監査法人の残業問題ラストです!今回は会計士の仕事の進め方にスポットを当ててみます。もちろん、自分自身の反省も込めて、です笑。
- 監査法人5年間の私の残業時間(前々回)
- 組織の問題① 時間管理の概念ある?(前々回)
- 組織の問題② 阿鼻叫喚の社内手続…(前回)
- 会計士の問題1 仕事、遅くない?
- 会計士の問題2 議論、長くない?
- 会計士の問題3 スケジューリング、依頼資料、ちゃんとできてる?
会計士の問題1 仕事、遅くない?
これ、かなり勇気がいる発言です笑。あくまでも同期、もしくは下の世代を見ての印象、とお断りしておきます。そもそも上位層がどういう仕事ぶりなのか、一日のスケジュールなのかよくわからない、という面もあります。
監査法人の下の層の会計士は、基本的に主任(インチャージ)と、その指揮化に入るスタッフがいます。
残念ながら、会社交渉、チーム管理、調書作成等見ても、効率的に仕事がされていると思えることはほとんどありませんでした。
とにかく全てが遅い。
調書作成にしてもサンプリングにしても、さして難しいと思えないことを1日がかりでやっていたりします。
これは組織の研修制度の不備も影響しています。
誰がやっても結果が変わらない仕事に関しては、徹底期に研修等で教え、標準化すべきなのですが、組織にまったくそのマインドがないため、単純な作業でも人によってやり方がバラバラになってしまっているのです。その結果ものすごく時間がかかっている。
また能率が非常に落ちているにもかかわらず、深夜までダラダラ作業しているように見えます。無駄に事務所に泊まったりしていますが、泊まることで何かが劇的に良くなっているとも思えません。
さらに問題なのが、ジョブにおいて重要な論点があるにもかかわらず、その論点を事前に調べることなく、仕事中に基礎的なことを勉強しているケースです。修了考査に出題されるような基礎的な内容をすっかり忘れてしまっていて、現場で調べたりしています。忘れてしまうことは仕方ないですが、それを仕事中に勉強しなおしたりするのはプロとしてNGでしょう。そういった基礎は自己研鑽としてジョブに取り掛かる前にやっておくべき。仕事中に基礎的なことを勉強しているようでは当然仕事は遅くなりますよね。
そういったマインドの面も含めて、会計士は全体的に仕事が遅いと思います。
会計士の問題2 議論、長くない?
会計士の議論、長い、長すぎる。これが仕事が終わらない原因の大きな一つになっています。
まず前提として監査で議論は非常に重要です。クライアントとの会計論点討議はもちろん、チームでの監査上の論点検討&振り返り等、非常に重要となります。
議論をすること自体は極めて大事なのですが、その時間がとてつもない。
3時間くらいやることも珍しくありません。
いくら重要な論点だからといって、高給取りが4~5人集まって、3時間以上の議論をすることは大きな損失だと思います。
私も含めて皆議論好きだし、それ自体いいことなのですが、一方で時間管理も大事。
すべての会議・議論は1時間以内とし、最少人数で、当然アジェンダを用意したうえでポイントを絞ってやるべきでしょう。
会計士の問題3 スケジューリング、依頼資料、ちゃんとできてる?
私が監査法人に入社した当初驚いたこととして、例えば3月決算の期末監査に入る際、事前に論点整理もせず、いきなり4月以降会社に訪問して、そこで会社と喧々諤々の議論を始める、というのがありました。
またチームの分担表も、現場に行ってもよくわからないということがよくありました。
会社への依頼資料にしても、過去のものをひたすら使いまわしており、最初に全然関係ない資料ばかり依頼し、監査が進むにつれて慌てて必要な資料を依頼するということをよくやっていました。
ほぼすべてのジョブでそんないきあたりばったりの進め方でした。最近でこそしっかりスケジューリングするようになっていると思いますが。
監査というのは、(安定したジョブであれば)1年でやることは決まりきっており、ほとんど同じことの繰り返しです。もちろん新しい論点や突発的な問題は起きますが、他の業種と比べると、極めて安定した仕事の流れというしかありません。
にもかかわらず毎度毎度ドタバタのスケジューリングになることが多いです。これは会計士のスケジュール感覚が少々甘いと言わざるを得ません。
ということで自戒も込めて、効率的な仕事の遂行と残業時間の削減に日々邁進してます!
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