監査法人「残業問題」…①-中年の監査法人体験記41-

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さて、中年の監査法人体験記もそろそろ終わりに近づいてきました。

最後に、触れるか触れまいか迷っていた「残業問題」を考えたいと思います。

最初に言っておきますが、私は残業大嫌いです笑。常に定時に帰りたい。

これはおそらく、新卒で勤務した会社で公認会計士試験勉強を長年やっていたため、いかに日中仕事を素早く片付け、夜の時間を空けるか工夫をしていたことが大きいでしょう。参考記事 いきなりの残業地獄-新卒社会人の公認会計士試験受験記2-

あとは昔から集中力が長く持たず、一つのことに長く取り組めないという若干病気っぽい気質もありました。

よって、残業に関していうと圧倒的否定派です笑。そういう視点からの記事だということでひとつ、監査法人関係者も気を悪くせず見ていただければと思います。

  • 監査法人5年間の私の残業時間
  • 組織の問題① 時間管理の概念ある?
  • 組織の問題② 阿鼻叫喚の社内手続…(次回)
  • 会計士の問題① 仕事、遅くない?(次回)
  • 会計士の問題② 議論、長くない?(次々回)
  • 会計士の問題③ スケジューリング、依頼資料、ちゃんとできてる?(次々回)
  • 監査そのものの問題(次々回)

私の監査法人勤務5年間の残業時間

私の残業時間は、ざっくりですが以下の通りです。

1年目 250時間

2年目 100時間

3年目 150時間

4年目 200時間 IPOインチャージ×1

5年目 250時間 IPOインチャージ×2

これは部署トップクラスに少ない残業時間です。

(ちなみにその後の小規模監査法人では1分たりとも残業していません)

もちろんサービス残業等はやっていません(1年目にミスでつけ漏れが30時間くらいありましたがそれは上の数字に入れています)。

周りの同期を見ていると、年500~700時間が平均というところでしょうか。

まあ、私は巨大上場企業のインチャージはやっていないので、それは割り引かなければいけませんね(そういうところの主任は間違いなく労働時間が跳ね上がります)。

私は本当に、同期や他の人たちが何にそれほど時間をかけているのか、さっぱりわかりませんでした。

他のチームが深夜まで部屋に籠って作業しているところをよく見ましたが、私は検査等に当たった一時期を除き、そういう徹夜状態になったことはありませんでした。それは運がいいだけだったのかどうなのか、いまだにわかりません。

1年目は、確かに繁忙期は毎日10時まで仕事をしていましたが、それも今考えれば無駄の嵐。事前に会社と決算ミーティングもせずいきなり現場に入り、そこで初めて分担を発表するなど、滅茶苦茶なスケジューリングでした。それで会社とのコミュニケーションも上手く行かず、繁忙期は確かに長くなりました。

その後新しいインチャージの元、全体的なやり方を大幅に見直した結果、2年目以降は繁忙期も夜8時前に終わることが多くなり、最後の方は「ホワイトジョブ」と言われるまでになりました。

1年目の残業250時間というのも、はっきり言って無駄に働きすぎたと思っています。

組織の問題① 時間管理の概念ある?

自分としてはなるべく定時に終わるように心がけていたつもりですが、1年目「残業時間少ないねえ~。大丈夫?」などとよく心配されました笑。これはしっかり仕事をしていないじゃないかと言うことを意味するような婉曲的な表現、ではなくて、本当に心配されたのです。当時は残業時間がイントラで人ごとにオープンになっていたので、誰でも他人の状況を見ることが出来る状態だったのです。

おそらく部署、組織として「監査業務=残業すべし」という潜在意識があるのでしょう。それは間違いないと思います。

もちろんやるべきことはやっていたつもりです。最初の方は未熟だったため手続の漏れ等も指摘されましたが、2年目以降は「なぜやるべきことをやっていないんだ」と言われたことはありませんでした。

私が「仕事が早い」と言いたいわけではなくて、監査法人が組織全体として「スーパー残業体質」なのではないかと思っています。

まず定時に仕事を終わらせようという発想がない。仕事をコントロールしようとしていない。

本部はアメリカの総本山に言われるまま期の途中でいきなりマニュアルを改訂し現場は従うべしという。現場は唯々諾々とそれに従う。機械的に主任に押し付ける。主任はメンバーの作業量を増やす。

こういう負のスパイラルに陥っているばかりでなく、それが問題とすら思っていない。

私の中ではそういうイメージです。

組織として、どれくらい残業が発生しているのか。それは多いと思っているのか少ないと思っているのか。まともに実態を調査していない。

それで残業時間は減るわけがないですね。

で、肝心なポイントは、組織としては、別に残業が発生しようが問題とは思っていない、ということですね。でなければ年600~700時間もやっている人がたくさんいるわけがないし、それが野放しにされることもないはずです。

もし残業時間を減らしたいのであれば、まずは原因を調査するという当たり前のことをしなければならないでしょう。

それをしていなかったので、多分組織は残業を減らそうと思っていない、と私は解釈しています笑。

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