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前回までの記事の通り、2020年はまさにコロナ一色。
4月は久しぶりに仕事で「絶望感」を味わいました。
上場企業は決算後「45日以内」に決算状況を「決算短信」として、公開する必要があります。
つまり3月決算であれば締め切りは5月15日。通常は5月最初の週に公表。そのあたりで監査の目途を付ける必要があります。
もちろんこんな状況なので、この45日ルールの緩和は認められています。
しかしこの辺やはり日本企業というべきか、私が担当していた上場企業2社はその延長制度を使わず、きっちり例年通りのスケジュールを組んでいました笑。
統計を見たわけではありませんが、他を見ても、期限延長しない会社が多数派だったような感覚です。
まあ、個人的意見ですが、期限延長しても大して変わりません。人というのは、期限が伸びたら伸びたで、弛緩してしまうものです。期限延長したジョブを見ていると、結局1週間伸びようが1か月伸びようが、締め切り前にバタバタしていました。であれば、余程の制約が無ければ通常通りのスケジュールでいいと思います。
さて、そのような期限がある中で、上場企業の監査を行います。今回は会社訪問することができませんので、ひたすら自宅で監査調書を作成し、後輩の調書レビューを行います。
その過程で、今までいかにスケジューリング等がいい加減だったか思い知りました。現場に行けば会社の人や監査メンバーといつでも話せるため、それほどスケジュール等をかちっと決めていなかったのですが、リモートということであれば「何が必要か。誰に何を言うべきか。いつまでに完了すべきか」を常に意識する必要があります。
コロナのいい面は、独立前にこれをしっかりと意識して仕事することができたことでしょう。どの業種も同じだと思いますが、これってリモートだろうが現場だろうが、仕事を効率的に進めるうえで非常に重要なことですよね。
そんな感じで朝から晩まで期末監査を進めていたのですが、何しろ全く終わらない笑。
4月中旬くらいには、ある程度残高を固めておく必要があるのですが、2社とも自分の担当箇所が全然終わっていないという状況でした。
さらにこれに加え、自分が主担当のIPOジョブに「まったく」手を付けることができない。
こちらの期限は6月末。近年IPOジョブは審査が非常に厳しくなり、しっかりやるべきことを完了しないと、差し戻されてしまいます(当たり前ですが)。
そっちに手を付けたいのですが、4月は上場クライアント2社にかかりきりとなり、まったく手を付けることができませんでした。
4月下旬など、朝から晩まで自宅で仕事して、オンラインMTGやったり調書作ったりしているうちに、あまりの進捗の悪さに発狂しそうになったほどです笑。
5月。完全リモートで1か月経過。さすがに監査法人・会社双方慣れが出てきて、一気に物事が進み始めました。
会社の多大なる協力もあり、自分の担当箇所が一気に2社とも終了。
いきなり終わったため、他の人のヘルプも行いました。
さらに、いつも大変な時間がかかっていた計算書類の「開示チェック」をオンラインでやる方法が考案され、これが非常に便利(簡単に言うとAcrobatとかOnenoteとかを駆使して、ドキュメントに複数人が同時に書き込みする方法です)。
開示チェックに関していうと、むしろ以前よりも時間がかからなくなったのでは?と思えるくらいでした。
5月中旬。2社に会社法意見が無事発行され、急に軽くなる。
この勢いで、自分のジョブに取り掛かります。
3社やっているときは全然終わらない~という感じでしたが、1社だけなら朝から晩まで取り組むことができ、ガンガン進んでいきます。
会社と他のメンバーの多大なる協力もあり、このIPOジョブも6月中旬、なんとか仕上げることができました。
やはり仕事というのは、マルチタスクはなるべく避けたほうがいい。1日1社集中してやったほうがはるかに効率がいい。1日に3社とかやっていると頭の切り替えができず効率が悪いと思います。
6月下旬の審査、それから次の契約手続きも立て続けに終わらせることができました。
コロナ禍でこの3つのジョブを、まあ途中は色々ありましたが、無事に終わらせることができたのは、大きな自信になりました。
4月は本当に先が見えませんでしたが、この特殊な環境下、なんとか終わらせることができたため、むしろ今後の独立に向けて大きなステップとなりました。独立すると困難はこんなもんじゃないだろうけど、まあ特殊な環境下、なんとか問題もなく終わらせることができてよかった、という感じです。
私の退職を知らない監査メンバーから「このジョブ楽しかったので今後もアサインしてください!」と言われたりして、こんないいところを辞めていいのか?と、退職の決意は相変わらずグラついたりしました笑。こういうの嬉しいですよねー。
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