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当初、大手監査法人を6月末で退職予定でしたが、コロナの影響で担当ジョブがなかなか終わらず、1か月延長して7月に退職することにしました。
前回の記事の通り、クライアントやメンバーの多大な協力もあり、6月末~7月上旬で一気に終わらせることが出来ました。
そして7月初旬。
自分が主担当のクライアントに、退職する旨をお伝えしました。
私は当初、クライアントと「仲良く」と言ったら語弊がありますが、先方のニーズにこたえ、CFOと密に接してきたという思いもあり、退職をかなり惜しまれると思っていました笑。
しかし退職を告げたとき、会社の反応はかなりあっさりという感じでした笑。あ、そうですか、あなたの後任は大丈夫ですか、とかそういったことを聞かれたのみでした。
まあ当然と言えば当然。まずはしっかり組織として対応できるかどうかを確認するのが当たり前。
とはいえ若干寂しかったのも事実。割とあっさり「お疲れ様。さようなら」でした笑。
自分が何を期待していたのかというと、「辞めないでくれ」と言われるとか、あわよくば「独立したらコンサル関連をお願いする」とか、そういう都合のいい妄想でしたが笑
ちなみにクライアントからそのように言われる人も間違いなくいますので、本件に関しては私の力不足です笑。
さて、以前から感じていたのですが、監査法人というのは、お客さんとの関係においてはけっこう「切ない」面があります。
平たく言うと、他の業種に比べて「感謝されにくい」と感じています。
それはそうです。監査法人というのは会社からしてみたら、大げさに言えば「検査官」のようなもの。
検査官に感謝することはあまりないでしょう。半沢直樹の金融庁検査官を見てもわかるように、ああいう関係になるのはかなりの例外ですよね。
普通に淡々と監査をやっていたのでは、間違いなく感謝されることはないです。
若い年次の人が監査法人に失望してすぐに辞めてしまうのも、これがかなり影響しているのでは、と思います。
私が以前勤務していた会社と比較しても、お客さんに「感謝される」という機会が少ないように思います。
このへん、監査法人はよく考えて組織づくりをした方がいいと思います。
人というのは、感謝されない(されづらい)仕事を淡々と続けられるほど、都合よくできてはいません。
監査というのは、特に最初の方はほとんど決まり切ったことをやるだけなので、感謝の対象にはなりません。
よって、若い年次の人々がモチベーションダウンしないよう、例えばパートナーがオフィシャルにメンバーに感謝したり表彰したりする機会を作る必要があると思います。
もしくは、どのようにすれば会社から「感謝」されるのか。これをしっかり若い年次の人々に教えていく必要があります。パートナーであればその方法を知っているでしょうから。
そしてもちろん監査が「感謝されにくい」と言っても、まったくゼロではありません。
私が新人時代から関与した大企業A社の方々からは、退職に際し本当に温かいメッセージをいただきました。「辞めても会社に遊びに来て」と言われました。まあ行けないですけど笑、嬉しいものです。ある役員の方から「これからも一緒に海外に行きたかったのに!」というメールをもらったのは、リップサービスだとしても嬉しいものでした。
上の年次の方を見ていると、その仕事ぶりでクライアントの信頼を得、監査の枠を超えて付き合い、感謝されている方がいます。基本的にはパートナーですが、パートナー以外でも感謝されるレベルで監査を行っている人も少なからずいます。但しその領域に行くにはかなりの年月が必要と思います。
ちなみに、私は大手監査法人においては残念ながらそれほど大きな仕事はできませんでしたが、その後の小規模監査法人では初めて「あなた達に監査してもらって本当に良かった。感謝している」と担当役員に言われました。ここまで正面から言われたのはほぼ初めての経験だったのでよく覚えています。
監査業務でクライアントに感謝されるのは簡単ではない。そしてその域にたどり着くまでに、モチベーションが切れてしまう若手が多い、という問題があるのは間違いないと思います。
しかし、会社が良くなることを願って真摯に対応していると、必ず感謝される時が来る、と思います。
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