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公認会計士は「監査だけ」やる必要はありませんが、「どこかのタイミングで経験しておいた方がいい」というのが私の考えです。
監査をやることのメリット パート2です!
- リスク感覚が身につく(前回)
- 監査はなんだかんだで会計士業務の根幹
- 試験で勉強したことのほぼ全てを使う
・監査はなんだかんだで会計士業務の根幹
公認会計士は確かに幅広い業務を行うことができます。私も合格後10年で幅広い業務を行ってきたと思っています。
経理、税務、DD(デューデリジェンス)、IPO、レビュー、コンサル、事業計画策定、会計関連講師…
私は経験してませんが、他にメジャーなところではM&Aアドバイザー、ベンチャー企業CFOなんてのも一般的でしょう。
個人的な意見ですが、財務諸表の監査というのは、会計士が関連する全ての業務のバックグランドになりうると思っています。
監査とひとことで言っても、会計処理に当然詳しくなければいけませんし、出来上がった数値をしっかり分析することも「リスク評価」で必要となります。さらに上場企業において必須である「内部統制監査」を行うために、その会社で数字が出来上がる仕組みを知る必要があります。もちろん会社を深く理解するために、ビジネスの仕組みや会社の拠点を深く知る必要があるのは言うまでもありません。
このように監査においては、会計処理への精通・財務諸表の分析・それらの背景の考察が、極めて重要となります。監査法人ではこれを朝から晩まで行います笑。
そしてこれらは、上記会計士が行う全ての業務に共通するものだと思います。これらに詳しければ詳しいほど、他の業務もやりやすくなるはずです。
監査を行うことで、これらの基礎が自然と叩き込まれることになり、結果その他の業務も手を出しやすくなります。
例えばM&Aアドバイザーと言っても、まずはM&Aに関係する会計・税務の処理に当然精通していなければいけませんよね。
その意味でも、監査をする際は、なるべく多くの業種、多くの会社に携わるべきでしょうね。少数の同じ会社をずっとやっているとマンネリ化してしまい、去年と全く同じことをやって終わってしまったということになりかねません。それは特に独立を目指す場合には避けたほうがいいと思います。
色々な会社の監査をしていると本当にいろいろな問題があり、いろいろな利害関係者がいて、その周りにいろいろなコンサルタントがいるものだということがわかります。それらに対処するのは監査をやっているときはしんどいですが笑、会社に関係する問題をしっかり考え、しっかり監査し、記憶しておくと言うことが、将来大きく役に立ちます。
・試験で勉強したことのほぼ全てを使う
これも間違いありません。
私は合格後もしばらく、もともと在籍していた会社でひきつづき業務を行っていました。主に金融や中小企業コンサルをやっていたので、ある程度会計に関係はあるのですが、勉強した内容は「ほんの少し」重なるかなという程度でした。
財務会計論で勉強する「退職給付」「ストック・オプション」「税効果」「連結」等は、中小企業は全くと言っていいほど必要ありません笑。
法人税の知識も役に立ったと言えば役に立ったのですが(会計と税務の違いは世間でも意外と知られていない)、とはいえ税理士として申告書を作るわけでもないので、そんなに深い知識は必要とされません。
監査論・企業法・経営学はそこでは全く必要ありませんでした笑。
その後紆余曲折あって監査法人に入り、痛感しました。
やはり公認会計士試験というのは「財務諸表監査」をする人向けに作られているのだな、と。
財務諸表監査においては、会計士試験で勉強した内容がほぼすべて必要となります。監査論は言うに及ばず、企業法もです(あれほど大変な論文が必要なのかというのは置いといて)。
あまり必要ないと思われる経営学理論編(笑)も、最近リスク評価でSWOT分析をやったりしますので、まあ知っているにこしたことはないでしょう。
ということで、勉強したことをフルに生かそうと思ったら、まずは監査をやっておくにこしたことはない、と思います。
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