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私は新卒でいきなり長時間残業が当たり前の部署に配属されたこともあり、社会人になって以来、ずっと残業問題を考えてきました。
残業、なかなか奥が深いです笑。
どういうことか。
そもそもですが、残業って、したいものですか?
これ、一般的には「したくない」という答えが多いのではないかと思います。残業というのは基本的にネガティブな響きがありますよね。仕事が終わらず、なんとなく嫌々やっているような。
しかし、じゃあ実際に残業をしていないか、というと、かなりの割合の人が残業をしています。
なぜでしょうか。仕事が終わらないから?当然それが第一でしょう。
もちろん他の要因もあります。
いわゆるサービス残業を強要しない普通の会社であれば、従業員が残業をした場合、会社は賃金を割り増しで支払うべきことが法律で強制されています。
残業をした場合、普通は平均賃金の25%増しになります(深夜だと50%増し)。
つまり残業をすると、これまでよりも良い時給で働くことができるのです。
(ちなみに管理職は除きます。)
これって、相当大きなインセンティブですよね。
さっさと仕事を終わらせて定時に帰る人よりも、全く同じ作業量で毎日2時間残業をした人の方が、10万円以上給与が多い、なんてことになりかねないのです。
これ、本当におかしな話で、ダラダラやったもん勝ちということになりかねない。
定時に終わらせようというインセンティブもなくなります。
しかし実際問題、管理職ではない若い世代が、残業代が欲しくないかというと、絶対にそんなことはないでしょう。若い世代はお金がないと遊べないのですから。
基本給が非常に安い状況なのであれば、なおさらです。
私が事業会社にいたときも、頑張れば定時内に終わるような仕事を定時後に引っ張っている例をかなり見ました。
かといってそれを一概に咎めることはできないのです。人によって事情は千差万別。家族の事情もあるし、お金がどうしても必要な場合もあるのですから。
この「生活残業」問題、非常に大きいと思います。
裏を返すと、基本給が安いという問題もあるでしょう。
ここ最近の日本の給料の安さ(というか給料据え置き状況)は目を覆いたくなるほどです。大企業は利益を出しているにもかかわらず従業員に還元せず、ひたすら設備投資や内部留保に回しているように見えます。かといって何か革新的な製品を開発しているわけでもない。まあそれは別問題なのでここでは触れませんが、早く副業が一般的になってほしい。「賃金は上げない、副業は認めない」じゃ本当に話にならない。
さらに。これは個人的な印象も入っているのですが、皆、口では「残業嫌だ」「忙しい」と言いながら、実はけっこう残業好きなのではないかと思っています笑。
5時に帰っても、やることがない。
これは何も家庭に居場所がないお父さんだけでなく笑、意外と若い層にも多い印象です。
とてつもない仕事量は抱えたくない一方で、心のどこかで「バリバリ仕事をしている」感も出したい。いつも定時に帰っているのではどうも格好がつかない。そもそも早く帰っても、そんなにやることがない。
この辺の思いが複雑に入り乱れ、残業というのはやるべきなのか、やるべきでないのか。もっと言えば、いいものなのか、よくないものなのか。判断するのが非常に難しい問題になっていると思います。
私はかつて労働組合の執行委員メンバーになり、社内で残業に関するアンケートを取ったことがあります。回答は基本的に「残業は嫌だ」「残業はやりたくない」というものが多い。しかし、ではどのように減らすべきかという話になると、急に議論がストップしてしまう。いざ深く考え始めると、自分の仕事ぶりをあれこれ言われそうだし、給料は減りそうだし、暇になりそうだし…そんなこんなで、あまり考えたくないのです。
残業というのは本当に本音と建て前が違います。「忙しい~!残業したくねえ~!」とか言いながら、言っていることと本心が全然違う可能性もあるのです笑。
とはいえ、この「生活残業モデル」、とっくに破綻していると思います。
やはり、残業はなるべくしないほうがいい、というのが私の考えです。
私は可能な限り素早く仕事を終わらせ、空いた時間で副業をすべき、と考えています。もちろん空いた時間を趣味、家族サービス、投資、資格勉強等にも使うべき、というのも言うまでもありません。