証券報告書以外に、例えば「アニュアルレポート」といった名前で、自社をわかりやすく説明したレポートを作成することが多いです。そしてそれをさらに英訳して海外投資家に説明したりしています。
私は新人の頃からこの英文アニュアルレポートのレビュー業務を行う機会に恵まれ、本当にためになりました。次の記事もご参照まで。英語ができるといいことだらけですよ!
コンサル(会計を中心としながらも非常に幅広いジャンル)
コンサルも会計士にとって非常に重要な業務です。絶対に一度は経験したほうがいいと思います。私は監査法人内にあったコンサル部門に3か月だけ出向させてもらったことがありました。そして扱う業務が本当に幅広いということに驚きました。経理体制の改善、IFRS導入といった会計監査周辺業務から、超大手企業の稟議フローシステム導入といった会計には関係なさそうな業務まで幅広く行っていました。
監査とコンサルは同時提供できないので、基本的にお客さんは監査クライアント以外となりますが、監査クライアントでも監査とコンサルで部門を分けるなりして、最終判断に関わらないようにしておけば大丈夫なこともあります(収益認識や内部統制アドバイザリー等は同じ監査法人がやったほうがいいですよね。もちろん最終判断をしないよう気を付ける必要はありますが…)。
今後監査法人では「コンサル」の収入割合が多くなっていくと予想されています。監査だけでは頭打ちになるのは目に見えています。
ちなみにコンサルも監査法人内に存在する場合もあるし、完全に別法人となっている場合もあります。別法人でも同じグループなので出向することはおそらく可能です(そういう人がいました)。
税務
どのグループも税理士法人が存在することが多いと思います。そして興味があれば、監査法人から出向することはおそらく可能です。
私は監査法人に所属する前に全く違う税理士法人に1年いましたが、1年でも税務をやっておくと全然違います。監査をしていたとしても、最早税務を避けることはできません。税効果は言うに及ばずです。また世間からの期待として、公認会計士である以上、税務についてもわかっているはずという想定があるのを忘れてはいけません。会計士試験に合格すると、だいたい親戚から税金のことを聞かれると思います笑。世間は会計や税務を同じものと考えていることが多く、「いや自分は会計士だから税金はモゴモゴ」と言っても、おそらく「?」となってしまうでしょう。しっかり期待に応えていきたいものです。
IT
監査はITなしに行うことはできません。近年さまざまな監査ツールが開発されています。個人的な予想では、おそらく監査調書の作成は限りなく自動化されるでしょう。また監査をするには対象となる会社を色々な角度から分析する必要があり、様々な分析ツールが進化し続けています(使いやすいかはともかく笑)
この辺はやはり海外の巨大ファームの独壇場。海外の巨大ファームと提携し、様々なツールを使用できる強みは大きいです。
またIT専門家部隊なんてのもあったりします。企業のIT環境も近年非常に難解になってきました。暗号通貨、AI、量子コンピュータあたりは理解が難しく、そういった専門家の力を借りる必要があります(そうしないとJSOXの全般統制・業務処理統制が評価できませんね)。会計士として監査法人に入ったけど、そちらの世界に魅力を感じ、IT専門家になったという例も少なからず聞きます。
このような幅広さは大手監査法人であれば間違いなしです。
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