コロナ禍の期末監査①あっさり揺らぐ独立の決意…-中年の監査法人体験記35-

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2020年に入り、仕事は前年に引き続きなかなかの量。

コンサル部門のジョブに入っていたこともあり、忙しいときは本当に目が回るほどでした。

あわせてIPO業務の主任と2つのグローバル監査対応。

これらの業務の同時並行は、なかなかしんどいものがありました。

まあ、コンサルもIPOもグローバルも全部好きな業務なので、「仕事に行きたくない~」という感じではありませんでしたが。

さらに、前回の記事の通り、年末に固く独立を誓い、独立準備も並行して行います。

そういえば当時、ちょうどこのブログの骨格なんかも考えていました。

もうすでに周りには半年後の退職を伝えている状態。

引き止めてくれる上司やパートナーもいて、とってもありがたかったのですが、「決意は変わりません」と、説得には応じない姿勢を鮮明にしていたので、それ以上は何も言われませんでした。

1月はいつものようにあっという間に終わります。

2月。なんだか妙なウィルスがはやっているというニュースが出始めましたが、私はそんなことは気にも留めず、ひたすら業務と独立準備を行う日々。

入社以来一緒にやっていた同僚が退職すると言うので、「自分が辞めるまで残ってよ」みたいな都合のいい説得もしていました笑(その同僚とは今も軽く一緒に働いています)。

自分が主任をしていたIPO業務は、予想していましたがなかなか終わらず、けっこうしんどい状態が続きました。

そして3月、一気に雲行きが変わり始めます。コロナウィルスが大流行しはじめ、クライアント、さらに監査法人も完全リモートに切り替わりました。

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監査法人はリモートワークの環境は進んでいたので、システムの面でそれほど不便は感じませんでしたが、それでもこれまでの「会社に行っていろいろ資料をもらって話を聞く」という監査スタイルを劇的に改める必要が出てきました。

自分の小さなジョブであればまあなんとかなるのですが、割と大きなグローバル企業のジョブは、いったいどうなるのか先が見えなくなりました。

3月はそういった混乱もあり、予定していた業務がかなり停滞。

4月。一気に絶望感が増してきました笑。

IPOジョブが全く終わらない。そんな中でグローバル企業の期末監査が本格化。さらに別のグローバル企業の海外拠点がちょっと大変なことになっている。

とにかく仕事が終わらない。なにしろ監査法人もクライアントも初めてのリモート環境下での期末決算なのです。

4月の最初の1~2週は、とんでもない焦燥感に襲われました…

すべて期限がある仕事。特にIPOジョブは自分が主任のため、自分が何とかしないといけません。

なんとかしたいのに、2つのグローバル企業の監査で朝から晩まで時間を取られ、自分のジョブができない。

これまでに感じたことのない種類のプレッシャーを味わっていました。

さらに別の心配事として、このまま7月以降退職していいのか、という問題も出てきました。

日経平均は急落。ニュースは暗い話題しかありません。

そんななか、この安定感だけは抜群の監査法人を抜けていいのか!?

そう、独立の決意はあっさりと揺らぎ始めたのです笑。

4月に、部署の全体連絡のなかで、退職者予定リストが公表されます。

ここで私の名前も当然入り、7月以降は自分がいないものとして、スケジュールや人員配置がアレンジされることになります。

景気が急降下しているときに、この「退職公表」、けっこう辛いものがありました。

正直、退職を撤回しようかという考えもなくはなかったです笑。

何しろ3月以降の状況激変により、独立準備が完全にストップしてしまっていた。

退職後、なんとなくこんな業務をやろう、という想定はありました。

大枠では非常勤として知り合いの監査法人で監査を続けながら、知り合いの社長の会社の会計顧問をやっていく。さらにセミナー講師なんかもやる(以前やっていたこともあり)。

そんな「大枠」しか決めていない状態で、コロナの状況が深刻化する中、退職が一気に周知されたのですから、かなり動揺してしまったのですね笑。

自分で決めておきながら、なんとも情けない限り。

口では独立したいだのなんだの威勢のいいことを言っておきながら、精神的にも金銭的にも、監査法人に大きく依存していたというわけです。

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