(超個人的)公認会計士試験「改革案」

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私が公認会計士になって11年目が終わろうとしています。

この11年、会計士としていろいろな経験を積むことが出来ました。

会社は3社、経理、税務、監査、コンサル。さらに独立して個人事務所も運営し、同時に小規模監査法人の社員も経験することが出来ました。

一つ一つの経験はそれほど深くないものの、それなりに幅広いジャンルに携わることが出来たと思います。

そんな中で、会計士試験の中身が、どうも現実の局面に合っていないのではないか、と思うことが増えてきました。

言うほどそんなに会計士試験の現状に詳しいのか、という話ですが笑、実は最近、ある資格予備校のお手伝いも始め、受験生の方ともお話しする機会が増え、最近の試験動向にもかなり詳しくなってきました。

あくまでも個人的な考えということでお断りしておきますが、さっそく会計士試験改革案を考えてみたいと思います。

  • 管理会計論、難しすぎない?
  • 企業法論文、必要?
  • 租税法はむしろ短答にも入れてもいいのでは?
  • IT、統計は必要では?
  • 経営学理論編、必要?

管理会計論、難しすぎない?

短答・論文共に、いくらなんでも難しすぎです。これが現行試験の最大の問題だと思います。

管理会計というのは、会社内部で採用される会計であり、会社が自社に合わせて独自にアレンジすべきものです。

そういう意味で、制度会計につながる部分を除き「正解」がある分野ではありません。

そもそも管理会計というのは会計士ではなく、会社が自らのために行う会計ですので、難易度を上げる必要が全くないと思います。

今のように会計士受験生が困難と感じるレベルの問題を出すことに何の意味があるのでしょうか。

私は大企業の管理会計部門の方とよくお話ししていましたが、ほとんどの方は会計にそれほど詳しくありませんでした。それでも十分に会社の目的に合わせた管理会計を行っていました。

管理会計に小難しい話など全く不要なのです。大事なのは、その会社に役立つ数字を作れるかどうか。それが全て。現行の膨大な知識とパズル的思考が要求される試験は、なんだか「学者の独りよがり」のように見えます。

管理会計論、そもそも試験におけるウェイトが高すぎると思います。大事ならなぜ修了考査では存在しないのでしょう。

会計学の1ジャンルとして、短答試験会計学の200点中50点くらいでいいと思います。論文試験に残すのであれば難易度をぐっと下げてほしいです。

企業法論文、必要?

まず前提として企業法の知識は必要です。商法、会社法、金融商品取引法の内容はよく理解しておく必要があります。

しかし、論文試験は必要でしょうか。私は必要ないと思っています。

あのような膨大な量の論述を必死に暗記したところで、合格後ほとんどの人が忘れています。理由は法律専門家ではないし、法律判断をすることがないから。非常にシンプルです。

確かに実務において法律を調べる場面はありますが、それは調べれば何とかなるレベルです。重要な法律解釈が必要な場合は当然ながら法律専門家に聞くべきです。そこを会計士が勝手に判断してはいけません。

よって企業法は、論文試験は不要で、短答試験の知識さえあれば問題ないと思います。

こういうのは実態に合わせて即変更すべき。実態よりも「~先生に申し訳ないから変更しない」といった内輪の事情を優先するのは全ての関係者にとって不幸であり、結果的に自分たちの首を絞めることになります。

租税法はむしろ短答試験にも入れてもいいのでは?

私自身、税理士法人に在籍したこともあり、租税法の知識には助けられました(税務をやるとなると、あの試験ではむしろ全然足りないくらいですが…)。

監査においても税効果は言うに及ばず、税務の知識は様々な局面で必要になったという実感です。むしろ会計と税を分けて考えること自体、もはやナンセンスだと思います。

よって、他との兼ね合いですが、短答試験として租税法を追加するのもありと思っています。

IT、統計は必要では?

噂レベルですが、米国会計士試験で「IT」が検討されているようです。ITは知識として全会計士必須だと思います(現状だと補修所や修了考査でちょろっとやるレベル)。試験として出すのが難しいのはわかりますが、一方でいくらなんでもITの理解が足りないと思う会計士が多いのも事実(特に上位層)。世間では本当に様々なIT系の試験があるので、それらを参考に、選択科目としてでも何とか会計士向けの試験にすべきではないでしょうか。

さらに統計。これは私もまったくお手上げのジャンルですが、人手不足の中で今後リスク・アプローチを深化させていくにあたり、統計的手法はますます必要になるでしょう。統計学は現状選択科目ですが、むしろ必須科目にする必要はないでしょうか。

経営学理論編、必要?

経営学に関していうと、ファイナンスは必要だと思います。CAPMの知識は企業価値算定業務はもちろん、固定資産減損等に使用する割引率算定にあたってもよく知っておく必要があります。ファイナンスはむしろ必須にしてもいいくらいに思います。しかし「経営学理論編」、それほど必要だと思いません。言い方を変えると、あのジャンルを論文試験で出すのは「理不尽」。一般常識・教養のような問題が多く(SDGsの当年度目標とか笑)対策がしにくいうえに、会計士業務の何にポイントを当てているかがわからない。「経営者と話す際に必要だ」「経営の常識を身に付ける」とか言われそうですが、試験合格後にそのような一般常識はいくらでも身に付けることが出来ます。

以上を踏まえた超個人的「公認会計士試験」改革案です!

短答試験

(現状)財務会計論(200点)、管理会計論(100点)、監査論(100点)、企業法(100点)

(改革案)会計学(200点)財務会計論150点、管理会計論50点、監査論(100点)、企業法(100点)、租税法(100点)

論文試験

(現状)

財務会計論(200点)、管理会計論(100点)、監査論(100点)、企業法(100点)、租税法(100点)

(選択科目)経営学(100点)

(改革案)

財務会計論(200点)、管理会計論(100点)ただし難易度を大幅に下げる、監査論(100点)、租税法(100点)、統計・ファイナンス(100点)

(選択科目)IT(100点)

(他の選択科目はコメントできません…)

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