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公認会計士試験のように学習期間が1年以上になる場合、学習フェーズは3つに分けることが可能です。
- 基礎期 予備校の基礎講座をとにかく全て終わらせる
- 応用期 「基礎期の復習」+「応用答練」の2本立ての学習
- 直前期 試験前2か月。自分が足りないところをしっかり把握し、限界までギアを上げる
まずはざっくりこの全体イメージを持つことが大事です。なぜ大事かというと、例えば基礎期に焦って応用的なことに手を出してしまい、時間を浪費する、といったことを避けるためです。
以下フェーズごとに説明してきます。
基礎期 予備校の基礎講座をとにかく全て終わらせる
基礎期は文字通り基礎を固める時期。仕事だろうが趣味だろうが、基礎が大事なのは言うまでもありません。
この時期の目標は、とにかく予備校の基礎講座(+基礎答練)を全て終わらせる。これしかありません。
会計士試験でいうと、6科目(財・管・監・企・税・選)全ての基礎授業を終わらせる。これが大事です。
ちなみに途中でどうしても短答特化しなければならなくなった場合は、4科目ですね(短答特化は後で触れます)。
いずれにしても、基礎講座をなるべく早く終わらせるべきです。基礎を終わらせないと次のフェーズに進めませんから。
さて、ここで問題になるのが「講義の復習にどれくらい時間を費やすか」です。
もちろん時間がある場合はたっぷり費やすべきでしょう。
しかし社会人は時間がたっぷりあるということはないでしょう。
私は、授業1回あたりの復習は計算科目30分以内、理論科目15分以内でした。何しろ時間が無かったので、そうせざるを得ませんでした。
計算科目であれば授業でやった範囲のテキストを10分程度ざっと見て、対応する問題集を20分程度解く。30分過ぎたらすぐ次の講座の授業を受ける。
こうでもしないと全く先に進めなかったので仕方なく考えた方法ですが、無理やりにでも先にどんどん進むというマインドは大事です。
公認会計士試験のように範囲が膨大な試験である場合、最初の難関は「全範囲終えること」なのです。よって復習もある程度終わったら先にどんどん進まないと到底全範囲終わりません。
もちろんこの方法は復習が不完全になってしまうため、途中で授業が理解できなくなるというリスクがあります。連結会計のあたりでは、復習が不完全だと途中でちんぷんかんぷんになってしまうでしょう。
しかし、復習をしっかりやっていたとしても、そうなってしまうリスクはそれほど変わりません。
そもそも1回授業を受けたからと言って、全て理解できるものではありません。テキストを後から何度も読んで、じわじわと理解が進んでいくのです。
お勧めは、1週間もしくは2週間に一日程度、総復習をする日を設けることです。そして他の日は可能な限り先に進むことを優先します。
また上記の「応用期」のところを見ていただきたいのですが、基礎期の勉強は基礎期だけするのではなく、応用期もします。むしろ応用期に入って基礎期の本格的な復習をすると思っていいでしょう。
よって基礎期はざっくりわかれば良しと考え、どんどん先に進むべきです。
基礎答練をどう受けるか
答練(確認テスト)はもちろん時間があれば時間通りに解いて答え合わせをして復習をすべきでしょう。
しかし答練の時間がかかることと言ったらありません。2時間の計算答練だと解くのに2時間、答え合わせと復習に3時間で計5時間はゆうにかかるでしょう。
またそのような答練は大量にあるので、けっこうつらいものがありますよね。どんどん溜まっていくと、ものすごく大きな心理的プレッシャーになります。
私のおすすめは、答練を「作業として位置付ける」ことです。
つまり「テスト」とはとらえず「作業」として位置付けます。
問題を見て、ちょっと考え、すぐに答えを見て理解しながら書き写してしまう。
こうすることによって、答練がテストでは無くなり、心理的ハードルが下がります。
そもそも、よくわからない答練に2時間考え続ける必要などないのです。無駄に考えている暇があったらさっさと答えを見て解法を理解したほうがはるかによい。
学校教育や受験の記憶が残っている人は、何時間も考えることを良しとする傾向にありますが、あのマインドは忘れたほうがいいと思います。それよりもいかに効率よく知識を自分の中に叩き込むか。
もちろんただ書き写すのではなく「しっかり理解すること」が大事です。答練が「解けない」のは仕方がないと思いますが、「解答が理解できない」のであればしっかり戻って復習する必要があります。
答練は何度も繰り返したほうがいいので、2回目、もしくは3回目を解くときにテストのように解いて点数を出してみるのもいいでしょう。
また答練に出題されたところはしっかり基礎テキストに戻って、テキストにリファーを付すことが大事です。参考記事:「答練」の使い方-社会人の資格試験勉強15- これを積み重ねることで、テキストの精読がそのまま答練の復習につながるのです。
社会人受験生は、この基礎講座+基礎答練という基礎期を、1年以内に終わらせることができれば、非常に順調なのではないかと思います。遅くとも2年以内には終わらせたいところです。
基礎期まとめ
- とにかく先に進む。基礎講座を全部終わらせる
- 基礎答練はちょっと考え、答えを見て、理解し、書き写し、基礎テキストにリファーする
- 定期的に総復習する日を設ける