合格する受験生・合格できない受験生-資格試験予備校講師をやって思うこと-社会人の資格試験勉強17-

某資格試験予備校の講師を始め、無事1年が過ぎました。

個人的に、教育関係者がたくさんいる家庭で育ったというのもあり、以前から「教育」(といったらちょっと偉そうな響きなので嫌なのですが)に携わり、いかに効率よく勉強するか、ということをお伝えしたいと思っていました。

一時期学校の先生になろうかとも思ったのですが、それはあまりにも大変そうなので辞めておきました。

予備校は基本やる気がある受講生しかいないので、その意味では学校の先生より簡単だと言えます。もちろん受講生は大金を払っている以上、プロとして的確な試験対策をしなければいけないというプレッシャーはありますが。

授業をしたり答練を作ったり受講生の質問に答えたりするのは非常に楽しく、やりがいを感じています。

自分が受講生だった時と変わったことと言えば、最近はオンライン講義が主流なこと。時には無人の教室で収録を行うこともあります。これは個人的に非常に辛い。ギャグを言ってももちろんシーンとしていて、ひたすらカメラが回っているのみです…

講師をやってみて思うのは、学びに年齢は関係ないということですね。学ぶ気持ちがあれば若いか否かは全く関係なし。私はなぜか年配の男性に気に入られよく質問を受けるのですが笑、学びたい、合格したいという思いに年齢性別等まったく関係ないと断言できます。

さて、そんななかでもある程度受講生と接する中で、受講生のタイプというものが見えてきました。

まずはこういう受講生になってほしくない、というタイプを挙げてみたいと思います。

  • 全てにおいて納得しなければ気が済まず、長時間考えてしまう
  • テキストを1~2回読んだだけで、理解できず怒り出す
  • 基礎は卒業していると思い、応用問題ばかり解いている
  • (番外編)とにかくITに疎く、なんでもかんでも運営に質問し、紙を要求する

全てにおいて納得しなければ気が済まず、長時間考えてしまう

ものごとをとことん突き詰めて考えるのはいいことなのですが、一方で何事も強弱があります。

試験にもほとんど出ないような記述について、納得がいかないところがあるからと言って、講師を質問攻めにしている例を見かけます。

確かに大事なところであればそのマインドは必要ですが、枝葉部分にひっかかってこだわってしまうのは、試験合格という本質から大きく外れた行為です。

そもそも会計基準や監査基準というものには、現実に即して「エイヤー」で決められたところも多々あるのです。施行規則や実務指針は特にそう。

なんでもかんでもクリアな趣旨、背景があるわけではない。そこを理解するのは、試験のみならず、実務を行う上でものごとの強弱を判定するのに極めて重要。

テキストにも載っていないような選択肢の文言等にこだわるのは百害あって一利なし。それよりも暗記するところは暗記すると割り切り、他のテキストや答練の大事なところをひたすら仕上げるべきでしょう。

テキストを1~2回読んだだけで、理解できず怒り出す

まず大事な点として、テキスト(+講義)はわかりやすくあるべき。そこは我々講師の責任ですし、それがわかりにくいということは大変な反省材料。日々どうすれば受講生にとってわかりやすいものになるか、ひたすら考え続けています。

で、それはそれとして、資格試験、それも難易度の高いものになればなるほど、テキストを何度も何度も読み、問題集を解いて、またテキストに戻る、ということが必要になってきます。

逆に言えば1~2度読んだだけで、理解できるものではありません。

しかしたまに、ほとんど読み込みを行っていないにもかかわらず、読んだつもりになり、さらに理解できないので、予備校に対して怒り出してしまう受講生がいます笑。

気持はわかりますが、それは経験不足のために資格試験におけるインプットを理解していない、ということ。まずは基本テキスト+問題集を3週、試験までに8週はするべきでしょう。それでもまだわからなければ、怒ってもよいでしょう笑。

そもそも怒るということ自体、学習の長期継続にはよくありません。特に社会人であれば、淡々と継続することが必要です。参考記事 勉強は「淡々と」続けるべし-新卒社会人の公認会計士試験受験記7-

基礎は卒業していると思い、応用問題ばかり解いている

受験歴が長いタイプが該当することが多いです。自分もそうでしたので気持ちはわかります。しかし合格という結果を手にしていない以上、謙虚になることが大事です。そもそも資格試験において「基礎を卒業すること」はないと思ったほうがいいでしょう。基礎テキスト、問題集は合格するまで繰り返す必要があります。間違っても「卒業」してはいけません。

(番外編)とにかくITに疎く、なんでもかんでも運営に質問し、紙を要求する

学習とは関係ありませんが、残念ながら年配の受講生に多い印象です。最近の予備校はオンラインが基本。テキストや答練は紙で配られますが講義はもちろん学習スケジュール、学習レジュメ等はオンライン化されていることが多いです。

そしてそれがパンフレット等で明記されているにもかかわらず、オンラインは嫌だ、すべて紙で寄越せという受講生がいます笑。

予備校の運営側もある程度は対応しますが、中には極めて悪質な場合もあります。何度ログイン方法を教えても毎回電話をかけてきたり、画面が見づらいから全て紙で印刷しろと言ってきたり…。そういったクレームに耐えかねて若いスタッフが辞めたりしています(*_*)。予備校にはわかりにくいところもあり改善点はありますが、その辺のルール順守は是非よろしくお願いしたいところです。

次はこういう受講生はすんなり合格する、というタイプを考えてみたいと思います!

つづく