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どんな仕事にも向き・不向きというのはあると思います。
それと同時に、向き・不向きというのは劇的に変わることがある、とも思っています。
最初嫌で嫌で仕方なくても、しばらくやっていくうちにコツをつかみ、実はものすごく得意、もしくは向いている、と思うようになることは、過去の経験でもけっこうありました。
私の体験で言えばマラソンが当てはまります。
学生の頃、長距離走ほど嫌なものはありませんでしたが、20代後半から、ダイエットを機にジョギングをするようになりました。いろいろなブログを見て、呼吸の仕方なんかを考えるようになって、いつのまにか大好きになりました。マラソン大会に出るなど若い頃は考えられませんでしたが、いまでは普通に出ています。
「監査」もまったく同じことが言えます。
「監査」というのは本当に大変と感じることも多く、最初かなりきついこともあり、「つまらない」と判断してしまうこともあるでしょう。それを否定はできません。
とはいえ間違いなく会計士としての成長に「ためになるもの」ですし、「社会的意義」がある、とも思っています。
私は試験勉強中も監査に向いていないと思っていましたし、大手監査法人入社後も全然楽しめず、早く辞めたいと思っていました笑。
しかし今は違います。「ずっと監査だけしたい」とは思っていませんが、「他の仕事と同じく監査も継続的にやっていきたい」と思っています。
このように、向き・不向きというのは劇的に変わることが多いと思っています。
さて、そういった前提ですが、それでもどうしても向いている人、向いていない人というのは感じることがあります。あくまでも個人的意見ですが、まず「監査に向いていない人」を考えてみたいと思います。
「他人に意見(レビュー)されるのが大嫌いな人」
このタイプ、たまにいます。自分が作った調書、自分が行った監査はしっかり検討していると思っているため、他人にレビューされ、指摘されるのがどうしても許せない人がいます。
こういう人は、残念ながら監査に向いていないと断言します。
なぜなら、監査の本質を理解していないから。
監査というのは、基本的にレビューの連続なのです。
まず会社が数字を作る。
その数字を、スタッフが監査し、監査調書を作成する。
その調書を、インチャージがレビューする。
そのインチャージがレビューした調書を、パートナーがレビューして最終的にOKとする。
さらに、監査法人内の定期検証で、そのジョブそのものがチェックされ、またその調書がレビューされる。
さらに、公認会計士協会のレビューで、そのジョブそのものがチェックされ、またその調書がレビューされる…
このように、レビューは果てしなく続いていくのです。
イメージとしては、公認会計士は確かに監査をするのですが、自分の仕事も誰かに監査されるのです。さらに自分を監査した人も、また誰かに監査される。
レビューを受け、上位者とディスカッションをすることで、検討がよりよいものになります。これも間違いありません。私の経験でも、自分一人で考えるよりも、上位者の目が入った方がよりよい検討調書となることがほとんどでした。
他人にレビューされるのが大嫌いな人は、自分が完璧だと思っているのか、このプロセスと意味をわかっていないことが多い印象です。これはけっこう致命的だと思います。
「細部にこだわりすぎる人」
細部にこだわる人は一般的には監査に向いている、と思われるでしょう。しかし「こだわりすぎる」のは、実は大きな落とし穴があると思います。
監査は確かに細かいことに気を付ける必要がありますが、それと同時に案件を進めなければいけないという命題もあります。
やたら細かいところに目が行きすぎ、そこにとらわれるあまり、まったく案件が進まない、ということになってしまうと、そのジョブは地獄になります。
それよりもまずリスク評価を行ったうえで、間違えそうなところは事前にしっかり把握し、会社と協議しておく、という「計画性」の方が重要になってくるでしょう。
また、メンバーが作る調書の細かい様式、細かい書式などにやたら口出しする人もいますが、これも上と同じ状況を生んでしまいます。おそらく本人がそういう教育を受けてきたからこそ、他人にもそれを求めるのでしょうが、結果大して違わないことが多いにもかかわらずやたら細かい形式を求める人がいます。結果が同じなのであれば目をつぶるくらいのおおらかさが必要です。そうしないととてもではないですが終わりません。
「細部にこだわる」よりも「計画的に案件を進める」方がはるかに重要です。
次は、監査に向いている人を考えてみたいと思います!
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