前の記事 監査法人「残業問題」…①
監査法人は非常に残業が多いです。この残業問題を考える第2回目です!
またいろいろ文句を言っていますが、基本的に私、監査法人大好き人間であることだけはご理解ください笑。
- 監査法人5年間の私の残業時間(前回)
- 組織の問題① 時間管理の概念ある?(前回)
- 組織の問題② 阿鼻叫喚の社内手続…
- 会計士の問題① 仕事、遅くない?
- 会計士の問題② 議論、長くない?(次回)
- 会計士の問題③ スケジューリング、依頼資料、ちゃんとできてる?(次回)
- 監査そのものの問題(次回)
組織の問題② 阿鼻叫喚の社内手続…
この問題はたびたび他の記事でも取り上げていますが、とにかく「社内手続」がまったくよくわからない上に、毎年勝手に変更されていきます笑。
まず前提として、監査は膨大な「社内手続」が必要です。そこは否定できません。監査は監査基準委員会報告書にも諸々規定されているとおり、本当にさまざまな社内ステップを踏む必要があります。
契約時の契約書。四半期レビュー時、期末監査意見表明時の監査(レビュー)報告書の発行。これらはすべて審査が必要。
他にも監査役等への概要説明、マネジメント・レター発行。
IPOだと上場1の部、有価証券届出書への監査報告書発行。コンフォート・レター発行。
意見発行前はすべて経営者確認書が必要。
主要な監査イベントで、ちょっと思いつくだけでもこれだけの「社内手続」が必要になってきます。
これら以外にも近年、確認状電子システムへの利用申請、シェアードサービスセンターへの手続き依頼なんかも入ってくるでしょう。
他にも審査日程調整、社員と会社の面談日程調整なんかも入ってくるでしょう。
とにかくいろいろな部署が協力して膨大な処理を行う必要があります。
とはいえ、これらの手続きは「決まりきったフロー」であり、もちろん制度改訂によって毎期変わる可能性はあるものの、組織がきちんと申請書類をわかりやすくイントラ等にまとめ、フローを明確にしておく必要があります。
そして嘘みたいな話ですが、これらが「全くわからない」状態でした笑。
例えば、クライアントと契約をしようとして必要な書類を探すのですが、イントラを検索しても全く出てこない。
仕方なく経験者に聞こうとしても、皆猛烈に忙しそうにしていてなかなか聞きづらい。ようやく聞けても今年フローが変更されていて、全然参考にならない…
こういうことでどれくらい時間を浪費したかわかりません。
必要書類は生半可な量ではありません。頑張って作っても1週間以上はかかりそうな膨大なものが必要となります。初見で作れと言われてもおそらくほとんどの人は無理でしょう。
これ、今思い出しても腹立たしくなります笑。本当に組織の怠慢だと思います。
おそらく組織の考え方に、「社内手続きだろうがなんだろうが、汗水たらして地道にやりなさい」というものがあります。本当に昭和脳としかいいようがない。
このへんに「学生ノリ」を感じてしまうのですよね…
こういう「誰がやっても同じ結果になるべきもの」というのは、最大限省力化し、フローをクリアにしなければいけません。
社内手続は重要ではあるものの、何の付加価値もないのです。それを試行錯誤して時間をかけて皆考えているのが、残念な実態でした。
こんなことをしていては、残業時間が膨大になってしまうのも仕方ないですね。
ちなみに私は最後の1年間、部内の有志と共にこのあまりにもひどいブラックボックスを何とかしようと、全員が社内手続で知っていることをメール等で集約し投稿形式で全社的に公開するプロジェクトを上司と立ち上げました。このプロジェクトは私だけの力ではもちろんないですが、非常に上手く行きました。最初は部内だけだったのですが、最終的には全社に広がりました。
一度これを組織の「かなり上のほう」にプレゼンする機会があったのですが、「ああ、現場はそういうことやってるの」のような鈍い反応でした笑。まあこのときはもう組織に全く期待していなかったのですが、この組織、本当にダメだと思いました笑。業務フロー改善は上層部の仕事ということを全くわかっていないのです…
これらを解決するにはもちろん組織が「現状何に時間をかけているか」調査し、洗い出し、フローを標準化する、ということが必要になります。
しかしそういった「現状調査」をやっている気配はありませんでした笑。
この辺も、組織はそういった「阿鼻叫喚の社内手続」を何の問題とも思っていない、ということの表れだと思います。
ちなみにこの「手続き・業務を標準化しない」問題、私が勤務した3社すべてに当てはまります。これが日本全体の問題というつもりはありませんが、日本の生産性の低さはこのような組織の無駄が一因になっているのではないでしょうか。
おそらく「残業しようがどれだけ時間をかけようが、必死で社内手続の正解を探し当てなさい」「わかったらようやく一人前」とでも思っているのでしょうね…
「教えない。技を盗め」という寿司職人的な風土を感じます笑。しかし我々が作っているのは残念ながらお寿司ではありません…
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