前の記事 監査に向いている人・向いていない人①
前回の記事の続きです!
監査に向いていないタイプは「他人に意見(レビュー)されるのが大嫌いな人」「細部にこだわりすぎる人」の2タイプしかない、というのが私の考えです。
逆に言うと、向いているタイプというのは上記以外。
そうするとほとんどの人は当てはまるのではないでしょうか笑。
私は以前自分は向いていないとか思っていましたが、今は「監査に向き不向きなどほとんどない」という意見です。
しかしそれだとちょっと乱暴なので、監査に特に向いていると思うタイプを考えてみたいと思います。
「相手の立場を考えてコミュニケーションを取る努力ができる人」
注意点は「コミュニケーション能力が高い人」ではないということです。私もコミュニケーション能力は高くありません笑。
ではなくて、コミュニケーションを「取る努力ができる人」です。
というのも、監査するうえで会社と密に、的確にコミュニケーションを取ることは非常に重要となるのです。
会計士がコミュニケーションを取る人は、いろいろな階層に所属しています。一般的には経理スタッフ、経理課長、経理部長。さらに内部監査室、監査役。この方々もかなり頻繁に接します。そして年に数回CFO、社長といった役員ともコミュニケーションを取ります。
この様々な階層のひとたちとしっかりお話しし、共通の目的である「適正意見の発行」に向けて作業を進めていく必要があります。
ここで大事なのが、「相手の立場」をしっかり意識してコミュニケーションを取ること。
例えば経理スタッフの些細なミスを指摘するときに、わざわざメールでCCに経理課長を入れて「ここが間違っています。」と書く必要はないですよね。よほどの事情がない限り、ちょっと口頭でお伝えすればいい話。
相手が組織のどの階層に所属しているかを常に意識しないと、メンツをつぶすことになりかねません。
逆に非常に大事なことを下位層に伝えてしまうのも完全アウトです。会社上層部しか知らないような情報を、うっかりもらしてしまえば大変なことになります。
これ、冷静なときは当たり前に思えることなのですが、いろいろ立て込んでいて忙しいとき、本当にうっかりしがちなところでもあります。よくCCを確認せずにリスキーなメールを送ってしまうなど、割と今でもあります。
これは努力でなんとでもなります。コミュニケーション能力の高さではなく、色々考えたコミュニケーションを取る努力ができる人。
「会社そのものに興味がある人」
これも非常に重要と思います。なぜなら、財務諸表というのは会社の活動の結果だからです。会社に興味が無いということは財務諸表にも興味が無いと言っても過言ではありません。
また最近は監査において「リスク評価」に重点が置かれており、計画に基づいて監査手続を実施する必要性が年々高まっています。近年KAMをはじめ、やるべきことが非常に増えてきており無駄なことが出来なくなっているから、より計画的に行おうという機運が今まで以上に高まっているのです。
そんな中にあって、「会社に興味を持つこと」は、適切なリスク評価をすることにつながります。それはそうですよね。会社に興味を持っていないと「ちょっと普通と違うビジネスの流れ」だとか、「普通じゃない取引」だとか、そういったリスクに気づくことが少なくなってしまいます。
監査計画やリスク評価においていろいろマニュアルらしきものはありますが、結局のところ会社に興味があるかどうか。これを問われているように思います。
まあ本来、公認会計士を目指した時点で、会社には興味があると思うので笑、大半の人が興味を持っている印象ですが、それでもごくたまに「会社に興味がないのでは」と思える人がいるのも事実です。
「計画性がある人」
監査では確かに細かい指摘をするのも必要なのですが、大事なのはしっかり「適正意見」というゴールを見据え、全体スケジュールを組むマインドがあるかどうか、だと思います。
監査というのは、やろうと思えばとことん計画的に行うことが出来ます(安定した会社であれば、ですが)。
しかしよくJSOXにありがちですが、なぜか期末付近までまったくやらず、会社ともコミュニケーションせず、期末付近であわててサンプル依頼等している例をかなり見ます。
それは忙しいだとかいろいろな事情があるのでしょうが、私のこれまでの経験では、責任者にまるで計画性がないことが理由でした。
この辺けっこう性格による面もあると思います。ちなみに私は私生活において計画性はゼロです笑。しかし仕事は効率的に行いたい派であるため、昔から必ずスケジュールを組み、無駄な作業や帳尻合わせの作業を極力しないように心がけています。
いずれにしても、スケジュール的なポイントをしっかりおさえ、計画的にものごとをすすめられること。これを高いレベルで(例えば複数ジョブを同時並行で)できる人はものすごく監査に向いているのではないかと思います。
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